アジのアタリがありました! そこから、そのアジを釣り上げるためには、アワセ、そしてファイト。そこからランディングに繋げなければ釣り上げたことになりません。ここでは、最後のツメの部分について解説したいと思います。
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見やすくなってる、文章を校正している以外はWebと同じですけど、ここまで体系だててるテキストはないですよ〜!
第15章 魚をキャッチする技術
アプローチまでは完璧、魚に食わせることができたとしても、それをキャッチできなければ釣りは成立しません。そのためにはアワセの技術、ファイトの技術、ランディングの技術を磨かなければなりません。この章では、その3つの一連の動作の基本を、順番に解説します。が、その前の大事な情報、魚の「アタリ」についても理解深めておく必要がありますので、まずはそこから考察していきましょう。
【Part.1】アジのアタリとアワセ
アジはエサを吸い込むように食べる魚です(魚の多くが結局この食べ方ではあります)。特に、アジは歯もなく、掃除機のようにエサを吸い込みます。ハタ類のようなフィッシュイーターのように、強いバキューム力もなく、非常に繊細な部類です。
プランクトンなどの群れの中に突っ込むと、浮遊するものを手当り次第吸い込んで、エサとなるものはそのまま採餌、そうでないゴミなどは吐き出す。これを繰り返します。そんな習性だからこそ、アジングの根幹となっている技術はドリフトとフォールを主体とした「ジグ単」だと言えます。
では、そもそも、どのような所作が「アタリ」となって、ラインを通し、ロッドに伝わっているのでしょうか。実はこれは非常に単純で、ラインテンションが掛かった瞬間と、抜けた瞬間です。いくつかのアタリがでるケースを考えてみましょう。すると、意外に画一的でなかったりします。
- ラインのたるみが残っており、ドリフトやフォール中のジグ単をアジが吸い込み、反転した瞬間。
- ラインが張り気味でドリフト&フォールしているジグ単をアジが吸い込んだ時。
- ラインは張らず緩めずの状態だが、通過するアジがジグ単を拾い食いして捕食し、そのまま通り抜けてラインが張った瞬間。
- ラインはルアーが流れにのっており、やや張りがある状態(ティップには負荷が掛かっている)で、下からアジが食いあげて、逆にテンションが無くなった時(抜けアタリ)。
- ジグ単を吸い込んだアジが上手くジグ単を吐き出せなかったり、逆に本当にエサだと思って腔内押し込もうとモゴモゴした時
……。実は、他にもいろんな状況が考えられます。で、なぜ、ここまで例を上げたかというと、例えば「魚が反転したときでないとアタリが出ない」だとか、何々の時でないとアタリが出ないとか、色々言われることがあるのですが、もっとシンプルでラインテンションがロッドに伝わるくらい掛かったときにはアタリは出ます。
これは、ジグ単の流し方、ラインの張り方ひとつで変わってきます。ラインのスラック(たるみ)が多い状態で、仮にアジが反転しても最悪、アタリが出ないこともあります。ということは、ラインは張っている状態ならいいのかというとそういうわけではありません。ルアーが自然に流れるテンションになっていないと、魚がルアーを加えても違和感を強く感じ、すぐに吐き出したり、ドリフトの姿勢に違和感を感じてそもそも喰い付かないなんて減少が多発します。そしてアタリがあったら……。
可能な限りアワセてください。ほんの少し、数cmのイメージでロッドを煽ってください。
これで、アワセが完了です。実際、アワセなくてもアジの方から反転したり走り出したりしてフッキングに勝手に至る事態がほとんどですが、魚が違和感を感じてルアーを吐き出そうと首をふったりしている状況だと、まんまと吐き出されてしまうことがあります。そういった場合はアワセをすることで、その魚をフッキングすることができます。
【Part.2】ファイトはドラグを利用する!
アジは青物です。ヒットすると直線的に突っ走ります。横方向か。縦方向か。アワセやラインテンションによる違和感を感じた瞬間に抵抗を始めます。しかも急激なスピード変化です。このときに、リールのドラグ設定を適正にしておけば、ラインに急激な負荷がかかりにくくなりますのでラインブレイクが防げます。
ラインには強度が設定されていて、アジングの場合は0.3号で1lb強。つまりgにして453〜500gがぶら下がっても切れない設定です。瞬間的な負荷で強度以上が出ることがありますが、そういったブレイクを防ぐのがリールの役目です。正確に計りなどで調整する方法もありますが、手でラインを引っ張って、ズルズルとリールスプールからラインが引き出されるくらいに、まずは調整してみてください(ちょっと緩くない? くらいでOK)。
アジが掛かったら、バットやミッドが、アジが走る方向に対して90度に近い角度でファイトしてみてください。ロッドの反発力を最大限に活かし、なおかつドラグの抵抗力で魚の体力を削ることができます。相手の抵抗力が弱まったら、焦らずにロッドワークで魚の向きを徐々に自分の方に向けてください。
魚はバックすることができません。ですので、自分の方に走る魚が向いたら後は巻くだけです。魚が障害物に走ろうとしたら、無理やりそこから引き剥がそうとせず、走るルートを少しずらすくらいの意識で誘導してください。
ドラグは、魚が遠いときに、やや強め。近づいてきたら緩め。これが基本です。逆にしてしまうとブレイクしやすくなります。
【Part.3】ランディングは素早く焦らず!
アジングは、堤防や港など、足場の高い場所で楽しむことが多い釣りです。では、足元まで魚を寄せきったらどのようにしてランディングすればいいでしょうか。まず、ドラグは締めすぎないでください。たぶん、ファイトしながらラインが出て、ドラグがジーっと音を立てているかもしれません。それでOKです。ロッドを立てすぎないようにして、そのままリールを巻き続けながら、「せーの」で引き抜いてください。あまり急激なロッドを動きはしないように!
ネットがあれば上がってきたアジをすくい上げましょう。引き上げているときにもアジの重さで、ラインが出ていくかもしれません。その場合もめげずにリールを巻き続けてください。
それで引き上げられないようなアジは、伸縮式のランディングネットですくい上げるしか他ありません。ぶら下がっている魚がライン強度以上の重さでなければ抜き上げることができるはずです。あとは、フィッシュグリップでホールドでして写真を撮るも良し! 食べるためにバケツに入れるも良し! 釣り過ぎたらリリースしたいですね!