10万円でも高コスパ!? APIA最高峰シーバスロッド「Foojin’Z」の驚くべき進化度



2003年に誕生した、アピアのフラッグシップモデル、フージンゼータが今年、フルリニューアルを遂げる。8年振り、5代目となる新生ゼータは、我々にどのような驚きを与えてくれるのか? 開発を担当した宇津木社長に、話をうかがった。

【Profile】
宇津木善生(うつき・よしお)
アピアのフラッグシップモデル「フージンゼータ」のフルリニューアルにおいて、9機種全ての設計、開発を担当。今回、製品に込めた思いを解説してくれた。

新世代カーボンの採用で実現した圧倒的な性能向上

新生ゼータの、最大の進化ポイントはやはり、新世代カーボーン素材の採用となるだろう。


宇津木「具体的には、東レの第三世代となるM40XT1100Gというカーボン素材をメインに採用しています。前者は高弾性で、後者は中弾性、この素材をそれぞれティップセクションとバットセクションで使い分けています」

第五世代となる新生ゼータは、77MHから108MHまで全9モデルをラインナップ。どれもコンセプトが明確で


M40XもT1100Gも、前世代のカーボンと比較して圧倒的な進化を遂げている。


宇津木「簡単に言うと、強度もパワーも一気に底上げされたイメージです。40tの高弾性M40Xカーボンは主にティップ部に採用しています。これにより、キャスト後のブレの収束が従来比で格段に向上しています。映像でも確認したんですが、ティップがブレるとライン放出の障害となり飛距離が落ちます。新しいゼータは、このブレが素早く収束し、結果として驚くほどの飛距離の伸びを実感できる。また、ルアー操作時やアタリを取る際の感度性能も向上にも、M40Xカーボンは大きく貢献しています」

Foojin’Zラインナップ中の異端児93MHには、張りを出すためにボロン素材を採用。タテに入るラインがその証。


そして、ゼータの骨格を形成しているのが、T1100Gとなる。


宇津木「T1100Gは33tの中弾性カーボン繊維です。大きな負荷に対する強度、そして復元力ともに高い次元の性能を発揮する素材で、これをバット部に採用することにより、キャスト時の反発力でルアーをより遠くへと運ぶことが可能です。新しいゼータを使った村岡さんが、その圧倒的なルアー飛距離に、かつてないほど驚いていたことが全てを物語っています」


新素材が優れているのはもちろんなのだが、9機種それぞれのコンセプトに合わせて最適化して使用する、この宇津木さんの設計思想があってこその到達点だと言えるだろう。

新素材、東レ「トレカM40X」「トレカT1100G」とは?
一般的に、カーボン繊維素材は、弾性率を上げると強度(引張強度・圧縮強度)が落ちる傾向にある。高弾性カーボンを釣り竿に使用する場合、感度面や反発力のメリットは多い反面、扱いが難しくなる。しかし、新たに開発された「M40X」は、従来品(M40J)と比較して弾性率を下げることなく強度を大幅に向上。「T1100G」に至っては、従来品(T800S)と比較して、引張強度を19%も向上させながら、弾性率も10%アップしている。この、東レの最新世代カーボンを軸にFoojin’Zは設計されている。

APIAアングラー陣も、Foojin’Zの進化に驚嘆!
飛距離・パワーはまさに「異次元」


ここで、APIAが擁するアングラー陣の、新しいフージンゼータの仕上がりに対するコメントを紹介しよう。

HIGH ROLLER 103ML
村岡昌憲 「投げ慣れたルアーが、予想をはるかに超えて飛んでいく」

村岡さんが監修を担当したモデルは、言わずと知れたこのモデル「ハイローラー103ML」だ。従来機から格段の進化を遂げ、シーバスゲームを新たな次元へと誘う1本。

村岡「ニューモデルのロッドで、ここまで変化することはそうそう無い。新しいゼータはそれほどの進化を遂げている。これは間違いない。今まで、散々投げ尽くし、飛距離の限界も完全に把握しているルアーが、簡単に限界を超えて飛んでいく様は、驚嘆意外に言葉がない」

CRAZY CARRY 108MH
中村祐介「現代版ゼータとしてふさわしい仕上がり」

RED中村さんが監修したのは「クレイジーキャリー108MH」。流れの中で、ランカーシーバスと対峙できるパワーを持つ、シリーズ最長モデル。

RED中村「10ftオーバーのレングスにも関わらず、あらゆる操作時に持ち重りを感じさせないバランス感が秀逸。そして、流れの中で大型のシーバスとも安心してやり取りできる、強靭なブランクス。まさに、現代版ゼータにふさわしい仕上がりだと思う」

NATURAL SEVEN 77MH/BEAST BRAWL 93MH[BORON]
濱本国彦「予想はあっさりと覆された」

河川シーバスを得意とする濱本さんは「ナチュラルセブン77MH」と「ビーストブロウル93MH」の監修を担当。どちらも個性の強い仕上がりを見せる。

濱本「開発を担当した宇津木さんには、言いたい放題要求させてもらいました。どこまで実現できるのか、正直難しいと思っていたんですが、最適化されたトレカの第3世代カーボンの使用で、その予想はあっさりと覆された。ビーストブロウルは、現時点で僕の最高の相棒です」

『APIAのアングラーだから悪いことは言わないだろう』と考える向きもあるかもしれない。しかし、彼らはこのロッドを使用して最前線で戦い、常に結果を求められる立場でもある。妥協してしまうと、自らの首を絞めることになりかねない。だからこそ、その仕上がりに対して一般のアングラー以上にシビアな目を持っているとも言える。
そんな彼らが、圧倒的な進化度に驚嘆しているというのだから、5代目フージンゼータの完成度の高さがうかがえる。



細部も、フラッグシップモデルにふさわしく進化

ここまで、主にブランクスの進化について見てきたが、新しいフージンゼータの進化ポイントはそれだけに留まらない。

研磨制度を極限まで上げることで実現した緩みのない継ぎ「ナノジョイント」


宇津木「今回、新しく採用した技術として『ナノジョイント』があります。これは、フェルールの部分の研磨制度を大幅にアップすることで、緩みにくいジョイントを実現したものです。いざというときに、安心してやり取りに集中できるという意味でも、緩みのないジョイントは重要な部分なので妥協はしなくなかった。このナノジョイントは順次、APIAの各モデルに採用されていくことになると思います」

フラッグシップモデルのフージンゼータから採用されたナノジョイント。今後、各モデルに展開される予定とのこと。

トルザイトリングとSiC-Sを組み合わせたガイドセッティングを採用

新しいフージンゼータのガイドは、トルザイトリングとSiC-Sを組み合わせて使用しているという。その理由と目的とは?


宇津木「ガイドに関しては、様々なセッティングを試しました。PEラインの使用がシーバスゲームの主流になる中で、リトリーブ時の糸鳴りの低減という部分にも配慮しています。その結果、負荷のかかりやすいトップガイドとバットガイドをSiC-Sリング、中間部にトルザイトリングにするという組み合わせがベストだという結論に至りました。これなら、PEラインの糸鳴りを抑えつつ、軽快でシャープな使用感を達成しました」

進化したブランクスの性能をフルに引き出すため、試行錯誤して見出したのがSiC-Sとトルザイトを組み合わせたセッティングだ。

手のひらにしっくりと馴染む「APIAパームグリップシステム」

フージンゼータのグリップ部を握ると、手のひらにピッタリと吸い付くようなフィット感が得られる。


宇津木「これは『APIAパームグリップシステム』と言って、EVAに膨らみをもたせることにより、手のひらに馴染むように設計しています。真横から見ると、そのふくらみがよくわかってもらえると思います。直線的なグリップと比較して、長時間の使用での疲労の低減やファイト時のホールド性の高さなど、あらゆる面でその効果を実感してもらえるはずです」


ぱっと見ではわかりくい進化点だが、こういう部分もしっかり作り込まれているのは好感が持てる。人と竿の接点だからこそ妥協しない、APIAの製品設計思想が垣間見える部分だろう。

EVAに膨らみをもたせ手のひらに馴染むよう設計された「APIAパームグリップシステム」。

あらゆる面で最新の設計となり大きな進化を遂げた新生フージンゼータ。最も高価なモデルは98,000円というプライスタグが付くが、しかし、盛り込まれた機能や新素材を考慮すれば、費用対効果(コストパフォーマンス)は十分納得できる。あとは、実際に使用しての判断となる。
フージンゼータを実際に使用できる試投会も開催される予定なので、気になったアングラーは参加してみてはどうだろうか?(試投会の詳細は、APIAのWEBサイトでチェック!)

ルアーマガジンソルト2021年4月号に、全9機種紹介を含め詳細記事を掲載!

新生フージンゼータについて、全9機種の詳細を含め、さらに詳しい記事がルアーマガジンソルト2021年4月号に掲載しているので、興味のある方はそちらもチェックしてみて欲しい。

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