未だに続く新型感染症の影響で、昨年は思うように釣行できなかった期間も多かった。それでもやはり、釣り人にとって現場で釣りをすることは、かけがえのない時間である。そこで、業界で活躍する10人のエキスパートに、2020年の印象的な釣行ストーリーを取材した。今回はソルトルアーフィッシングのマルチエキスパートとして、オフショアのマグロからショアのシーバスまであらゆるソルトルアーに精通するプロアングラー・鈴木斉さんの2020年メモリアルフィッシュをご紹介しよう。
究極のアジャスト能力を持つソルトルアーゲーム界の超マルチプレイヤー!
【Profile】
鈴木斉(すずき・ひとし)
卓越したフィッシングセンスとスキルで、シーバスや青物、マグロまで、あらゆる魚を追い求める。バッドコンディションでも釣果を手繰り寄せるここ一番での勝負強さを持つ。
鈴木さんの2020年メモリアルフィッシュがこちら!
捕獲ポイント
対馬(長崎県)
対馬は多くのターゲットを狙え、ヒラスズキにおいても好ポイントが多数存在する。鈴木さんは過去何度も訪れている地だ。島の西部から北部までエリアを大きく移動しながら、地磯を歩いてヒラスズキを狙った。
無風・凪の悪条件を跳ね返す起死回生の90オーバー
アングラー冥利に尽きる番組史上最高の撮れ高
去年もいろいろな釣りをしましたが、そのなかでも思い出深いのが、12月に行なった対馬でのヒラスズキ取材です。このときは動画撮影のロケということで早めに日程を抑えていました。
ただ、撮影前に天気予報を見てみると無風とのこと。そこから予報は変わらず、3日間の釣行のうち、3日目にようやく風が吹き始めるかなという状態でした。ヒラスズキを狙う上では最悪のコンディションですよね。地元のアングラーも、これではどこに行っても厳しいだろうと言っていました。
しかし、ここまできて日程をずらしたり、場所を変えることもできません。とりあえずダメ元で挑戦してみようとなって、撮影が始まりました。
風向き潮向き地形がピタリ
撮影初日、少しでも風が当たっている場所を探して西方面を回りましたが、不安は的中し、海面はどこも湖のような状態。鳥もおらず、なんの雰囲気も感じられませんでした。ただ、風は徐々に出てくる予報にはなってはきていました。翌日は北西の弱風が吹く予報だったので、エリアを北方面い移動。すると、予報よりも強く風が吹いていて、サラシができている場所もありました。
そして迎えた午後、風向きと潮向き、そして地形の3つの要素がピタッとハマる好条件の場所を見つけることができました。サラシは弱いけども、常に出ているという悪くない雰囲気です。
釣りをしてみるとすぐさま68cmをキャッチ。魚体が銀色で、回遊の沖から入ってきた個体でした。
もしかしたら群れで入ってきているかもと説明しながら釣りを再開すると、次にヒットしたのがまさかの92 cm。この状況下でこのサイズがくるとは、さすがにびっくりしましたね。完全にダメだと思われた悪条件からの大逆転満塁ホームランだったので、これには今までにない感動がありました。その後も、同じ条件を探して釣りをしていくとコンスタントに釣れて、数もサイズも番組史上最高の撮れ高になりました。
ダメだと思われた状況から、自分なりに考えて動いて正解にたどり着いたこと、記録的な釣果を映像に残せたことなど、本当に達成感のある釣行になりました。
HITパターン
各要素から釣れる条件を導き出すことが勝利の鍵
風が弱くても、潮向きや地形の関係で良いサラシが発生することも。状況を読み解き、諦めずにサラシを探し続けることが大事だ、この日はいろいろな条件が重なり、少ないサラシにヒラスズキが集中したのかもしれない。
HITルアー
エクスセンス サイレントアサシン140F/140S AR-C フラッシュブースト(シマノ)
フラッシュブーストでサラシの中でも強烈アピール
鈴木さんがヒラスズキゲームで愛用しているミノーで、サイズ感・アピール力などが磯場にマッチ。レンジを変える意味でFとSをローテーションしていった。デイゲームに強いフラッシュブーストモデルをチョイス。92cmを釣ったカラーはFカタクチ。
使用タックルデータ
磯でのゲームにおいて絶大な信頼を寄せるセッティング
【スペック】
●ロッド:エクスセンス ジェノスS110MH/R
●リール:ツインパワーXD5000XG
●ライン:ピットブル12サイトライム 1.5号
●リーダー:エクスセンス リーダーEXフロロ 30lb
※すべてシマノ
番組記録更新のヒラスズキとのファイトの模様は下記動画をチェック!
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