予約が取れないことで有名な、超絶人気琵琶湖バス釣りガイドの永野総一朗さん。彼の野望は全国各地のフィールドで腕を試し、学び、レベルアップすること! 最後に陸っぱりをしたのが去年11月の霞ヶ浦。陸っぱりも視野に入れたたまらんばいの今後の活動に期待大だ!
【Profile】
永野総一朗(ながの・そういちろう)
1988年2月25日生まれ。魚座。B型。グランダー武蔵世代で小学3年生からバス釣りを始める。筑後川が本当のホーム。JBトップ50で活躍する早野剛史プロとは奇しくも高校が隣。自動車販売で5年働いた後、27歳の時にガイドを始める。普段のスタイルはベイトタックル中心で、ボトムの魚をフリーリグやノーシンカーで掛ける釣りが好き。スポンサー:HIDEUP、昭和電機グループ(CHARGER BOATS JAPAN)、VARIVAS・Nogales、SHIMANO、STRUT。
【06:40】上流スロープ周辺
九州縦貫自動車道下のスロープで待ち合わせたあと、早速そのエリアからスタート。まず手にしたのは、シャロークランクのHU-70。橋脚下を広く巻いていく。
永野「最近の遠賀川は上流スロープ周りが一番人気のようですね。水深は1m以浅。ひっかかりが多いから、浮き上がりの良いシャロークランクを使用しています。この時季の遠賀川で巻きものに出る可能性ですが、誰に聞いても朝夕のタイミングだということで」
〜たまらんばい的巻き物理論〜
永野「これは、春のシーズンの巻き物にいえる特徴ですことです。水温が上がっているときは、浮力のあるルアーを使ってバスに食い上げさせる。逆に、水温が下がっているときは、潜るルアーでこっちからバスに当てにいきます」
春になって暖かくなってきたといえど、まだまだ朝の水温は低い。永野さんは、シャロークランクを使うも、場所が1mもない浅場でボトムノックをしながらバスに当てにいっていた。
数投し、バスの反応がないことを確認すると、すぐに場所を移動して今度はスロープ周辺を巻く。
永野「あまり粘るタイプではないです。エリアに入ってからの1投め、2投めに喰ってくる魚を狙う方が効率が良いので。琵琶湖でのガイドでも、お客さんに釣ってもらうのは基本フレッシュな魚です。30分やるなら、同じ場所を30分粘るより、10分を3回入り直す方が自分には性に合ってます」
スロープでも反応を得られず。次のエリアに移動することを決めた。
【07:12】犬鳴川
次に向かったエリアは犬鳴川。遠賀川上流、二股に分かれた支流にあたる。新入大橋付近にエントリーした。
永野「水ですが、プラで見た時から少しずつ綺麗になっているイメージです。遠賀川のシーズナルパターンはまだわかりませんが、ここのバスは、基本流れがあるところを好む傾向があります。そして、チャンネルに面して浅いところでフィーディングをします。なので、ニアディープのあるエリアでもシャローを狙う人が大半です」
このエリアで使用するルアーはたまらんばいミノー、のHU-ミノー111SP。
永野「このエリアは、沖が馬の背になっており、そこに岩が連続して入っている。そのそばにミノーをトウィッチで当てていくイメージです。この場所は基本硬いものに当てて釣るのがセオリーです。また、ここで使用するミノーですが、クランクと同様に水温が低いときに使います。クランクもミノーも、ポカポカ陽気で釣った経験がないですね(笑)。クランクでもいいけど、濁りが取れてきた感じがするから見切られにくいミノーで。食わせの間を作れるのもグッドです」
新入大橋を超えた橋脚跡まで一通り巻いたが、魚信はナシ。そこで、7:53に一度車へ戻って、撃ちものタックルにチェンジした。
永野「初めに入った馬の背の岩のところだけフリーリグで舐めるように探っていきます。テキサスでも良いんですが、それはバスがボトムにべったりついている場合。フリーリグはノーシンカー状態が長いので、ボトムから少し浮いてる魚にも広範囲で狙えます」
一投にあまり時間はかけずとも、岩に当てて丁寧にアピールする。だが、バスがいないのか、それとも食わないのか反応はない。エリアを変えることを決意。気がつけば、永野さんも記者も足が濡れていた。
「なんか冷えるなと思ったら、靴が浸水してる! これは、琵琶湖艇王の予選会の時に買った靴です。大会や取材の前に買うと釣れるというジンクスがあるんで、今回も買おうと思っていたんですが、忘れました。でも、さすがに朝露でビシャビシャだから買いに行きたい……(笑)」
移動の前に一旦コンビニへ行って長靴へ履き替え、気持ちをリフレッシュさせて次のエリアへ。
【08:50】遠賀川水系小規模水路
次にエントリーしたのは、遠賀川へと繋がる小規模水路。
永野「ここは、汽水域で一番イナッコなどのベイトがいました。潮の満ち引きでカレントが効いて、干潮時は浅いところが一部露出するくらい浅くなるため満潮時がベストです」
シェードになっている矢板にピッチングでフリーリグを入れていく。
永野「このエリアでの勝負は早いです。矢板の溝にタイトに付いてるので、フリーリグでの撃つ釣りのみで攻略します。浅いので、あまりバチャバチャと音は立てたくない。琵琶湖では絶対にやらない釣りですね(笑)。でも、こういう釣りは好きなので、やっていて楽しい」
●フック:ノガレスマジフック#3/0(バリバス)
●シンカー:バサーズワームシンカーTGスリムゼロ3/16oz(DAIWA)
●ルアー:スタッガークロー4in(ハイドアップ)
~たまらんばい的フリーリグ理論~
永野「基本的に縦ストにへの撃ちものとして使えます。フォール中はノーシンカー状態になり、フォールスピードのギャップで魅せるフォール重視の使い方とズル引きとしての使い方があります。テキサスのズル引きと何が違うかというと、テキサスよりボトム感知がしやすいのと、スタックから抜けた後にできるノーシンカー状態がフリーリグの方が長く、より食わせに近いのが特徴です。スタッガークローは、爪にトゲがついていて水を噛んで爪の動きだけゆっくり動きます。フリーリグとの相性が良いですね」
永野「フックはノガレスの本気(マジ)フックを使用しています。細い、薄いワームにマッチ。フックポイントが外向きなので、掛け重視です。オープンエリアでの撃つ釣りでは重宝しますよ」
関和学プロが監修する、ノガレスの伝説的フック『システム5』が超進化を遂げて完全リバイバルした本気(マジ)フック。鋭いフッキングパワーを誇るストレートフックかつワーム姿勢をキープしやすいオフセットフックの特長を融合した、撃ち物には欠かせないフックだ。
マジフックの解説はコチラ
使用しているのはスタッガークロー4in。キツい濁りのため、シルエットを濃くすることを考えて「まんでクロー」をチョイス。永野「普段はグリパンとか好きで使っています」。
そうして、矢板をひたすら撃っていると9:37に、待望のバイトが! しかし、わずか一瞬の出来事に遅れをとり、残念ながらすっぽ抜け!
永野「油断していました、こんな浅場にいるんですね(笑)。着水してワンアクションで引ったくられました」。
その後、しばらく撃ち続けていたが、反応があったのはその1バイトのみ。
永野「いったん、場を休ませましょう」。
一旦コンビニで休憩休憩することにした。
【10:24】2度目の遠賀川水系小規模水路
再び水路へと戻って、再スタート。「撃ち物をやる前に、これを使ってみようと思って」と、取り出したのはハイドアップの新作ビッグベイト、HUエヌグリーディー Zモデル。
HUエヌグリーディー Zモデル(ハイドアップ)
2種類のラインアイでバイブレーションと水中ドッグウォークといったアクションの使い分けが可能で、さらに下部アイにノガレスグレネードシンカーを装着することでフローティングからシンキングまで自由自在に調整可能な、次世代のビッグベイト。
永野「壁といった縦ストが使い所です。レンジは深く無いんで、壁の角とか目で見てもわかる、バスが待ち伏せしているような場所で投げてみてください。シーズンは、夏あたりの方がなお良いです。濁りがキツめの方が、逆に良い感じですね」
再び撃ち物のフリーリグにチェンジして、矢板や角を丁寧に探っていると、10:55にまたもや強烈なバイト! 今度は落ち着いて合わせるとガッチリフッキングが決まった!
強烈な引きをいなして、無事にキャッチ! しかし……
永野「ライギョかー! バスがいそうなところに、いるんですね(笑)」
残念ながら、たまらんばいならず!
その後、水路は減水してボトムが見え始める箇所が出始める。しばらく、撃ち続けるも魚の反応はなく午前の部は終了した。
遠賀川で釣りをするなら、バスキチへ
遠賀川のアングラーたちが足繁く通うのが、『なかまの洋食屋 バスキチ』。中間市にある創作料理が自慢の洋食屋だ。釣りをして、お腹が減ったらぜひ立ち寄りたい。
「今回、初めて伺ったんですがアングラーに優しいお店で大満足でした! リーズナブルなのにガッツリ食べれて、何より美味しい『アングラーズランチ』を食べて、午後も頑張ります!」
ライギョ一尾では終われんばい……。たまらんばい永野の遠賀川挑戦は、後半へ続く!
遠賀川実釣インタビュー前編
ーーたまらんばい永野さんにとっての遠賀川とは、どんなフィールドですか。
永野「福岡県出身のアングラーとしては攻略しないといけないフィールドかなと。『遠賀川なくしてたまらんばいなし』というか、遠賀川で釣らないのにたまらんばいなんてちょっと違うのかなと(笑)」
ーー何%攻略できている?
永野「2%くらいじゃないですか」
一同爆笑。
永野「地名を覚えたとか、場所を知ったくらいですよね。これから、毎年地元に帰るたびには寄りたいなと思っています。なにより、福岡の方に知って欲しいというのが第一なので、『福岡でも俺は釣れるんだぞ、スゲーだろ!』というのとは違うんですよ。『あいつ琵琶湖から遠賀川きたけど釣れてねーよな」でも良いんですよ。It’s OK(笑)。そういう同情に似た共感を得られればそれでも良いです。
永野「でも、琵琶湖は琵琶湖らしいテクがあるのは当たり前なんですが、今はいろいろ変わってきていて、今の琵琶湖でより釣るには各地の釣りを自分の釣りに取り入れるのが必要だと思っています。川にいるようなバスに丁寧なアプローチをしたり、中層攻略とか、それこそミドストなんかも代表ですよね。今まで琵琶湖別に、なくても成立できたんですけど、ミドストできた方がはるかに釣れる。そういう釣りを勉強するには、自分の方から琵琶湖以外のメジャーフィールドに足を運ばないとわからないし、気がつかない。琵琶湖に持って帰りたいですよね。遠賀川は押さえておきたいフィールドのひとつです」
タックル解説
HUミノー77(ハイドアップ)
永野「水深で言ったら50cm〜1m未満。食い上げさせるミノーなので必ずハシゴ・ジャンプ台理論。ミドスト、ミノー、トップ、チャターなど下から食い上げさせるタイプのルアーは必ずバスが上下運動ができるハシゴ、縦ストが必要です。例えば、岩でも良いし、ブレイクなどのジャンプ台、バスがそれに沿って上下生んで王ができる何かがあるところを攻めるのが出しどころ。今回で言うと、石というボコボコしたところを引いて行きました。逆に、何もないべったりしたところなどは、あまりお勧めできません」
アブソルート MG(バリバス)
永野「ラインは、アブソルート MGです。アブソルートAAAというのがフラッグシップモデルであるんですが、150m巻きで3000円ぐらい。MGの方は16lbまで100m巻き、18lb以上は80m巻きで値段もその半分くらいで手に取りやすいです。ラインカラーがマジカルグリーンで水になじみやすいのと、フロロだけどしなやかです。あと、琵琶湖では最近ノーシンカーなど糸を沈める釣りが多くて、その糸が水になじんだほうが良いかなということで、水に馴染む色が良いということで使用しました」
撃ち物に必要な高強度、巻き物に必要なしなやかさを併せ持つオールラウンダー系フロロカーボンライン。「耐摩耗性」「耐久性」の面で高次元の使用感を実現した。陸っぱりアングラーのマストアイテムとなること間違いなしだ。
フリーリグ用タックル
●ロッド:Macca Red Signature HUMRC-65MHST/RS(ハイドアップ)
●リール:メタニウムXG(SHIMANO)
●ライン:アブソルートMG18lb(バリバス)