ケンサキイカと言えば、イカ界でもトップクラスに美味しい高級ターゲット。春から初夏にかけては大型が釣れる最高の季節。この美味イカを狙って釣る“イカメタル”も多くの愛好者がいます。今回は、イカメタルエキスパートの重見さんに、初心者にもわかりやすくこの釣りをレクチャーして頂きました!
【Profile】
重見典宏(しげみ・のりひろ)
言わずと知れたエギング界の重鎮。アオリイカだけでなく、イカメタルにも精通。ゴーセンやエバーグリーンでプロスタッフをつとめる(写真右)。
【前提編】イカメタルで釣れるイカってどんなイカ? なぜ、夜に釣るの?
ターゲットはケンサキイカやスルメイカ。どちらも、どんな料理でも美味!
イカメタル、大人気ですね。重見さんもかなりの頻度で行ってるんですか?
重見「せやな、春から初夏にかけては大型のケンサキイカが釣れるから、釣ってても楽しいからね。ちなみに、大型のケンサキイカは大剣とかパラソルとか呼んで、釣りごたえがあるから人気も高い。夏から秋にかけてはサイズが落ちるけど数が釣れるよ。あとは、スルメイカもイカメタルのターゲットとして人気やね」
ケンサキイカは春から秋にかけてが釣期ということで、結構長い期間楽しめるんですね。他にも狙えるイカはいますか?
重見「あとは、冬のシーズンにはヤリイカも狙えるで。これも人気があるターゲットやね。今言った3種類は、ツツイカって呼ばれる種類で、それを狙う釣りがイカメタルって呼ばれてる」
光でイカを寄せられるから、夜の方が釣りやすい
イカメタルって、夜の釣りってイメージなんですが、実際はどうなんでしょうか?
重見「メインはやっぱり夜やね。船の明かりに走光性のプランクトンが集まり、それを捕食する小魚が寄ってきて、さらにその小魚を喰うケンサキイカが集まる。それを狙って釣るのがイカメタルの釣りや。日中も釣れないことはないけどね。暗くなるまでは、ベイトフィッシュの群れにイカが付くんで、船長が魚探でその群れを追って釣るようなイメージやね」
なるほど。夜の方が、船の明かりで効率よくイカを集められるってことですね。
重見「その通り。夕方ころ出船して、ポイント到着したら準備して、しばらくすると船の明かりが灯って、それが効き始めると釣果が上がってくる感じやね」
イカメタル釣りに行く場合の注意点って何かありますか?
重見「黒い服を着てくること。イカが墨を吐きまくりよるからな、白い服着てたらすぐに墨まみれになってしまうよ(笑)」
【仕掛け編】使用するのは“イカメタル仕掛け”と“オモリグ仕掛け”の2パターン
多点掛けも可能なイカメタル仕掛け
さて、次に、使用する仕掛けについて教えてもらいたいのですが。
重見「まずは、代表的なイカメタル仕掛け。下に、メタルスッテとかオモリスッテと呼ばれる、金属製のスッテを付けて、その上にドロッパーとか浮きスッテと呼ばれるものをつけて狙う。仕掛け自体はシンプルや。ちなみに、ドロッパーはエギでもOK」
どういう場合に使用しますか?
重見「この仕掛けはタテの釣りが得意やから、船の下に沈めてタテのシャクリで誘う釣り方が適してる。ドロッパーは1つでも2つでも増やして使用することもある。狙えるレンジに幅があって、それぞれにカンナ(針)が付いてるから、ヒット率も上がるわな。どういうときに使うか? ん~、大型を狙うというよりは、個体数が多い状況が得意な仕掛けやね。メタルスッテとドロッパー、それぞれに掛かることもあるから、数を釣るような場合に有効な仕掛けやと思う」
サイズアップが可能な、最近流行りの仕掛け、オモリグ!
次が、オモリグ仕掛けですね。
重見「オモリグは、ここ数年で一気に広がって定着した仕掛けや。その特徴は、何と言ってもサイズが狙えるという点。イカメタル仕掛けよりも針が少ないけど、ヒットしたときはサイズがデカい確率が高いな。今のシーズン(取材時は春頃)は、大剣狙いがメインやから、このオモリグ仕掛けが大活躍する季節でもある」
イカメタル仕掛けとは、使い方は異なるんですか?
重見「さっきも言ったけど、イカメタル仕掛けはバーチカルな釣りなのに対して、オモリグ仕掛けはヨコの釣り。船の真下に落とすんやなくて、少しキャストして引いてくることで、エギやスッテが仕事をする。数はエエからデカいケンサキが釣りたい!って人は、このオモリグがおススメや」
仕掛け作るの、手間かかりそうですね…。
重見「いや、それも楽しいやん。オレは、全部自分で作ってるけどな、初心者には難しいと思うから、釣具屋さんの仕掛けコーナー行けば、イカメタル仕掛けがぎょうさん売ってるから、それ使ったら簡単やで。リーダーが組めたらその先に仕掛け付けてメタルスッテとドロッパー、あるいはオモリとエギ付けるだけ。めちゃ簡単や」
【実釣編】ボトムまで落とし込み、シェイクで誘ってアタリを待つ!
大型捕獲率UP! 最近流行のオモリグ仕掛けは投げて投入!
さて、いよいよ“実釣編”です。まずは…オモリグ仕掛けですか?
重見「オモリグ仕掛けの操作のコツは、さっきも言ったように投入時に投げること。ヨコに引いてくることで威力を発揮する仕掛けやからな。投げるって言っても、ルアー釣りのように振りかぶって投げるんちゃうで。アンダーあるいはサイドキャストで投げるんや。力任せに素早く投げると絡むから、フワッと仕掛けがまっすぐ入るようにキャストするのがキモやな」
キャスト後は、着底させるんですか?
重見「もちろん。今回は、船がわりと浅いところ(20~30m)でアンカー打ってるから、仕掛けも落としやすい。仕掛けが着底したら、ロッドでオモリを持ち上げてテンションフォール。その際に、エギやスッテがフワッとフォールしイカを誘うわけや。それを何度か繰り返していると船の下まで仕掛けが寄って来る。そうなったら入れ直す。その繰り返しや。オモリを持ち上げるときにシャクリを入れて誘ってもOK」
投げて着底した仕掛けが、シャクリ上げ&フォールで少しずつ船に近づく。だから、ヨコの釣りなんですね。
重見「さっきも言うたけど、多点掛けはできへんけどサイズアップが期待できる仕掛けやから、大剣釣りたい人におススメや。オモリの号数は、15~40号を用意して、船長の指示に従って選ぶといいよ」
バーチカルに狙うなら、イカメタル仕掛けがおススメ!
次が、イカメタル仕掛けですね。
重見「この仕掛けは、オモリグのように投げて投入はせず、そのまま下に落とし込んでいけばエエ。スピニングよりもベイトタックルの方が、クラッチ切るだけやから操作が楽やで。まぁ、スピニングでも全然問題ないけどな」
イカメタル仕掛けも、やはり着底させるんですよね。
重見「着底させます。ラインが出ていくのが止まったら、シャクリやシェイクで誘って止めて、イカのアタリを待つ。この後、再度落とし込んでもいいし、少しずつタナを上げて探って言ってもOKや。重要なのは、イカの反応があったタナを覚えておくこと」
どうやってタナ(水深)を把握するんですか?
重見「今回オレが使ってるラインは、ゴーセンの“ROOTS×PE8”のマルチカラーというもので、10mごとに色分けされてるから、タナの把握がしやすいねん。イカメタルだけじゃなくジギングとかでも、マーキングラインを使うとより精度の高いゲームが展開できるで。あと、カウンター付きのベイトリールを使うっていう手もあるな」
ROOTSって、4本組だけかと思ってたら、8本組がリリースされたんですね。
重見「せや。8本組は、4本組よりも少し値段が高いけど、ラインの表面がスムーズで水中の抵抗も少ないから、イカメタルの釣りにもおススメやで。負荷がかかった状況でも、ガイドからの糸鳴りも少ないし、かなり気にってます!」 ちなみに、ROOTSの詳細は、ゴーセンさんのWEBサイトでチェックしてみてください!
かなり駆け足で、イカメタル&オモリグでのケンサキイカ釣りの概要を紹介しましたが、実際はかなり奥深くて、同船者でも腕の差が如実に出る釣りです。上級者になると、スッテやエギのカラー選択や潮流に対して仕掛けをどう入れるか、といったことまでかなり細かくこだわっていける、面白いゲームです。
初めての人がいきなり1人で行くのはハードルが高いかもしれませんが、釣り仲間と一緒に挑戦してみてはいかがでしょうか?
イカメタル&オモリグ入門ムービーはコチラ!
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