昨年再始動を果たし、多くのアングラーに影響を与えているメガバスのソルトブランド『礁楽』。これまでにも様々なソフトベイトをリリースしてきたのだが、シリーズ中、もっとも時間のかかったモデルとなった『フワバグ』がついに発売されることに!! ロックフィッシュのメインベイトが「カニ」であることに着目し、徹底的に「カニ」を追求した『フワバグ』の性能はいカニ!?
語ってくれるのは『令和の三平』大塚涼奨さん!
【Profile】
大塚涼奨(おおつか・りょうすけ)
ロックフィッシュアングラーなら誰もが憧れる宮城県の聖地・牡鹿半島をホームに活動するメガバスのプロスタッフであり、アイナメやベッコウゾイといったロックフィッシュを筆頭に、様々な魚種を狙うマルチアングラー。今回紹介する『フワバグ』のアイディアは大塚さんによるもの。黒いタオルがトレードマーク。近頃、偽物が出没しているとか…
ロックフィッシュの好物はカニである!
大塚「ロックフィッシュ用のワームって、クローかホッグ、つまりエビを模したものが多いじゃないですか。でも、ロックフィッシュって実際のところ、エビよりカニのほうが食べていると思うんです」
ーーなるほど。それでカニ型のワーム『フワバグ』を作ることになったんですね。
大塚「そうなんです。だから礁楽再始動のお話を聞いたときに、初めに発案しました。それでも時間がかかってしまいましたが」
ーー2020年に再始動した礁楽のほとんどの製品が2020年の内にリリースされていましたもんね。
大塚「完成までにも紆余曲折あって、最初のサンプルはエビみたいな形でした(笑)」
大塚「やはりあまり市場に無い形状のワームということで、メガバスも慎重になっていたのだと思います。ですが、ありきたりなものになってほしくなかったので何度も作り直してもらって、今の形になりました」
ーーそこまでこだわったカニのディティールの解説をお願いします!
ワームをいかにカニに近づけるか
中空ハードボディ
大塚「まずはボディマテリアル。カニの食感に近づけるため、かなり固いものを使っています。これにはロックフィッシュ用ワームとしても適している側面があって、重いシンカーで投げたり、根がかりの激しいフィールドで使うことを考えると素材は丈夫なものを使うにこしたことはありません」
ーー硬いとフッキング性能が気になります!
大塚「ですよね。そこでフワバグのボディは中空のチューブ型になっていて、バイト時に潰れることでフッキングさせやすくしているんです。逆に、スナッグレス性能に関しては、スリットとフックポイントを隠せる”仕切り”を設けることで高めています。ちなみにここでも素材の硬さが有効になってきているんです」
ーーチューブ形状で外側にしっかりとしたスリットが入っているって、確かにすごいデザインですね。
大塚「開発も苦労したと思います(笑)。ちなみに中空とはいえ、ボディのヘッド側には肉が詰まっているので、オフセットフックのクランク部分を安定してホールドすることができますよ」
ーー中空ボディだと内側に空気が入ってて…みたいな特徴はありますか?
大塚「特に武器になると感じるのがボトムに着底しているときですね。エアが入っていることで、ちょっとした海流だけでもユラユラと動いてくれるんです!」
動くけど動かない爪
ーー最大の特徴とも言えそうな大きな爪ですが、これにはどんなこだわりが?
大塚「本物のカニの動きに注目しまして、ルアーを大きく動かすときには爪も動くけど、フォールでは動かないように調節しています」
ーー本物がそう動くんですか?
大塚「そうなんです。逃げるときには爪も大きく動くんですけど、そのあとはスーッとほとんど動かずに沈んでいくんです。フワバグもそれに近づけていて、例えばロッドワークでリフトしたとき、つまり逃げるような動きをさせたときにはバタバタと動くけど、そのあと海底に戻る動きのときは爪は動きません。むしろ名前の通り、フワッと静かにフォールします」
ーーバス用ワームのVIOS ズルペタのクローも似た様な設計でしたよね。でも動くけど動かない設計というのも難しそうです。実際のところ、どのくらいの負荷までは動かないんですか?
大塚「先端にいくほど厚くする形状を取り入れることで、1ozくらいのシンカーに引っ張られるフォールでもあまり動かない設計となっています。その分、動いたときの水の撹拌力が強くて、、ボディが回転してしまうこともありました」
ーーそれはどのようにして解決したのですか?
大塚「ボディ下部に腹筋の様に肉を盛ることでクリアしました」
ーーボディの下側に重心を寄せたわけですね!
リアルさの鍵を握る足
ーーフワバグの何処がカニっぽいかと聞かれれればやっぱり足だと思うのですが、ここも相当こだわったのでは?
大塚「そうなんです! じつは最初のイメージはボディも横長でよりカニらしいシルエットだったのですが、フッキング性能の問題で今の形状になりました。加えて、強度の問題等で足も短くなりそうだったのですが、カニらしさを残し今までにないものにしたかったので、譲れない部分でしたね」
ーー水中ではどのように動くのですか?
大塚「爪が動かないフォールでも、足がピリピリとリアルに動いて誘ってくれます。また、ちょっとの引っ掛かりに対しても機敏に反応するため、ズル引きでは本物のカニが歩いているかのように微振動してくれるんですよ!」
ーー製造するのも大変そうな長い足ですが、ちぎれたりはしないんですか?
大塚「ボディ同様、硬めのマテリアルを使うことでなるべくその心配が無いようにしていますよ」
サイズ展開とリグとチューニング
ーーサイズ展開は3種類なんですよね
大塚「1.8in、2.5in、3.8inの3種類です。1.8inは港内でガシラを狙ったり、チヌを狙ったりと比較的ライトなゲームでの使用が多いです。ほかのサイズに比べ、ジグヘッドリグでの使用も多いですね」
ーームラソイ狙いにも良さそうですね(笑)。2.5inはいかがでしょうか?
大塚「個人的にも最も使用頻度の高い、オールマイティなサイズです。東北ならソイやアイナメ、関東から西ならハタ系全般にいいと思います。リグはテキサスかリーダーレスダウンショットが多いですね」
ーー一番大きい3.8inは大物狙いとかですか?
大塚「まさしく(笑)。小さい方の2サイズに比べて3.8inは明らかにボリューミー(笑)。ちょっと別物感があります。大型になる種類を狙うとき、ビッグフィッシュだけを狙いたいときなど、ここぞというときにテキサスやリーダーレスダウンショットで使いますね」
ーーテキサスリグはロックフィッシュ狙いではベーシックなリグだと思うのですが、リーダーレスダウンショットはどういった場面で使うんですか?
大塚「テキサスはシンカー止めを使わない、いわゆるシンカーフリーで使うため、ワームとシンカーが離れることがメリットとなる使い方です。逆にシンカーが離れないリーダーレスダウンショットは、よりピンスポットを狙うのに適しています。例えば、海藻の下にワームをしっかりと送り込むことができるわけです」
ーー他になにかオススメの使い方とかありますか?
大塚「チューニングとして、足をちぎってボリュームを抑えたり、フォールスピードを上げて使うことも出来ますよ」
ーー爪の方をとるチューンもありますか?
大塚「大いにアリです! 爪をとるとヤゴみたいになるんですよね。最初はなかったのですが、ヒゲを付けることで爪を取ったときのヤゴらしさがぐっと上がったんですよ」
礁楽の先輩?ホグ系ワーム『ロックホッグ』との使い分け
ーー礁楽からはすでに『ロッグホッグ』が出てますよね。見た目が違うのはわかるのですが、使い分けとかはありますか?
大塚「実はロッグホグとフワバグは真逆のコンセプトなんです。フワバグはすでに紹介してます通り、なるべく動かない様に設計しているわけですが、ロッグホッグはとにかく動き回る。軽いシンカーでも、短い小さな移動でもアーム部分ががバタバタと動いて誘ってくれるんです」
ーーボディの設計も違いますよね。
大塚「中空ボディのフワバグに対して、ロッグホッグは肉の詰まったボディ。それもヘッド側が太くなっているので、シンカーとの一体感が生まれやすく、遠投性能にも優れるんです。つまり、ロックホッグは広範囲に投げられて、フォールから回収までの間ずっと誘っていられるルアーなんです」
ーーサーチルアーのイメージですね。
大塚「そうなんです。そしてロッグホッグで得られなかった反応を、フワフワとフォールして誘えるフワバグを使ってじっくりととっていく、ということが出来るわけです。」
ーーなるほど! 確かに真逆のコンセプトです。それで礁楽から2種類のホグ系を出してるわけなんですね。
オススメタックルとカラー
ーー大塚さんはどんなタックルでフワバグを使用しているのでしょうか?
大塚「ベイトタックルなら礁楽のSL-811XXHです。ロングロッドなので遠投も出来るし、大きい魚がかかっても安心のパワーがあります。ラインは25lbのフロロカーボンです」
ーースピニングはいかがでか?
大塚「礁楽のSL-92HSにPE1号+16~20lbのリーダーを組み合わせて使っています。1.8inや3inをとにかく遠投させたいときがスピニングを使うときですね」
ーーおすすめカラーがあれば教えて下さい!
大塚「ロックフィッシュでは定番色であるクリアレッド」
大塚「甲殻類にによく似たカラーのブラックバック/クリアレッド」
大塚「水が綺麗なときやハタ系に有効なクリアオレンジ/レインボーフレーク、このあたりをまずは試してもらえればと思います! 」
大塚「ロックフィッシュはもちろん、バスも釣れていますのでぜひ使ってみてください! 発売が9月下旬~10月頃なので、もうしばらくお預けですけどね(笑)」