アウトドアな釣り竿・ズームサファリに合うリールはやはりコレだ!『アンバサダーS(アブ・ガルシア)』@8,420円【今週のお買い物】



アブのアンバサダー。それは魂。なんの魂なのかって聞かれると答えに窮してしまいますが、とにかく魂。何が言いたいかっていうと、釣り人以外の心にも刺さる普遍的な魅力があるってことです。しかし、それゆえに中古市場は高騰中。おいそれと手に入れられるものではありませんが、アブ社の伝統を継いだ「アンバサダー」廉価モデルが現在も海外市場で元気に展開中とのこと。半信半疑で、購入してみました。

【Profile】
ルアマガプラス編集部・アズマ
ルアマガ事業局に所属するにも関わらず、釣り知識はどシャローに貧弱な会社きっての雑魚カード。でも釣りは好き。ちっちゃなころから悪ガキで25で不良社員と呼ばれている、時代遅れのおかしなのが好きなオールド・ファッションド・ラバー・ボーイ。開高健にやや影響を受けている。画像はせっかく寄せたトラウトをバラした瞬間。



そもそもの発端は「ズームサファリ」シリーズ

例年初頭はフィッシングアイテムの新製品シーズン。今年も注目の製品がイロイロ。その中でも一風変わったコンセプトで異彩を放っていたのが…。

ズームサファリ・ベイトモデル

です。

頭からお尻まで、すなわちティップからバットエンドまで最新技術をみっちりと詰め込み、釣り具としての機能性&実用性を極限まで追求したメーカー各社の真髄…といった真剣勝負的な調子からはやや離れ。

コルクグリップを採用したレトロ調のデザインや、オールディーズな雰囲気の漂うアースカラーの配色、キャンバス生地のアンティークな竿袋などなど…。

ありていに言えば超オシャレです。釣り具というより、もはや「アウトドアギア」の一翼。

この新境地を切り開いたのが昨年の「ズームサファリ・スピニングモデル」。発売後には即完売を果たし、今でも入手は難しいほどの人気を博しました。僕も買い損ねました。くそう。

そして本年のベイトモデルの登場。3月の発売を注視している間にひとつ疑問というか、懸念点が…。

ズームサファリにどのリールを合わせればいいんじゃろ。

そう、釣りはロッドだけでするものではありません。ギアとして意識するのであればなおさら、どんなリールと合わせるかが重要になってくる…と思うのですが、どうしよう?

上の記事では開発者の東(!)健司さんは「Revoなどの最新型リールを装着してもカッコイイ」とのことですが、せっかくのオールドスタイル。アウトドアギアとしての統一感を意識したいな~…。

となったとき、思い当たるのはやはり「オールドアブ」。主に60~80年代に生産された「アンバサダー」シリーズのことを現代人はそう呼びます。

ライギョマン・イマムラパイセンの「アンバサダー6600C」。「エライ金額」するとのこと。

そもそもズームサファリは70~80年代に販売されていた『ズーム』と『サファリ』というロッドをフィーチャーした製品。いわば「オールドアブ」が「コンテンポラリーアブ」だった当時のロッドの生まれ変わりなのです。しっくりくるのはアタリマエっちゃアタリマエなのだ。

でもさ、やっぱり高級なんです。下手をすると今から半世紀前の代物たち。その洗練されたフォルムもあいまって、美品となればときにン十万円にも上る価格で取引されています。さすがに手は出しにくい。

それでもなんとか手に入らないかと未練がましくヤフオク、メルカリ、アマゾンなんかを価格順に並べ替えて(貧乏性)覗いておりますと…。

んん、なんじゃこれ?

えっアンバサダーって現行モデルあったんすか。

これは盲点。オールドアブ、オールドアブという言葉に踊らされて、現行品の存在可能性がすっぽりと頭から抜けてしまうとは。

しかもこちらをご覧あれ。

や、安い。8,420円。オールドアブのあんまりカワイくない価格を前に指をくわえていた僕からすると、衝撃です。

ズームサファリの価格帯ともピッタリ合うくらいのお手頃アンバサダーですね。

Abu Garcia(アブ・ガルシア) リール Ambassadeur S (アンバサダー S) ベイトリール AMBS-5500 5500 [並行輸入品]
ハンド:RIGHT(右)
ベアリング数:2
リールサイズ:5500
ギア比:5.1:1
ラインキャパシティ:230/14
並行輸入品のため日本語の取扱説明書は付属しておりません。
¥8,420
2021-02-19 14:21

話がウマすぎるのと編集部のパイセンたちも全然知らないというので若干アヤしい感じがしますが(最近のアマゾンって結構アヤしいものも多いっすよね)、そこまで高くないし、やっちゃえ!

はいドン!

ドン!

ドン!

届くまでは正直若干疑って掛かってましたが(シツレイである)、ここまでロゴが大きければコピー品ということもないでしょう!

箱のボロボロぐあいから察するにおそらく輸入物のデッドストック。国内販売はされていないようで、編集部のパイセンたちがご存知でなかったのもむべなるかな。

やっちゃえ! 的なお買い物特有の高揚感を抑えつつ、くわしく見てゆきましょう。

重い…けどコンパクトなお手頃アブアンバサダー

アンバサダーS-5500(アブ・ガルシア)

【スペック】
●自重:297g ●ギア比:5.1:1 ●最大ドラグ:5kg ●ベアリング:2 ●ラインキャパシティ:ナイロン14lb/210m、PE30lb/240m ●購入価格:8,420円

アンバサダー最初のモデル「RECORDアンバサダー5000」が発売されたのは1952年。今から遡って69年前です。

その系譜を継ぐこの「アンバサダーS-5500」、素材感や設計は往年のオールドアブを踏襲しており、その自重はなんと300g近くあります。

ちなみにアブ・ガルシアが2021年に販売する業界最軽量の最先端機種「ゼノン」シリーズは、2500番サイズでなんと148g。

どういうことか? つまり、ゼノンを2コ同時に使うほうがまだ軽いということです。文鎮かな?

めちゃ重です。たった1g差とはいえ、ゼノン2台分以上の重さ。

そもそも今回購入したアンバサダーのサイズは5500。その重さも相まってちょっとデカすぎるのではないかと内心不安だったりしたのですが…。

ンッ意外とコンパクトなんじゃない? そうでもない? 僕の手が小さいからです。

アブのホーネットスティンガーと組み合わせてみるとわりあい馴染んでくれます。さすがにガンガンアクションを入れるのには向かないような気もしますが…。

重さを抜きにすれば手の小さい僕でもパーミングしやすく違和感なし。むしろ一体感があります。…モノは言いよう?


その他各部カットなど。現行リールとは違う点がいろいろ。

クラッチはサイドに付いてるんですね。

一般のベイトリールはスプール近くにクラッチレバーがありますが、アンバサダーはサイドに。

しかも結構固いので瞬間的にオンオフを切り替えるのはちょっと難しそう。位置的に親指が届かない…というわけではないので、分解してバネを変えてみてもいいかもです。

写真中央のデッパリがクラッチ。扱い方自体は普通のベイトリールのクラッチと一緒です。

なかなかのディープスプール。下巻きは必須?

これもスペックを見れば分かることですが深ミゾ。14lbのナイロンが200m巻けます。基本は陸っぱりだし、ロングキャストっていうのも難しそうだから下巻きはしておこうかな。

編集部フクシゲパイセンによれば「PE巻いたほうがいろいろできますよ!」とのことでした。

見慣れぬ謎のスイッチは「ラインアラート」

なんだコレ? と社内で頭を捻ったのはこの謎のon/offスイッチ。オンのときにスプールが回転するとジリジリと音が鳴ります。

分解図を参考に調べるとこれは「ラインアラート」なる機構。エサ釣りやおそらくトローリングなどのときにクラッチを切り、このスイッチをオンにしておけば、魚が掛かってラインが出たときに音で知らせてくれるようです。

つまり夜釣りで置き竿するときなんかに付ける「鈴」と同じ。そりゃ弊社のルアーマンにはピンと来ないわけですよね。基本ロッドは握りっぱなしですし。面白いな~。

さすがにフットナンバーはなし

オールドアブはフットナンバーの刻印で年代を識別したりするそうですが、わがアンバサダーに刻印はなし。新品ですからね。

下からビューはこんな感じ。ボディががっちり肉厚なのがよくわかりますね。

オールドアブ、もといアブアンバサダーは魂。

もともとオールドアブには興味があったのです。何故かっていうとわたくし、作家・開高健が好きだからであります。あの退廃と沈痛とユーモアのまぜこぜといったテンションに惹きつけられるのですよね。

各地の蔦屋書店で行われているアブ・ガルシアの100周年イベントでは、アブ100年の歴史とともに開高氏の展示も多数。

この取材に同行したことがアンバサダー購入のもうひとつのキッカケであることは否めませんな!

オーパの完全版なんか出てたのか…。これも要チェック…。

…で、何釣るの? っていう話は、例のズームサファリ発売までお待ちくださいませ。でもナマズは狙おうかな。

ああダメだ。思い出してしまった。僕の1級ポイントが護岸工事されて無事消滅してしまったのですよ。しょうがないけどね。かなしみ。次なるナマズ天国を見つけるしかない。めげるな俺、がんばれ俺。

公式サイトで読むアブの歴史。参考になります。

パイセンたちのお買い物はこちら。