ルアマガブランドで、アジングロッドなんかの開発に携わっております編集Fことフカポンです! 先日、ルアマガソルトの別冊「1冊まるごとアジング!」のロッドカタログ企画のために編集部に届いたロッドの中から、超気になるロッドを独断と偏見でピックアップして解説したいと思います!
ロッド大好き編集者が注目! 編集部に届いた新しい18本から気になるアジングロッドを厳選インプレ!
ただいまサーティフォーとのコラボロッドを製作中(もう完成しました)なのですが、ロッド作りに携わったこともあり、随分と、個々のロッドの性格が見えるようになった気がしてます。
アジングロッドのカタログ企画のために新たに編集部に届いた最新ロッド18本から、これはちょっと気になるぜ! 的な数本をピックアップしてインプレしたいと思います。
ちなみにですが、少し前に書いたルアマガプラスの記事「高性能アジングロッドとは?アジングロッドが持つべき5つの性能について徹底解説」をご覧いただけると、記者がどんな思考でロッドインプレしてるか、少しわかると思います。よろしければあわせてご覧ください!
1本目! 直球ど真ん中の王道アジングロッド! 完成度の高さにメーカーを二度見!
【メジャークラフト|鯵道5G S662M/AJI】
広告をいただくことで、メディアが成り立ってきた雑誌やWeb。メジャークラフトさんは、確かに我々にとっては忖度すべき大手クライアント。だがしかしです。今回のこの記事の企画はどっちかというと「高性能で気になる」ロッドをチョイスするそんな固い意思がありました。
メジャークラフト、ことメジャクラと言えば、価格の割にハイクオリティ! が売りで、カリカリの超高性能・高級ロッドはちょっと一歩下がって…..な部分はあったかもしれません。
さて、そんなこんなで、実はメーカーがどこかを見ずに、このロッドを触って、「お、なんだこの高級感のある王道アジングロッドは…」とファーストインプレッション。天井にティップをあてて…びっくり。取ってつけたソリッドティップなんてことはなく、アタリ感度だけじゃなくて素直な潮感度感知に必要な「モタレ」を手元に素直に伝えてくれる。もう、現代アジングのお手本、王道を突き詰めた感のあるロッドじゃぁないですか。
いや、久しぶりに優秀なサーバント、アルトリア・ペンドラゴン的な高性能アジングロッドに出会えましたよ! と意味不明な感想を抱きつつ、メーカー名を見てびっくり。いや、ほんと、ごめんなさい。メジャークラフトさんじゃぁありませんか! 星でいうと3つでコスパよし! がメジャクラの存在意義。ですが、こいつ、星5ですよ。確かに価格は他の高級ロッドと比べれば安いのですが、メジャクラの中ではフラッグシップ価格! T1100Gを使っていて2万円代前半とか価格破壊!
アジング道の初めから終わりまで、つつがなくお供していただけるアジング人生における超汎用性能を携えた、かなり優秀な1本と言えます。変なクセがつくまえに、アジングのベーシックを高いレベルで覚えさせてくれるそんなモデルでした。「少し真面目にアジング覚えたいんだけど」という方がいらしたら、掛け値無しにオススメできる1本です。
原稿執筆時点ではまだ発売されてません。発売されたらアフィリエイト貼っときます。
2本目。明確な「攻めアジング」の意志を感じる
【ヤマガブランクス|ブルーカレントⅢ53】
個人的なことを言うと、アジングは「静」の釣りが基本で「動」は応用だと思っています。さまざまなプロアジンガーのアジングを見てきましたが、自分にはその思考がこびりついています。ですので、ソリッドティップを搭載したロッドは絶対でした。
ところがです、そんな思考のアジンガーをあざ笑うかのようなチューブラーティップを真正面から搭載して、アジングロッドと謳うスタイル、それがヤマガブランクス。実は後に紹介するゼスタのロッドもそうなんですが、両社とも「攻めアジング」が迸る強い意志と個性を感じるんですよね。フォーメーションでいうと3:4:3ですよ。
ここで紹介するのはブルーカレントⅢ53ですが、全体的にこのシリーズはレギュラーテーパーで、全体的なアクションはのせ調子。それでいて、感度は良くしなやかではあるが、ソリッドティップと比べるとある部分では劣るチューブラーティップを採用しています。ですが感度面ではかなり有効。
否定どころか、なるほどと唸ったのであります。これはアリよりの大アリだな。と。
ヤマガブランクスといえば、南九州に拠点を構える人気のメーカーです。九州と言えば、アジングのメッカですし、その魚影もそれなりに濃い。効率の良く釣果を挙げて行くのならば、フォールでじっくり釣り上げて行くスタイルより、巻きやアクション、リアクションを含めた「動かす釣り」のほうが、釣果効率が良い背景があるのではないでしょうか。
それでいてレギュラーテーパーのノセ調子です。動かす釣りを主体としている場合、出たアタリにたいしていちいち反応してアワセをくれてやるよりも、レギュラーのしなりによるミッドの復元力を生かしたフッキングを機能の中心に据えたほうが釣果があがります。無駄のない機能美ってヤツです。攻めに意識を割いていても、フッキングはオートマ! こりゃ楽しいじゃありませんか。
あと、動の釣りを基調としていれば、ソリッドティップのショックアブソーバー的機能はあまり無くても良いので合理的ではあります。
確かに私自身が是とする「静」の釣り、ロジック的にはそれなりに土台のあるアジング技術論ではありますが、ルアー釣りの楽しさと全面的にシンクロするかというとそうではないかもしれません。それがアジングだとやりきれるメンタルの人もいれば、なんだか静かでつまんない。と感じる層もあるかもしれません。そうなってくると、「攻めのアジング」に楽しさを見出す必要があります。
ヤマガブランクスのアジングロッドは後者、まさに「攻めのアジング」を提案しています。そのフィーリングに合う人には、勧めたい1本。展開の早いアジングにはうってつけでございますよ!
3本目、攻めのロッドの違うベクトル。超感度で斬り伏せろ!
【ゼスタ|ブラックスターEXTRAチューン S58LX-S ショートソリッドオルタナティブ】
初心者に勧めますか? いいえ。このロッドは勧めません。それくらいに尖った1本がこちら。カリカリの超感度でアジを斬りふせる超攻撃型のエンスー向けモデルです。先に挙げたブルーカレントⅢのシリーズは、ビギナーが使っても捌き切れる優しさがありました。
しかし、こちらのモデルはそういうモデルではおそらくないでしょう。基本的にはソリッドティップはチューブラーティップよりも感度面では劣るのですが、かなり長めにティップセクションをとっており、感度は超がつくセンシティブ。本来の魚への違和感を無くすというソリッドティップの役割を若干放棄する代わりに、アタリ感度と潮感度を極限まで突き詰めています。
この仕様だとアタリ感度はあっても潮感度はなかなか表現しにくいのではないかと思ったのですが、ティップが長めになってるので、ミッドにモタレがしっかり圧としてのっかり、潮感度もおそらくいいのかな?と思います。ティップも高弾性とのことなのでそのあたりはピーキーな予感はありますが、乗りこなしてみせるのもアングラーの見せ所?
その超感度と合間って、アタるものは全て斬れ(アワセろ)。くらいの禍々しさすら感じる1本です。伊豆や横浜のスレっスレのアジたちをテクニックでねじ伏せる、そんな釣りをしたい人にオススメの攻撃型ロッドと評させていただきましょう。
4本目、レーシーさはでは随一。隠れたアジングの天才がデザインした超こだわりの1本! 豆アジ専用!?
【テトラワークス|リアクト55】
そのデザインは上に挙げたブラックスターを彷彿させ、もしかして似た傾向のエンスー向けアジングロッドか?と思うかもしれませんが、ちょっと毛色が違います。こちらのロッドは極論を言うと、アジングの初心者が使っても、乗りこなせる「バランス」が特色です。
確かに、超感度、軽量とレーシーな側面はあるのですが、フォールの釣りからアクションの釣りまで、かなり高次元にこなしつつ、贅肉を削ぎ落としたとても素性の良いアクションをしています。
扱いやすい、潮感度性能に、シビアなアタリを的確に拾う超感度。それでありながら、柳のように受け流す柔らかさが心地よいロッドでもあります。アジングを黎明期から支えてきたテトラワークスの萩原さんの息遣いと思想が、ぎゅっと凝縮され反映されたエキスパートのためのロッドと言えるでしょう。変な角がないんです。
豆アジを意識しているとメーカーからもリリースが出ている通り、パワーレンジはそのあたりを意識しているとは思いますが、個人的にはそれなりのサイズがヒットしても十分戦える芯の強さがあると思います。
自重38gと軽さにも極限までこだわっています。デザインを見ていただければわかるかと思いますが、スペシャルなアジングロッドらしい思い切り方で、アジングフリークの人にはぐっとくるのではないでしょうか。
5本目は和テイストを盛り込んだ、デザイン込みで楽しむ本格アジングロッド
【メガバス|礁楽 Sl-510ULS】
メガバスからアジングロッド? あまりアジングという釣りには力を入れてこなかった同社という印象があったので、どんなもんなんだろうと正直思いました。
コスメのデザインは賛否別れるかもしれませんが、和のテイストを盛り込んだメガバステイスト。
さて、アクションなんですが…..。ホント、メガバスって….ずるい。アジングのノウハウはそれほど持ってないと思うのですが、一発でこの完成度。傾向としては最初に挙げたメジャークラフトの鯵道5Gに近いでしょうか。どなたがテスターなのかわからないのですが、現代アジングのキモを的確にロッドデザイナーに伝えて調整されたんだろうなぁと思う、非常に素性のよい王道なアジングロッドなのであります。
バスフィッシングが好きで、メガバスファンで、なんか最近、アジング面白そうだな…とロッドを物色中のあなた。迷わずどうぞ。ついでに和テイストが好みなら文句なしです。
複雑なことを考えなくてもアジングという釣りをロッドがやってくれる、そんな1本です。初心者に優しいロッドなのですが、軽いリグを扱う現代アジングを楽しむ基本性能の高さにも注目してください。
こちらも長く使える1本ですよ。
ということで気になる5本でした!
アジングという釣りは、比較的釣り場のシチュエーションが限定される傾向のある釣りです。なので、バスフィッシングのように機能別のロッドがあまり必要のない釣りではありますが、メーカーやデザイナーによってアジングに対する考え方が違ったり、それが、ロッドに味付けとして反映されますので、その個性を楽しむのが素敵な釣りです。
自分の応援しているメーカー、プロアングラーに合わせてみるのもひとつの手ですし、自分の癖や環境に合わせてロッドを選んでみるのも手です。そういった道具の楽しみ方ができる釣りでもあります。ですので、狙っているロッドがどんな個性を持っているかというのを紐解いて理解することで、購買に繋がるのでは?と個人的には思っております。
ルアマガ的には3月に発売されるコラボロッドを撃推ししたいところではありますが、押し付けがましくコレが最強と謳うつもりは一切ありません。そのかわり、企画したロッドがどんな性格のアジングロッドなのかを、しっかりと解説して琴線に触れる方に是非手に取っていただければと思っています。
今回挙げた5本。それぞれかなり性格が違います。メーカーやデザイナーの個性が滲み出る楽しそうなロッドばかりです。こんな感じで今後も、気になったロッドを紹介していきたいと思いますので何卒よろしくお願いします。