シマノの新作ベイトフィネスリール徹底インプレ!『SLX BFS XG』は“価格破壊”とも言える死角なき高スペック!



同一メーカー、同一用途のタックルを3つの価格帯から選んでその差をつまびらかにするのがこの企画の主旨。しかし今回のシマノベイトリールは、用途に違いのある3台という、異色の組み合わせでインプレを強行する!第1弾は超ハイコスパベイトリール「SLX」のベイトフィネスモデル『SLX BFS』。フィッシングショーより大注目なこのリールはベイトフィネス界に革命をもたらす可能性あり!? ベテランフィッシングライターが余すことなくインプレッションしてきました!

【Profile】

3Gテスター・テッペイ

3Gインプレッションの初回からテスターを勤めるベテランライター。契約メーカーゼロという逆境を逆手にとって、メーカー忖度なしのインプレ記事を寄稿。所有するタックルもミドルグレード中心で、読者目線に近い。

恐るべき高性能の、恐るべきベースグレード。ベイトフィネスにも価格破壊を起こす『SLX BFS』

FTB搭載で高度なベイトフィネスを実現

シマノのベースグレードの性能を大幅に底上げしてきたSLXシリーズに、待望のベイトフィネスモデルが登場! スプールからブレーキユニットを排して軽量化を図り、さらに回転数に応じてマグブレーキの強弱を変える「FTB(フィネスチューンブレーキシステム)」を搭載。X-SHIP、HAGANEボディなどの基本性能も盤石な布陣だ。

【スペック】

●ギア比:8.2
●最大ドラグ力(kg):3.5
●自重(g):170
●スプール寸法(径mm・幅mm):32・22
●フロロカーボン糸巻量(lb-m):8-45
●最大巻上長(cm/ハンドル1回転):82
●ハンドル長(mm):42
●ベアリング数(BB/ローラー):5/1
●価格:26,400円(税込み) 
※LEFT=左ハンドルモデルは4月、RIGHT=右ハンドルモデルは6月発売予定
※XGはエキストラハイギア仕様

POINT.1 SLX BFS外観デザイン

質実剛健さとスピード感を印象付ける外観

スパルタンなマットブラックに、パーミング側のカップにはSLXであることを強烈に主張するロゴを印字。そのロゴと差し色に使われているメタリックブルーが、全体的にスピード感を持たせている。個人的にこのデザインは嫌いではない。高級感はそれほど感じないけれども、高級感は釣りに必要ないから。

POINT.2 回転・巻き心地

不必要な円滑さは求めず、必要にして十分

送られてきたのが左ハンドルモデルだったので「普段右巻きだから、巻きにくいかな?」と危惧したが、それは杞憂に終わった。ボディが軽く、スプールのシャフトが握る手の中央に位置している感じがあり、巻き心地は良好。大量のベアリングで支持されている滑らかさではないけれど、必要にして十分。

POINT.3 キャストフィール

キャスティング

まずは1/4ozのグリフォンを投げたら、ラインが全部出ていくほどよく飛んだ。次に3.8gのレアリスシャッド52MRを投げたが、逆風下でも十分な距離を飛ばせた。スモラバ、ダウンショットリグ、カットテールのノーシンカーまで、スピニング並みに飛んだ。トップレベルのベイトフィネス性能だ。

グリフォンを投げたら、巻いたラインがすべて出てしまった。8lbを9割ほど巻いていたので、約40m。レギュラーウエイトのルアーには糸巻量が足りないかも。

ピッチング

1.3gの自作スモラバ&ハリーシュリンプ3inの組み合わせをピッチングすると15~20m先まで楽に飛ばせた。ブレーキダイヤルは3。最軽量リグとしてカットテールの4inノーシンカーもピッチングしたが、楽々という感覚ではないものの、スモラバと同様な飛距離を出すことができた。

カットテールのノーシンカーを投げると、ベイトフィネス性能がよくわかる。その点SLXBFSは、オーバーヘッドでは驚異的な飛距離を出し、ピッチングでも合格点をクリアした。



POINT.4 ブレーキ

マグと遠心、いいとこどりのFTBに感服!

「マグネットブレーキなのに、なんとなく遠心ブレーキ的な効き方をするなあ?」と、思ったら、このFTB(フィネスチューンブレーキシステム)まさしくそれを目指したものだった。オーバーヘッドからピッチングに切り替えてもダイヤル調節はほとんど必要なく、だいたいのルアーで目盛は3か4でいい。

ブレーキダイヤルは、爪さえ伸びていれば楽に調節できる。適度な硬さがあって何かのはずみで設定が狂う心配もない。最大は6で、3か4がベスト。追い風なら2も使える。

POINT.5 ドラグ

音でドラグの仕事を把握するアドバンテージ

ドラグノブは軽く動かせるので、ファイト中でも調節しやすい。ドラグが滑るときは、エキサイティングドラグサウンドが発生。この音はドラグの効き方がわかるし、嫌いではない。でも、ドラグの均一な負荷に若干抑揚をつけているように思えるのは俺だけ? 釣果には影響しないレベルなので問題はないけど。

ドラグノブのタッチはやわらかく、スムースに動かせる。ピッチも細かくて、ベストな設定を見出せるはずだ。ドラグ力は3.5kgだが、締めこむと、ほぼフルロック状態になる。

POINT.6 総合的使用感

欠点の見つからないベイトフィネス界の新星

マイクロモジュール的なシルキーさはないものの、決して巻き心地は悪くない。キャスタビリティーも申し分ない。ベイトフィネス機としての欠点は見つからなかった。名機16アルデバランBFSに肉薄する能力なのでは? レギュラーウエイトのルアーには糸巻量が足りないので、細い6lbも試したかった。

POINT.7 価格

ベイトフィネス初心者も安心して買える価格

ネット通販で検索すると、実勢価格は17,000円台? これは安い! 反射的にポチっとしてしまうところだった。シマノがこの価格帯にベイトフィネス機を登場させるのは初めてらしいが、この性能なら価格破壊と言っても過言ではない。ベイトフィネスデビューの方には、自信を持ってお勧めします。

ベイトフィネス入門者はこれで決まりだな!

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