菊元俊文。数々の伝説、異名を持ち、輝かしい成績・功績を残してきた大御所中の大御所アングラー。そんな菊元さんの❝魂❞を受け継ぐに相応しいアングラーは果たして誰なのか? 知識と技術を存分に披露し、エバーグリーンのプロスタッフ同士が鎬を削りあい、その継承権(?)を競い合う企画。それが『菊元俊文”魂”継承権争奪戦』なのだ!
『猛禽の目を持つ者』が産卵期の攻略法を披露!
【Profile】
佐竹陸(さたけ・りく)
2020年の陸王ダービーCブロックにて、ホームフィールドでは無いフィールドにおいて2位という好成績を残した24歳の若きエバーグリーンフィールドスタッフ。家族からの影響もあって、幼い頃から釣りには慣れ親しんでおり、その来歴は20年にも及ぶとか。サイトフィッシングを得意としており、猛禽類のように鋭い眼力で先手をとったアプローチででかバスを仕留める。
産卵エリアに注目するも狙いは別にあり
4~5月のバスフィッシングで大きなキーワードとなるのがスポーニング、つまり産卵に関する行動だ。
佐竹「この時期に自分が釣りをする上で、スポーニングに関する要素は重要なファクターです。具体的に言えば、産卵エリアに注目して釣りを展開するんです」
産卵エリアといえば、日当たりがよくて水温が上がりやすい南に面したシャローや、ワンドなどの流れが当たりにくい場所がお馴染みだ。
時期的には賛否両論あるタイミングだが、果たしてどういった戦略をとるのか。
佐竹「別にベッドを狙い撃つわけではないんです。重要なのはその日のその場所のバスの状況を『観察』することにあるんです」
産卵行動には段階があり、現在そのエリアの魚がどういった状況であるかをまずは把握するわけだ。
佐竹「産卵エリアというのは基本的に水深は浅いことが多いため、バスが産卵を強く意識しているタイミングであれば、姿を多く見られるはずです。逆に明らかにスポーニングしそうな場所であるにも関わらず、魚が見られないこともあるかもしれません」
魚がいなければ当然釣れるはずもないが、スポーニングエリアで見られる魚の場合は産卵で頭が一杯で、いてもほとんど口を使ってくれないのだという。
佐竹さんはよく『観察』した上で、釣れるバスの居場所を狙うのだ。
戦略A:アフターの魚を追う
佐竹「スポーニングエリアに魚がいない場合、その場所一帯の魚はもう産卵を終え、体力を回復させる段階に入っているかもしれません。また、スポーニングエリアに魚が見えた場合であっても、いち早く産卵を終え、回復に向かっているバスがいる可能性は十分にあります」
つまりそれらアフタースポーニングの魚を狙うわけだ。
佐竹「スポーニングエリアからそう遠くない、縦ストラクチャーや流れから身を隠せるちょっとした場所をまずは狙ってみてください。そしてそういったところをラン&ガンしていくんです。スポーニングエリアの魚影が薄い(=アフターが多そう)なら、なおさらそれを意識して場所を回ります」
そしてこのタイミングででかバスを狙うヒントも、この延長線上にあるのだという。
佐竹「いち早く産卵を終え、どんどん回復している魚はでかいことが多いんです。そういった個体の場合、すでに流れの中にいることが多いのでそれを狙います。シーズンが進むと回復した小型個体も釣れるようになってしまうので、早い段階ほど、デカイ魚を選んで釣ることが出来ますよ!」
戦略B:フィーディングタイムに狙う
佐竹「スポーニングエリアで見られる魚ですが、実はそこから移動するタイミングがあり、そちらでなら釣れる可能性があがるんです。それがいわゆるマズメ時、つまりフィーディングタイムのフィーディングエリアなんです」
産卵場所付近をウロウロしている魚であっても、その全てが今まさに産卵行動を起こそうとしているわけではない。例えば、場所をまだ見定めていない魚もいるわけだ。
佐竹「そういった魚たちの場合、スポーニングエリアから離れすぎない範囲でフィーディングスポットを見つけて捕食していることが多く、それを狙う釣りが成立するんです。例えば、ワンド状のスポーニングエリアがあったとすれば、壁などのベイトを追い込みやすいフィーディングエリアを、そのワンド内で探します」
ルアーは『スローな展開』を意識
佐竹「いずれの展開の場合であっても、バスのコンディションは決して良いとは言えませんので、ルアーはスローに見せられるものが中心となります。ノーシンカーやホバスト、スモラバなどは特にテンポが遅いため、サイトフィッシングや、ここぞというピンスポットを攻める時に使いますね。狙いたいスポットがある程度広範囲であれば,シャッドテールを使うこともありますよ。具体的なルアーは下記のとおりです」
ファクト ゲジ-(エバーグリーン)
2021年登場予定の福島健さんプロデュースの沈む虫。非常に生物的なシルエットとよく動く手足の微振動がバスを魅了する。
佐竹「縦のスローな動きに反応するときにノーシンカーリグで使います。サイズは1.8inですが、ノーシンカーでもよく飛ぶのもありがたいですね」
ファクト ラストエース80F(エバーグリーン)
超リアルな見た目で文字通り多くのアングラーの切り札的活躍を見せるラストエースのフローティングモデル。素材にエラストマーを使用しており、安定した浮力と頑丈さも魅力的だ。
佐竹「サイトフィッシングの際に、横のスローな動きに反応がいいときにはこれのホバストがおすすめです」
C4ジグ+C4シュリンプ(共にエバーグリーン)
福島健さん渾身のスモラバ&トレーラーの王道コンビ。あらゆるシチュエーションに対応するC4ジグと、バスの好みを具現化させたC4シュリンプの組み合わせはまさに鉄板!
佐竹「サイトフィッシング時にボトムでの反応がいいときに使います」
バスエネミースティック3in(エバーグリーン)
あらゆるリグに対応するピンテールワーム。そのシルエットはまさしくベイトフィッシュそのものであり、全国各地で捕食されている様々な小魚を演出できるのだ。
佐竹「ダウンショットリグでボトムを狙う時に使います。C4ジグとはシルエットの違いや微妙なレンジの違いで使わいけます」
ボウワーム5~6in(エバーグリーン)
前後で逆向きのリブがデザインされた唯一無二のストレートワーム。豊富なラインナップであらゆるフィールド・シチュエーションに対応することが可能。
佐竹「ネコリグでつかいます。サイズですが、濁りの状況に応じて5inか6inを使い分けていますよ」
ヘッドシェイカー5in(エバーグリーン)
琵琶湖生まれの対ビッグバス用シャッドテールワーム。あらゆるリトリーブスピードで使える優れた安定感を持つ。
佐竹「スローといいつつも、広範囲を探る際にノーシンカーリグで使います。流れの中でも安定して巻けるので、アフターの魚を狙いつつもそのままのタックルでカレントに潜むすでに回復した大型魚を狙い打つこともできます!」
どこでも誰でも成功する
佐竹「サイトフィッシングが個人的に好きなので紹介した釣りはそれが中心になりますが、サイトを成功するための大きなポイントはバスがこちらに気がつく前にアプローチすることなんです。先手を取れればそれだけでもかなり成功率はアガるはずです。そのために、遠くからバスを見つけ遠くからアプローチできることが重要になりますので、意識してもらえたらいいと思いますね」
そして今回のこの考え方はどこでも通用するのだという。
佐竹「紹介した釣り方やバスの見つけ方は、全国各地のフィールドで通用するはずです。自分が釣りをしようとしている場所はスポーニングのどの段階になっているか? それを意識して、ポイントを選んでいってもらえればと思います!」
菊元俊文さんから一言!
菊元「佐竹陸の年齢は若いけれど、バス釣りのみならずソルトの釣りもかなりやり込んでいるので、狙う魚の習性、その魚が好んで捕食しているベイトフィシュの種類やその行動まで読んで釣りをしている印象がある。
記事中、産卵期にはいち早く回復したバスを狙う記述があったが、補足としてまだ産卵に入る前のプリススポーナーも同じ捕食場所で狙える。また彼はサイトが得意中の得意でバスに見つけられる前に遠くから見つけるとあるが、確かにそれが理想。しかし自分の年齢では到底、佐竹のように遠くから見つける視力は失われて久しい。
なので、今後のためにやってほしいことは、バスに気付かれてなお口を使わせるプレゼンテーションや手法を磨いてさらなる成長に期待している。またおかっぱりだけでなく、ボートから未知のフィールドでバスを探す修練を積んでほしいかな」