「いくつになっても、釣りを続けたい」魚を釣る喜びを知る人ならば、誰しもそう思うのではないでしょうか。しかし、実際は「肩が痛い、肘が痛い、手首が痛い!」と歳を重ねるにつれて不調箇所が目立ち始める。一箇所治ったと思ったら、また次の箇所が痛み出し、時には2箇所同時に痛む始末。長く釣りを続けていると、身体の不調もつきもの? そんな疑問を抱えているタイミングで、あの川島勉さんが「PCP」にて釣りに効果てきめんなトレーニングをするということなので、付いて行かせてもらった。
PCPとは
「カラダを変え、常識を変え、世界を変える」
「パフォーマンスアップで日本を元気にする」
そんなビジョンのもと “パーソナルトレーニング”の指導をする集団。スポーツ医学に基づいた論理的な指導はもちろん、ビジネスパーソンとしてのスキルやマナーにも長けたプロフェッショナルが、顧客ひとりひとりにピッタリと合ったトレーニングを提供してくれる。
今回PCPでトレーニングをするのはこのお方!
【Profile】
川島勉(かわしま・つとむ)
房総リザーバーをホームとし、独自の視点で釣りの楽しみ方を伝える。「楽しく釣れる」ルアーの開発にも余念が無い。釣りやルアー作りの様子は川島さんのYouTubeチャンネル「BEN CHANNEL」でチェック!
吉田「よろしくお願いします!」
目黒のトレーニングスタジオで元気よく出迎えてくれたのは、PCP代表の吉田さん。
【Profile】
吉田輝幸(よしだ・てるゆき)
1人1人の身体のコンディションに合ったパーソナルトレーニングを提唱し、PCPを主催するフィジカルトレーナー。世界で活躍するプロスポーツ選手や、EXILEに代表されるトップパフォーマーを指導。著書は「6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング」(幻冬社)など多数。
この日はトレーナーの笹川さんとともに、2人で川島さんのトレーニングをサポート!
まずはカウンセリングから
川島「運動らしいこと、ほとんどしてないから、全然ダメだと思うよー」
取材前の電話でそう話していた川島さん。その割には、引き締まったスタイルを維持し、動画でも絶妙なキャストをバシバシ決めている印象がありますが、はたしてその実は。
新型コロナウイルス対策として、消毒と検温を済ませて、まずはカウンセリングがスタート。
トレーナーの笹川さんからの質問にひとつひとつ答えながら、いま感じている身体の不調を相談。
笹川「まずは、今回トレーニングに取り組むにあたり、何かお悩みはありますか?」
吉田「身体の痛い部分とか、どんな動きで痛むとか」
川島「左肩、肩甲骨周りかな、可動域が狭くなっているような気がして。腕を上に上げると痛いんです。もうこれで痛い」
吉田「もうパッと見の姿勢でわかります。全然違うんですよ、右と左が」
川島「職業病かな、美容室のお客さんのシャンプーする姿勢がね。もう30年以上…。あと車に乗ってて、後ろの荷物を取ろうとしたときに痛みます。釣りのでは、ボートでバックする際に、後ろが見づらいです」
笹川「ではそういった痛みや不具合を改善するためのトレーニングをしていきましょう」
ひとりひとりに合ったパーソナルトレーニングとは
PCの画面を見ながら、PCPでのトレーニングの特徴を解説。ただ鍛えるのではなく、きちんとロジックを理解してから進めていくのがPCP流。お客さん一人一人に合ったトレーニングを提供するために欠かせない部分だ。
吉田「一般的なトレーニングって、ジムでの筋トレ、ヨガのようなストレッチ、あとはマラソンに代表される有酸素運動ですよね。でも本気で身体のパフォーマンスを向上させようと思ったら、3つだけでは少なすぎるんです」
もっと多くの種類のトレーニングが必要ということですね。でもそれってちょっと大変そう。
吉田「PCPでは最高のパフォーマンスを発揮するために必要な要素を、網羅的にサポートしていきます。最短距離で、そこに到達できるように」
たくさんのトレーニングを闇雲にやってたのでは、きっと時間がかかってしまうから、最短ルートを教えてもらえるというのは重要ですね!
吉田「サッカー、野球、バスケと、競技特性が違うと、それぞれに最適なトレーニングのバランスも違います。それを釣り人、いち個人の特性に合わせていくのが、パーソナルトレーニングです」
その人の特性を見極めて、最も効率的な方法を見つけるということですね。
吉田「肩が痛いからといって、その原因が肩にあるかというと、必ずしもそうではない。『木を見ず森を見よ』と言いますか、体全体を俯瞰的に見ることが大切です」
笹川「タブレットに川島さんの情報を入力していきます。氏名や年齢はもちろんですが、過去の怪我やスポーツ経験などの情報も。さらにこの後のコアパフォーマンステストの結果とともに登録すると、日々のトレーニングメニューをメールでお送りすることができます」
自宅でできるトレーニングメニューをメールで受け取れるのは嬉しいサービス! モチベーションも維持できそうです。
川島さんのコンディションは抜群!?
その後、専用の機械にて、身長・体重・筋肉量などいまの身体の状態を数値で把握していく。
笹川「川島さん身長、体重、体脂肪率など、適正のど真ん中ですね」
川島「そうなんだ!体重とか気にしてなかったけど、、、」
吉田「体重を気にせず適正値を維持できるって凄いですよ。あとは筋力的な部分ですね。人間は25歳を過ぎたら筋力は衰えていくので、筋力トレーニングは日々取り組みましょう。でもそんなに大きく筋肉のバランスが崩れているというわけではないですね」
さて、ここからは実際に身体を動かしながら、現在のコンディションを明らかにする段階に。その前にきちんと水分補給。
吉田「ハイ、どうぞ」
川島「フィジーだって!オシャレ!」
吉田「特に女性に好評です。アンチエイジングに効果的な成分配合なので」
さすが、PCPは水も一味違うんですね。
コアパフォーマンステスト開始
吉田さんから若返りウォーターをいただき、いざコアパフォーマンステスト開始。
笹川「ではここからは実際に身体を動かして、姿勢のチェックです。その様子をタブレットで撮影していきます」
川島さんの身体のコンディションをチェックするための運動だ。
吉田「日常生活で必要となる動きがほとんどです。例えば、しゃがんで立つ。この動きが本当に正しくできているかどうか。そんなところをチェックしていきます」
笹川「ではいきますよー! 1、2、3、4…」
川島「こんな感じ?」
笹川「いいですね! どんな姿勢だったかというのは後でフィードバックしますので、どんどんいきましょう! 次は…」
身体のバランスや柔軟性、可動域の広さをチェックするために、約10種類の運動をこなしていく。
これらの様子はタブレットで記録。それを見返しながら、身体のどの部分に不調があるのかを詳しく見極めていくのだ。
川島「こんなんでいいのかな?」
吉田「最初なので全くできない人も多いんですが、川島さんはできてる方ですね」
まだまだ続く、身体のチェック
笹川「これで肩に痛みはでますか?」
川島「痛いですね(笑)。肩も痛いけど、首もつっぱる感じ」
吉田「やはり。でも、もっと左右差がある人もいますから。川島さんの場合は、差はそこまで大きくないです、差はね」
川島「ということは?」
吉田「意外と両方ダメですね(笑)」
川島「だよね(笑)」
吉田「ただ、川島さんが感じる肩甲骨周りの症状は、『痛み』ではなく『動かない』という感じ。動かない部分を無理やり動かそうとするから痛いんです」
痛いことと、動かないことは別モノ。それもこうして様々な動きのチェックをしてはじめてわかることなのです。
その後は柔軟性と体幹のチェック。
笹川「四つん這いになって、股関節の真下に膝、肩の真下に手がくるようにします。この状態で、右手と右膝を上げます」
吉田「これ相当難しいです。サッカーのドイツ代表チームでも取り入れているんですが、できる人は1チームに1人か2人くらい」
笹川「では板から手と膝を離さずに、上げてみましょう。重心はずらしてもいいので」
川島「うわー!これ難しい!」
吉田「大丈夫です。普通はできません(笑)。では右手と左膝というふうに、交互にしてみましょう」
川島「うん、これはできる!」
吉田「いい感じですね!」
指定された運動や姿勢を保つために、どんな筋肉を使っているかを、吉田さんと笹川さんが確認していく。
笹川「寝そべって、前習えの体勢で脚を上げてください。膝は90度に曲げる形です」
川島「これも攣りそう!」
笹川「はい、ではこれで体のチェックは終了です。ここからはどんな動きが苦手だったかを確認していきます」
吉田「総評としては優秀! 特に運動をしていないにもかかわらず、こんなにできるってすごいです。いわゆる体幹はかなり強いですよ」
川島「へぇー!」
吉田「ただもう少し改善していける部分、特にご自身でも感じている、肩甲骨まわり、ここを良くしていきましょう」
川島「わかりました!」
吉田「あとは筋肉の使い方ですね。さっきの脚が攣りそうになったとか、そういう時って脚の筋肉だけで動かしてしまっている。強い体幹を十分に活かせていないんです」
笹川「身体に異常がある部分、川島さんで言うと肩ですね。体の他の部分がここを庇おうとすると、通常ではない状態になります。この状態で動くことを続けると、肩ではない部分にも不具合が出てきます」
川島「それは怖いね」
笹川「なので、肩がきちんと動かせるようになると、今キツく感じる姿勢もラクになりますし、怪我の予防にも繋がります」
吉田「釣りでいうと、キャスト精度にも影響します。肩甲骨がしっかり動くと、すごくラクにキャストが決まるようになります。腕って、肩から先だけじゃないんです。肩甲骨が動いてはじめて腕が上がる」
川島「なるほど、肩甲骨も含めて『腕』なんだ!」
吉田「その通りです。だから胴体の上は柔らかく可動域を広くして、胴体の下の体幹は固く安定させるのがベスト。体幹が安定しないと、身体にもっと多くの不具合が出ますが、川島さんは体幹が強いから、肩以外の不具合はないんです」
川島「オレ、ちょっとすごいじゃん」
吉田「そうですよ! 体幹が弱いと、肩にもっと痛みが出たり、ヘルニアになることもありますからね」
笹川「ではそういった身体の不具合を解決するためのトレーニングをしていきましょう」
吉田「川島さんの身体に効果的なトレーニングですが、これは皆やったほうがいいですね。釣り人は特に!」
全ての釣り人にオススメのトレーニング
【呼吸】
お腹が風船のように膨らんだ状態から、完全に息を吐き切るようにする。
伸ばした脚はしっかり力を入れて伸ばしておくことで体幹が安定し、胸椎の回旋がよりでやすくなる。 曲げた膝が床から浮かないようにする。 動かす手を目線で追いながら、顔も一緒に開いた手の方向を見る。 骨盤は常に立てて置く(開かないようにする)。
同様にお腹を風船のように膨らませる。 呼吸の一般的な方法、腹式呼吸。鼻から吸って口から吐く。5秒で吸って5秒で吐くようにする。肩ではなく胸椎をしっかりと開く。
吉田「呼吸ができることによって、体がきちんと動かせるようになります。また、疲れない身体を作る根底は呼吸です」
川島「うっ、ここ限界(苦笑)!」
吉田「やっぱり肩甲骨まわりが硬いですね。さっき笹川君がやった時には、腕が床に着いていたんですが、川島さんは一定の角度で止まります。家でテレビを観ながら、このストレッチを日々継続しましょう! 3ヶ月やれば、ペタッと手が床につくようになります」
【ボールゴリゴリ】
身体と壁でボール(テニスボール、軟式野球のボール等)を挟んで押し当てる。ボールの位置は肩の少し下くらい。この状態で身体を動かす。手でボールを押し当てても可。
吉田「胸の筋肉が、常に縮まっていると、肩甲骨まわりに影響します。なのでコレでほぐしましょう。可動域を広げたい、背中の上半分を動かすには、胸の筋肉がほぐれていないといけません」
川島「コレすげー痛い!効くなー(苦笑)」
吉田「デスクワークが多い人も、胸の筋肉が縮んだ状態になりやすいので、これは特に多くの人に有効かもしれませんね」
【IRER】
笹川「膝をついて、左腕を真ん中に持ってきて床につけます。肘がちょうど膝の間にくるくらいで。次に右手の甲を腰に当てます。」
川島「手が…つかない。この辺でいいかな」
笹川「ではこの状態で背筋を伸ばして、右に振り返るようにして天井を見ます。」
吉田「座りにくければ、正座でもいいです」
川島「この状態で上を…イタタタッ! 攣った! 今朝ね、ここまで歩いてきたんですよ、5〜6kmくらい」
吉田「マジですか! たぶん冷えと脱水で攣ったんでしょうね。水飲みましょうか」
川島「すいません、これで大丈夫です!」
吉田「ここまでグッといけますか」
川島「うーん、この辺が限界かな」
やはり左肩が特に固まっていた川島さん。
笹川「次は手の位置を頭に変えて、同じ動きです」
川島「うっ、うーっ。ダメだ、これ以上は上がんない」
吉田「これはめちゃめちゃわかりやすい。比較してみましょうか」
吉田「正常であれば、グッと胸を張れますが、川島さんは背中上部の筋肉が硬くなっているので、これ以上開かず、丸まったようになってしまうんです」
川島「そっかー!」
笹川「では左もやってみましょう」
川島「うー、こっちもキツい!」
吉田「左右ともに、やりがいがありますね(笑)。この動きがしっかりできるようになると、釣りや日常生活で、だいぶ違うと思いますよ!」
川島「あっつ〜! これ効くねー、汗出てくる!」
※動きのポイント
肘を脚の間に置いて、床をしっかり押すことで 体幹のスイッチが入り、胸椎が回旋しやすくなる。
【W】
手を前と後ろに持ってくるようにする。 肩甲骨を動かすことを意識する。
立ち姿勢、または椅子などに座って、肘を曲げて手を前に持ってくる。
腕を開いてW字になるようにする。首に力を入れない。背中を丸めない。
吉田「胸の筋肉を柔らかくするトレーニングをしましょう」
こうして胸の前に腕を構えて、閉じて開いてを繰り返します」
川島「こんな感じ?」
吉田「もう少し反らないように、身体を真っ直ぐにしてみましょう。リラックスして、腕だけを開閉する感じですね。サクサク動かしていいですよ」
吉田「もしくは、腕を水平にして、いま僕の手が当たっているあたりを意識して、開閉してみてください」
ここをほぐすとフッキングが決まる!?
吉田「あとは肘を90度に曲げて壁に手を当て、手とは逆側の足を前に出して、ぐーっと胸の筋肉を伸ばすようにしてください。リラックスして、時間は長めに。30秒から1分くらい」
川島「あー、いいね。伸びてる感じする」
吉田「胸の筋肉が柔らかくなると、胸が張れるようになり、肩甲骨も動かしやすくなるんですよ」
凝り固まった肩甲骨周りを柔らかくするためのトレーニングを教えてもらう川島さん。
肩甲骨と聞くと背中側を意識しがちだが、実は身体の前面をほぐすと効果があるそうだ。
肩甲骨周りがほぐれると、釣りにはどんな利点があるんですか? 例えばフッキングとかに影響します?
吉田「影響はあると思いますよ。例えば肩甲骨周りが固いと、自然と動きの幅は小さくなります。例えば猫背の人だと、極端にわかりやすくすれば、こんな風に。ちなみに腰だけでフッキングしようとすると、腰を痛めますのでご注意を」
吉田「これがほぐれた状態であれば、こうして仰け反ることができるので、バシッとフッキングができますよね」
なるほど、確かに肩甲骨周りがほぐれていた方が、しっかりフッキングを決められそうです。
吉田「今日トレーニングしたことを続ければ、徐々に筋肉が柔らかくなって、肩甲骨も動くようになってきます。そうすると、姿勢も改善されて、釣りをする時の立ち姿も更にカッコよくなる。もちろん、キャストもバシバシ決まりますよ。しかも1日やっても疲れにくい。いいことずくめですね!」
アングラーとして、やらない理由が見当たらないくらい、メリットがたくさんあるPCPのトレーニング。今後は更に人気が出てきそうな予感!
吉田さん、笹川さん、ありがとうございました!
トレーニングを通じて
今日、PCPのトレーニングを体験されて、いかがでしたか?
川島「自分の場合は肩が痛かったんですが、その原因が何なのかわかったし、改善の為にやるべきこともわかった。自信と希望が持てましたね。自分が努力すれば、治せるんだって。肩甲骨の痛みって、ホントは諦めていたんですけどね」
そうなんですか?
川島「そうなんですよ。周りに聞いても、肩の痛みって年齢的なこともあるから、治らないだろうって、思ってたんです。でも今日、PCPでのトレーニングを体験して、そうじゃないことがわかった。凝り固まってる筋肉があって、そのせいで肩の可動域が狭くなって、肩甲骨の周りに痛みが出ていた」
諦めていたことに希望が見えると嬉しいですよね。でもやっぱり、1人でそれに気づくことは難しいんでしょうか。
川島「うん、自分1人じゃ絶対わからないよね。だってさ、肩甲骨のあたりの痛みの原因が、胸の筋肉にあると思わないじゃん普通は。ピンポイントで肩甲骨周りの筋肉をマッサージすればいいのかなって考えるよね。自分が思ってた場所と違うところに原因があったわけだから、素人じゃそうはいかない。身体のプロだからこそ」
やっぱりその道のプロフェッショナルってすごいんですね! ちなみに今の身体の調子はどうです?
川島「それがね、いいんですよ、この短時間なのに! トレーニング前に痛かった動きが、今は痛みがかなり和らいでる。なんか筋肉のつっぱりがあったんだけど、それもなくなったし、いい感じですよ。続ければもっとよくなるんだろうな! っていうのを実感してる」
はじめてトレーニングをした直後でも、改善が実感できるとは。これはぜひ、多くの人に体感してもらいたいですね。
川島「歳を重ねても、自分の思うように身体を動かせるって、やっぱりいいですよ。もしそうじゃなかったら、いつかは楽しいはずの釣りが、痛みのせいで辛くなってしまう。そうなる前に、PCPで習ったようなトレーニングを続けて、健全な身体を維持したいです。もちろんお金はかかるけど、オススメですよ。この先ずっと、健康な身体で釣りができたら、もう死ぬまでハッピーでしょ!」
川島さん、ありがとうございました!
いくつになっても、釣りを続けたいというのは、全てのアングラーに共通した願い。PCPのトレーニングは、それを叶えるための、最も有効な手段のひとつ。ぜひとも、1人でも多くのアングラーに体験していただきたい。