ウイングを装備して水面を泳ぐように進むいわゆる「ハネモノ」系のルアーは数あれど、2017年の発売以降いまだに手に入れるのが難しい『NZクローラー』。どうしてそこまで人気が高いのか。愛用者であるバスプロ、川島勉さんと安江勇斗さんに話を伺った。
ハネモノの権威・川島勉さんが語る!
【PROFILE】
川島勉(かわしま・つとむ)
関東・房総半島リザーバーで最前線を走り続けるスーパーローカル。現代ハネモノの先駆・ポンパドールを始め、数多くのジャッカルヒット作を生み出している。
『NZクローラー』は他とは全く別のコンセプト
川島「2000年代の後半かな? 僕が亀山ダムで自己レコードを出したのがサイレントキラー145改なんです。3連結にチューンしたやつで、ジャスト60cm。重さは4kgなくて3700いくつ…データが残ってなくて」
かつて更新していたブログが消滅したため、今となっては良き思い出。
川島「というわけで、NZクローラー。これはもう唯一無二じゃないかと」
NZクローラー/Jr.(デプス)
【スペック】
<NZクローラー/Jr.>
●全長:134mm/96mm
●重量:3ozクラス/1ozクラス
●タイプ:フローティング
●カラー:全11色
●価格:5,800円/4,900円(税抜き)
川島さん自身もハネモノ系を開発。ジャッカルから発売されている「ポンパドール」は名作として名高いハネモノルアーだ。
しかし、NZクローラーはポンパドールともまた違う別の趣を備えているのだという。
川島「ポンパはゆっくり巻けるバズベイト的スタンス。現代の羽根モノってデッドスローが基準で、金属(=ウイング)が死にかけの魚(=ボディ)をつついて食べているとも言われています。でも、それらは飽くまでもルアーとしての解釈なんです」
NZクローラーはなぜ唯一無二なのか。
川島「完全に感性の問題なんですけど…NZは生き物です」
『NZクローラー』だから出せる「モコモコ」感
川島「ボディの2連ジョイント部分が利いている。前がクロール、後ろが左右に動き、それだけで棒状の羽根モノとは別物」
扁平なボディ形状とジョイントの相乗効果が、他のハネモノと一線を画する要因となった。
川島「この波動は小動物が泳ぐ時に出る水面のモコモコと同じ。魚がつついてる感じとはまた別なんです」
名作映画「JAWS」を彷彿!?
川島「人間は陸上で速く走れても、海では泳ぐスピード遅くてサメに…ていうのと同じで、バスは『こいつ陸の動物だから簡単に食えるぞ!』って感じてるのかな」
バスだけでなく、釣り人もその泳ぎに見入ってしまうことがしばしばだ。
川島「動きに小動物チックな生命感を感じます。だから釣れるのかなと」
カスミのロコ・安江勇斗さんも『NZ』を愛用!
【Profile】
安江勇斗(やすえ・ゆうと)
W.B.S.トーナメント出場をきっかけに霞ヶ浦の魅力にはまり茨城県に移住。7年間の漁師経験を持ち、その経験を通して学び知ったベイトフィッシュの生態。そこから導き出された理論で釣りまくる異色のアングラー。
安江「特別な動かし方というよりもこのルアーを霞水系で使う場合は使うタイミングとエリアが重要。特にしっかりとした雨、本湖本流エリアでは羽物の天敵である波や風が無いタイミングで威力を発揮します」
狙って大型を獲るための大小2段活用が安江さん流。大から始め、小で抑える2段構えだ。
安江「水温は14℃以上が理想で30℃近くの高水温時には朝夕ではなく夜中にしっかりと冷えた朝まずめが理想のタイミングです。そのほか、プレッシャーが掛かっているような流入でも威力を発揮します」
基本的な使い方はデッドスローのただ巻き。春以降は常に大型を寄せる好機だ。
安江「まだまだこのサイズのクローラー自体が特別な存在。意外性という部分でも賢いデカバスに口を使わせてくれます」