同一メーカー、同一用途のタックルを3つの価格帯から抽出し、その差を明らかにするのがこの企画。今回は熱い視線を浴びているDAIWAの新型ベイトリールを検証! 第1弾は今年に16年来のモデルチェンジを行った「アルファスSV TW」。DAIWAの先端技術&コンセプトをギッチリ詰め込んだこの機種、こねくり回させていただきました!
【Profile】
3Gテスター テッペイ
バス歴42年、ライター歴25年を誇る、プロフェッショナルアングラー。3Gインプレッション開始時からテスターを務め、インプレは職人芸の域だ。メーカー契約ゼロなので、歯に衣着せぬ舌鋒で、新製品を一刀両断!
ミドル級の新時代はDAIWAアルファスが拓く!【アルファスSV TW 800XH】
独自技術SV、TWS、ハイパードライブを搭載!
実に16年ぶりとされるフルモデルチェンジを遂げたアルファス。新設計のボディはコンパクト化され、SVコンセプトとTWSを搭載してキャスタビリティーも大幅にレベルアップ。
更には次世代コンセプト「ハイパードライブデザイン」を導入。デジギヤの強度やボディ剛性を上げるなど、初期性能が衰えにくい設計になっている。
【スペック】
●ギヤ比:8.1
●最大ドラグ力(kg):4.5
●自重(g):175
●スプール径:32mm
●ナイロン/フロロカーボン糸巻量:12lb-45~90m
●最大巻上長(cm/ハンドル1回転):81
●ハンドル長(mm):85
●ベアリング数(BB/ローラー):7/1
●価格:36,080円(税込)
POINT.1 アルファスSV TW 外観デザイン
全ての曲線が究極のパーミングに結びつく
カラーリングはホワイトシルバーとブラックのツートンカラー。全体的なフォルムは、卵型というか、勾玉のような形状で、極めてコンパクトだ。実際のパーミング感は素晴らしいの一語。
アルファスの紋章ともいえるサムレスト部のブランキングは、デザイン的には好みが割れるところかもしれない。
アルファスSV TW 800 各部カット(クリックで拡大)
POINT.2 回転・巻き心地
じゃじゃ馬ルアーもいなせる手綱さばき
とにかく圧倒的にパーミング感がいいので、リトリーブ中も本体がしっかり安定する。当然、巻き心地もよくなるのだ。
メインフレーム、サイドプレートなどがアルミ合金なのでボディ剛性も高く、かっちりした感触。ウイグルワートやレスト128など、比較的巻き抵抗の重いルアーでも、心地よく巻けた。
POINT.3 キャストフィール
キャスティング
やや追い風でカバースキャットのノーシンカーを投げてみたら、目測だけど50mくらい飛んだ。また、岸から写真の橋脚までの距離を地図アプリで調べると約50m。横風が吹く中、レッドペッパーを投げると橋脚に激突した。50m以上飛んだに違いない。かなりの遠投能力を持っている。
ピッチング
ピッチングもカバースキャットでテスト。通常のシチュエーションなら20段階あるブレーキを6くらいの設定できれいに飛ばせる。
コツは力まずに投げること。エアブレーキシステムがオートマチックにピッチング仕様のブレーキをかけてくれる。逆風下では強めの10~12に設定すると、安全にピッチングできる。
POINT.4 ブレーキ
SVコンセプトとエアブレーキが安全を保障
フルキャストした際の高回転時にはブレーキが強く効いて、ピッチングなどの低回転時にはブレーキが弱めになるという「エアブレーキシステム」は、確かに機能しているようだ。
また、3.8gしかないレアリスシャッド52MRも、ブレーキ設定6でスピニング並みの飛びを見せてくれた。軽量ルアーもいける。
SVとは「ストレスフリー・バーサタイル」の略。SVコンセプトとは軽量リグから重量級ルアーまで、広大なジャンルのルアーをストレスなく扱うコンセプトを意味する。その核となるのが、このSVスプールになる。
ブレーキダイヤルは目盛りが20段階もある。ほとんどのルアーは6~10の設定で快適にキャストできる。追い風なら3、向かい風なら12も選択肢に入る。
POINT.5 ドラグ
ライトラインでも戦えるUTDのアシスト
ミドルグレードながらDAIWAの誇るUTD(アルティメットトーナメントドラグ)を装備。ドラグノブの調節時にはクリック音が出るが、ドラグが滑る際は無音。滑り始めのレスポンスもよく繊細な設定もできる。
ドラグノブはザイオン素材を使っている。だから軽くて丈夫で触った感触もなんとなくソフトだ。UTDは初期の固着を低減させて、ムラのない負荷をかけていく、信頼のドラグシステムで、しっかり機能していると思う。
POINT.6 総合的使用感
パーミング性が釣りのバリエーションを拡大
とにかく手で握った時のフィット感がずば抜けていい。だから操作性も高く、3/4ozある大型ミノーのレストのトゥイッチングから1gのスモラバを中層でシェイクするなど、剛柔を併せ持った演出が可能。キャスティングもレストからスモラバまでをカバーできるので、ルアーの守備範囲は極めて広い。
POINT.7 価格
間違いなくリーズナブルな価格設定だ
ネット通販で検索すると、22,000円前後が相場のようだ。最新のハイパードライブデザインを導入したリールをこの価格で手に入れられるのはお買い得だろう。ベイトフィネス的にも使えるし、耐久性の高さも嬉しい。ミドルグレードのベイトリールを新調したい人なら、候補に入れるべき1台だと思う。
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!