琵琶湖人気ガイド「たまらんばい」永野総一朗の遠賀川修行に1日密着! 原点となる、福岡県遠賀川のバスを攻略する! 〜後編〜



予約が取れないことで有名な、超絶人気琵琶湖バス釣りガイドの永野総一朗さん。彼の野望は全国各地のフィールドで腕を試し、学び、レベルアップすること! 今回は、彼の出世の地福岡県にある遠賀川を攻略する。前半はライギョ1尾と厳しい戦いだが、果たして後半は!?

【Profile】

永野総一朗(ながの・そういいちろう)

1988年2月25日生まれ。魚座。B型。グランダー武蔵世代で小学3年生からバス釣りを始める。筑後川が本当のホーム。小学校6年生の頃に琵琶湖の魅力に取り憑かれ、家族旅行で年一で通い、大学進学を期に滋賀県へ在住。琵琶湖の自己レコードは7~8年前にフィナのT BUMPとドライブクロー3inで釣った65cm5200g。スポンサー:ハイドアップ、バリバス、シマノ、昭和電気、ストラット。

【14:05】 菜の花大橋

バスキチで昼食を済ませた後、写真撮影を終えて午後の部がスタート。入ったのは、菜の花大橋だ。

永野「菜の花大橋を選んだ理由ですが、全体的にシャローのゴロタ場なんですが、そこでフィーディングが起きていて。遠賀川特有ですよね。水深は、投げてるところは30〜40cmくらいです。正直、川の釣りは苦手。タイドグラフを読むという経験がないのもあるし、基本浅いレンジの釣りに慣れてません。琵琶湖だと2mでドシャローなので」

小型のHUミノー77を橋脚へとキャストし、ジャーク&ポーズで探っていく。だが、ここでも反応を得られることがなかった。

永野「移動します、風が強くて釣りづらい(笑)。風が吹いた時にでも釣りが成立する場所を選びます。バスよりもまず、人間側が集中して釣りできる方が僕としては重要なので。それにしても、1発が欲しいですね。でも、出る感じはプンプンする。帰りたくないなー(笑)。琵琶湖帰る前にこの水系でとにかく1本釣りたいですね」

【15:00】 三度目の小規模水路

どういう状況下でも釣れる可能性があるという小規模水路へ三度目のエントリー。

永野「プラの時にも唯一釣れたのが小規模水路。午前中も、残念ながらライギョですが釣れましたし。この水路にひとまずの一本を期待してるんですが」

しかし、しばらくすると干潮の時間となり大幅減水。所々ボトムが露出し、さすがに魚がいない水深となったか。

永野「でも、魚はシャローから避難しても、水路内にいる可能性が高い。そうなると、場所が絞りやすくなるはずです。とりあえず、移動しましょう」

【15:43】 ポンプ場周辺

次なるエリアはポンプ場周辺。「イナッコのベイトが見えたのと、コイが泳げる水深があったから」という理由で選んだ。過去にもバスをキャッチしたことのある実績場だ。

永野「ここで釣って、最後はフィーディング場で締めたいですね」

〜たまらんばい的エリア・状況の見極め方〜

永野「初場所や経験が少ないフィールドでの立ち回り方ですが、僕はとにかく目で見てわかる大きい変化があるかどうかを念頭に置いています。小さい変化は、ロコアングラーには敵わないですし、時間も限られている」

永野「また、晴れてポカポカした日の夕方は、だいたい浮いてるんでボトムのズル引きだと厳しい。朝は冷えるからボトムでも良いんですが、気温が上がるとバスが浮いちゃってボトムの釣りが成立しなくなります。そうなると、朝と同じことやってもダメですね。こんな感じで、こういう時にこれはやっちゃダメという風に絞ることもあります。例えば、冷え込んでる時にスイムジグなんかには追ってこない。逆に、ポカポカした状況下でのクランクとか」

【16:34】 2度目の犬鳴川

小規模水路、ポンプ場周辺をフリーリグで細かく撃って探してきたが、なかなかに魚の反応は薄い。ここで、意を決して本流のフィーディングを狙いにいくことに。訪れたのは、二度目となる遠賀川支流の犬鳴川だ。

永野「使うのは、HUミノー77と朝の111サイズからボリュームを落としました。アピール力が弱いから気づいてもらうようにするのと、美味しいエリアだからこそ重点的に攻めるという意味で」

朝と同じように、新入大橋上流の橋脚跡まで細かく刻みながらルアーを引いていく。

「たまらんばい」の由来とは?

永野「福岡県出身なんで、それがわかる釣りをしたくて。お客さんにも魚釣ってたまらんばいと言って欲しかったんですね。また、英語の『Time around by』と掛けています。『〜によって巡ってくる時間』という意味なんですけど。僕のガイドによって巡ってくる時間を楽しんでくださいという意味合いと、今釣りを楽しんでいる時間が何によって巡ってきているのか。自分が何のおかげで釣りを楽しめているのかという感謝の心を忘れないようにという意味で、タイム・アラウンド・バイとたまらんばいを掛けています。ガイドを始めた時にその屋号で始めましたが、今ではたまらんばいと検索してガイドに来てくれるお客さんが増えたので、よかったなと思っています」



【17:15】 電線下

2度目の犬鳴川のアタックも、残念ながら不発に終わる。

永野「さすがに、一筋縄ではいかないですね。ここまできたら、本流の魚をなんとか獲って終わりたい」

実釣終了の合図である日没まであと1時間と少し。永野さんが、ラストアタックに選んだのは朝に集合した九州縦貫自動車道下から下流へ歩いたところにある電線下のエリアだ。持っていくのはスピニング2機種。

永野「これまでフリーリグとか色々試す中で、まだミドストやライトリグ系をやってないからフォローで一本。メインはHUミノー77ですね」

電線下に到着し、終了までやり切る覚悟で釣りを再開。

永野「このエリアも、ハードボトムですね。手前は浅く、沖にブレイクがあります。水路は別として、今まで立ち回ってきたエリアで共通するのはハードボトムかどうか。それが、今回のキーになっていると思います」

ミノーをメインでキャストしつつ、ミドストも試す。

永野「ミドストというか、ボトストというか。沖のブレイクをフワフワ漂わすイメージで釣るんですが、これはちょっと効率が悪いですね。自分の経験値だと、点で釣るのが不安が大きくて、釣りが成立していないように思えます」

太陽の一部が欠け、半分が欠け、そろそろ全体が山に飲み込まれていく…。日没まであとわずか。この時間帯で現状最も最適であろうHUミノー77を信じてひたすら巻いていくと…。

永野「キタッ!!」

ついにバイトが訪れた! マッカレッドシグネチャーのロッドが綺麗な弧を描く。慎重にファイトをすると、ついにその姿を現した。バスだ! 手繰り寄せてその個体を手にするのを固唾を吞んで見守る。

永野「苦節4日! ついにやりました! ツートゥイッチ、ワンストップのアクションで引いていき、ブレイクあたりで根がかったと思ったら急に走り出しました! ラストのラストで一発! 釣りたまらんばい!! アザーっす!!」

年々個体数が減って、フィールドのレベルが上がっていると言われる遠賀川。だが、地元である以上なんとしてでも今回の実釣で攻略したかった永野さん。ロケ日前のプラクティスに3日間を費やしても本流の魚を触れなかっただけに、この1尾は相当価値あるものになった。

~たまらんばい流PEセッティング~

永野「ラインは、デッドオアアライブPEを使用しています。ラインカラーがPEでは珍しく水に馴染むグリーン調。自分は0.8号、ウルトラパワーフィネス PE X8を使用しているので強度も十分です」

永野「リーダーは信頼と実績のアブソルートAAAをサージェンスノットで組んでいます。FGよりももちろん強度は弱いんですが、今までキャストとか、琵琶湖のロクマルクラスなどで抜けたりしたことはないです。バスでスピニング、しっかり号数を合わせていたら全然大丈夫。切れた時に、すぐに結べるというのが大きなメリットですよね」

原糸8本で高強度、かつ飛距離と耐久性を極限まで高めたデッドオアアライブPE。ヘビーカバーやブッシュの奥に潜むバスを、圧倒的パワーで引きずり出すことができる性能はパワーフィネスにもベストマッチする。

遠賀川実釣インタビュー後編

ーー今日は1日お疲れ様でした!

永野「お疲れ様でした!いやぁ、よかったっすー!(泣)」

ーープラの時から苦労されていたみたいで。

永野「釣れてなかったですからね(笑)。だから、今日の1尾は琵琶湖の60アップ3本釣るより嬉しい。なにより、地元福岡で達成できたのが嬉しいですね!」

ーーどんな組み立てでプラは回ったんですか

永野「お世話になってるこっちの方に遠賀川の大場所の特徴を確認して、実際に自分の目で見て確認していく作業をとっての擦り合わせを行なっていました。ここは、浅いハードボトムで、沖にブレイクがあってとか。また、どういうルアーが釣りしやすいかを見たんですが何も反応しないので、そこはわからないまま。ただ、トータルで行き着いたのが、水路は別としてとにかく浅いハードボトムに付いている個体を釣るというのが、巻いても撃っても共通で一貫していたので、浅くてごりごりしているところを本流メインで組み立てて行きました。

永野「菜の花大橋も、犬鳴川も、朝の中島橋上流スロープ周辺もそうです。そこら辺が共通して浅いハードボトムなので。なかなか自分がやらない場所。琵琶湖でのシャローはせいぜい2m前後で、この辺りは数十cmですので(笑)。普段やらない分、苦戦を強いられました」

ーー実際に釣りをしてみて、改めて遠賀川の印象は?

永野「難しいのは変わらないですが、面白いというか、琵琶湖の釣りに通ずる何かがあるかなと。この釣りを琵琶湖で生かすこともできそうだし、霞ヶ浦とか他の浅いフィールドとかで活かせそうですね。一見琵琶湖のアングラーにしたらどこも硬いんですが、岩とか(笑)」

ーー遠賀川でこれから釣りをする方に向けて

永野「これは一応他社なんですが、遠賀川大明解マップというものがありまして」

一同爆笑。

永野「優れたガイドマップがありますので、一回手に取ってもらって(笑)。もちろん、自分で開拓していくのもアリです。SNSで情報を入手したり、いろんな人とのコミュニケーションが取れる時代なので、地元の釣りをしている人にいろんなことを尋ねてみるのが早いと思います。郷に入ったら郷に従うみたいな。それで、ここ釣れますよと言われたところでも、簡単には釣れないですから(笑)。そこからが、腕の見せ所だと思いますね」

ヒットルアー&使用タックル

終了までラスト数分のドラマチックな1尾をヒットさせたのが、HUミノー77だった。

永野「水深で言ったら50cm〜1m以浅。食い上げさせるミノーなので、必ずハシゴ・ジャンプ台理論を考えます」

たまらんばい的ハシゴ・ジャンプ台理論を知りたい方はこちらの記事もおすすめ。

永野「ミドスト、ミノー、トップ、チャターなど下から食い上げさせるタイプのルアーは必ずバスが上下運動ができるハシゴ、縦ストが必要です。例えば、岩でも良いし、ブレイクなどのジャンプ台、バスがそれに沿って上下運動ができる何かがあるところを攻めるのが出しどころ。今回で言うと、石というボコボコしたところを引いていきました。逆に、何もないべったりしたところなどは、あまりお勧めできません」

使用タックル

撃ちもの用:フリーリグ

ロッド:Macca Red Signature HUMRC-65MHST/RS(ハイドアップ)
リール:メタニウムXG(SHIMANO)
ライン:アブソルートMG18lb(バリバス)

巻きもの用:ミノーHU70

ロッド:Macca Red Signature HUMRC-65M+/RS(ハイドアップ)
リール:メタニウム(SHIMANO)
ライン:アブソルートMG14lb(バリバス)

ビッグベイト、スコーン用:Nグリ

ロッド:Macca Bleu Signature HUMRC-71H(ハイドアップ)
リール:メタニウムMGLHG(SHIMANO)
ライン:アブソルートMG16lb(バリバス)

ミノー・シャッド用:HU-ミノー77

ロッド:Macca Red Signature HUMRC-63MLST(ハイドアップ)
リール:ヴァンキッシュ2500HG(SHIMANO)
ライン:デッドオアアライブPE0.8号+アブソルートAAA8lb(バリバス)

ミドスト用

ロッド:Macca Red Signature HUMRC-65Lミドストスペシャルプロト(ハイドアップ)
リール:コンプレックス2000(SHIMANO)
ライン:デッドオアアライブPE0.8号+アブソルートAAA7lb(バリバス)