釣り具ブランドとして、またアウトドアブランドとして、このビブパンツには様々なアングラー目線の機能を追求していると、開発の松尾さんは話してくれた。細部まで創意工夫が施されているレインウェアとして、エピソードを余すことなく紹介していこう!
新商品『ストームトレーサービブ』
【ストームトレーサービブ】
●サイズ:M、L、XL、XXL
●重さ:580g
●カラーバリエーション:グレー、ブラック
●素材:エアロポーラス®FW3レイヤー70Dタッサー(ナイロン100%)/腰上:70Dタッサー(ナイロン100%)
●発売日:発売中
●希望小売価格:29,700円(税込み)
『ストームトレーサービブ』を紹介してくれるのは松尾尚紀さん!
【Profile】
松尾尚紀(まつお・ひさき)
ティムコ・アウトドア部企画開発課課長。防虫機能を持つ素材スコーロンの開発に携わるなど、ユーザーの使い勝手から見据えた製品開発を手掛け、多くのフィールドスタッフからの意見もフィードバックしている。
縫い目をなくしたことで股部からの水の侵入をシャットアウト!
フォックスファイヤーオリジナルの透湿防水素材エアロポーラスFWを採用したビブパンツが新登場。
2019年に発売したハイエンドモデルの『GORE-TEXハイドロマスタービブ』から始まったビブパンツの開発には、過酷な使用でも快適に釣りができるように苦心して1つずつ問題をクリアしていった経緯があるという。
それを開発の松尾さんに直接お伺いしてみた。
松尾「レインウェアなので、まずは水の浸入をシャットアウトすることが大事ですよね。いろいろと意見をいただいたのが、青木大介と千藤卓さんです。こちらはジャケットの方もそうなんですが、青木さんの過酷なアメリカでのトーナメントシーンでも耐えられるよう、大雨のなかでも快適に過ごせるように工夫しています」
具体的にどういった点が工夫されているんですか?
着座時の尻部の縫い目をなくし、最大の水浸入経路を断つ!
松尾「青木さんのようにボートでトーナメントをこなすアングラーは、座っていることも多いですよね。その座っている際、お尻の部分へ水圧がかかって、従来ですとお尻部分の縫い目から水が入りやすかったんです。でも、その部分の縫い目をなくしたことでレインパンツ最大の浸水箇所を防いだんです」
確かに股の部分からダメになるパターンが多いですね。それを解消したんですね!
松尾「でも、単に縫い目をなくすとお尻の部分ってダラ~ンとしてしまって立っていると格好悪いんですよ(笑)。だらしない感じになるというか…。そこで、縫い目がなくても立体的になる裁断パターンによって、見た目も格好良くしています。そして、このシームレス化によって座る動作もスムーズ。結果、動きやすさにも繋がっていますよ」
細かいけど、見た目と動きやすさって重要な部分ですよね。
それを丁寧にクリアしたのは、さすがアウトドアメーカーとしての経験値が高いフォックスファイヤーならではという印象だ。
2-5、2-6入るフロントファスナー部分にも防水マチがあり、ポケットは大容量!
松尾「フロントファスナー内側も防水マチがありますので、ここも水が入りやすかったので徹底しています。耐久性を高めるために、ハイドロマスタービブでは採用していた膝と尻部の2重構造はこのビブには採用していませんが、逆に軽量になりゴワゴワもしないので動きやすさにもつながっています。腰から上は動きやすさと通気性が良いナイロンタッサー素材を使用しています。また、脇下のポケットはメッシュ仕様でベンチレーション機能も兼備しています」
肩の凝りを解消するためのウエストベルト調整機能
機能的に細部までこだわりが詰まっている設計なのも特徴だ。
松尾「あと、青木さんはサスペンダータイプのパンツは肩が凝りやすく嫌がっていました。でも、腰までのパンツでは立って座る動作を繰り返すボートでは、腰から水も入りやすいし最悪腰が出てしまうこともありますよね。そこで、腰のウエストベルトである程度フィットするように調節できるようにして、ショルダーはゆったりセッティングできるようにしています。これで肩の負担も大幅に軽減しています。もちろん、足元の裾部もベルクロで調節できますので、そこからの水の侵入もシャットアウトできます」
肩の負担まで考えられた作りになっているという。いたれりつくせりですね!
松尾「あとこのビブパンツは、オリジナルのエアロポーラスFWを採用することでコストダウンも図っています。フォックスファイヤー独自の素材なので、コストパフォーマンス的にも多くのアングラーさんに使っていただける価格設定になっています」