半世紀の歴史を持ち、日本のスポーツフィッシングの黎明期からロッドを手がけるテンリュウ。つねに最先端のフィッシングスタイルをリードするアイテムを開発し、今回紹介するホライゾンLJもその一つだ。今や大人気のスーパーライトジギング対応モデルをラインナップ。その特長と有効性をオフショアゲームのエキスパートでもあるテンリュウの舟木雄一さんにうかがった。
【Profile】
舟木雄一(ふなき・ゆういち)
MADE in JAPANの高品質を誇る老舗ロッドメーカー『テンリュウ』の開発と広報を担当。自社のロッドがカバーする全釣種をこなすマルチエキスパートで豊富な知識と経験をいかしメディアでも活躍。
テンリュウの『ホライゾンLJ』はどんなロッドなのか?
大人気のスーパーライトジギング(以下SLJ)。手軽に幅広い魚種が狙え、喰い渋る相手にも強いのが人気の秘密だ。ホライゾンLJにどんなSLJ対応ロッドをラインナップしているのか? 気になるところだが、その前にホライゾンLJシリーズについて知っておこう。ちなみに“horizon”は水平線の意を持つ。
舟木「ホライゾンは弊社のライトジギングロッドシリーズの総称で、ホライゾンLJはその名のとおりライトジギングに特化したラインナップです。2018年に2代目ホライゾンLJとしてリニューアルしています」
2代目ホライゾンLJの主な特長は?
舟木「大きな改良点としてバットにC・N・T(カーボンナノチューブ)を採用しています。より粘り強くなり、不意の大型魚にも対応しやすくなりました。あとは初代に引き続き、異素材のチューブラーを融合できるマグナフレックス製法によるティップですね。グラスのチューブラーティップをカーボンのブランクスに継ぎ目を排してチューブラー状に成形するグラスフレックスを採用しています。マグナフレックス製法の一つで、これがあるからSLJ対応モデルが可能になったといえます」
なるほど。ではグラスフレックスによるグラスチューブラーティップのメリットは?
舟木「しなやかで喰い込みが良く、バラシが減ります。このティップ部を長めにすることで軽いメタルジグが操作しやすくなります。SLJ向きモデルに打って付けのティップといえます」
水平線を借景にロッドが円い弧を描く。これがSLJを含むライトジギングロッド、ホライゾンLJの目指すところだ。
モデル | タイプ | 長さ ( m [ft]) | 継数 | アクション | 仕舞寸法(cm) | ルアーウェイト(g) | BESTウェイト(g) | LINE PE (lb) | PE (号) | 最大ドラグ力 (kg) | リアグリップ長(mm) | ティップ直径 (mm) | ロッド重量 (g) | カーボン /グラス(%) | 価格(税込) |
HLJ641B-FLL | B | 1.93[6’4″] | 1 | RS | 193 | MAX100 | 60 | MAX16 | 0.6-1.2 | 2 | 380 | 1.6 | 126 | 77/23 | ¥39,050 |
HLJ631S-FLL | S | 1.90[6’3″] | 1 | RS | 190 | MAX100 | 60 | MAX16 | 0.6-1.2 | 2 | 410 | 1.6 | 104 | 77/23 | ¥36,300 |
HLJ641S-FUL | S | 1.93[6’4″] | 1 | RS | 193 | MAX80 | 40 | MAX16 | 0.6-1.2 | 2 | 410 | 1.6 | 102 | 76/24 | ¥36,300 |
イカのアタリもとれる…!? ホライゾンLJのSLJ対応3機種で進化するSLJシーンをカバー
続いてはSLJという釣りに関して。使うメタルジグは80g以下。PEラインは0.8号以下というのが一般的だ。
舟木「僕も以前はそれを基準に釣りをしていました。でもPEラインは、地域によっては1号、1.2号を使います。ですので、今は80g以下のメタルジグをメインに使うならSLJと呼んで良いんじゃないかと考えています」
ホライゾンLJのSLJ対応モデルも適合ラインはPE1.2号まで?
舟木「そうです。SLJに適したモデルはベストジグウェイトが60gのベイトロッド、ホライゾンHLJ641B-FLLとスピニングのHLJ631S-FLL。さらにライトなベストジグウェイト40gのスピニング、HLJ641S-FULの3機種があります」
ではホライゾンLJのSLJ対応モデルの特長は?
舟木「一番の特長は、前述のとおりグラスフレックスによる長めのグラスチューブラーティップです。しなやかなので小型メタルジグを使ってもティップが入りやすい。例えばフォール中に魚がルアーをくわえると重さが抜けてティップが戻りますよね。そういう重みや抵抗が抜ける繊細なアタリは軽いメタルジグほどわかりにくいですからね」
抜けアタリがティップの動きで視覚的にわかりやすい?
舟木「はい。ティップはグラスでもチューブラーなので感度も良いです。アタリが手元にしっかり伝わります。以前、HLJ641B-FLLでイカが釣れましたが、そのときもメタルジグを触るイカのアタリが明確にとれましたからね。まぁ、高弾性カーボンのように感度ビンビンというわけにはいきませんが(笑)。あとSLJは小型ターゲットを狙う釣りではないですよね。ときには5kgに迫る青物もかかってしまう。C・N・Tがコンポジットされた粘り強いバットが頼もしいです」
ホライゾンLJのSLJ対応3機種で今まで釣れなかった魚が獲れる!
ホライゾンLJのSLJ対応3機種の使い分けは?
舟木「基本は使うメタルジグのウェイトや水深、潮の速さで使い分けます。パワーでいうと、例えば水面下20~30mまではFULが向きます。それより深くなると、FULでは潮の抵抗に負けることがあるのでFLLが活躍します」
ではベイトモデルとスピニングモデルの使い分けは?
舟木「スピニングのHLJ631S-FLLとHLJ641S-FULは、ホライゾンLJのほかのスピニングモデルよりリアグリップ長が40mm短くなっています。その目的はチョイ投げ。浅いエリアで投げて広範囲を探りやすい。グリップエンドがライフジャケットなどに引っかからずに投げやすく、脇に抱えてファイトできる長さに設計されています。逆にバーチカルに探る釣り。例えば水深50mのボトムから15m上といった具合にレンジを刻むときはベイトモデルが向いています。近年、北日本でブームのサクラマスジギングにもHLJ641B-FLLがマッチします」
サクラマスもSLJのターゲットに!?
舟木「なりますね。SLJで人気魚種のイサキは口の周りが弱い。ホライゾンLJのSLJ対応モデルは、ティップがしなやかだから喰い込みやすく、バラさず獲れる。サクラマスも同様です」
SLJのターゲットは青物、マダイ、ハタ類など多彩。舟木さんはホライゾンLJによるSLJで、こんな実感も得ているそうだ。
舟木「僕は東海圏の船で釣りをすることが多いですが、青物やマダイなどライトジギングのターゲットがSLJでより簡単に釣れるようになったという印象があります。さらに衝撃的だったのが、オジサンやカツオ系など普通のジギングではなかなかお目にかかれない魚に出会えるというか、良く釣れる。SLJでよりディープを狙うと、もっとすごいことになるんですけどね(笑)」
もっとすごいことに…? 舟木さんはSLJの可能性をさらに掘り下げて解説してくれた。
マアジなど通常のジギングでは対象外の小型魚もSLJの好敵手。一方で冒頭の大型マダイや5kg前後の青物など想定外の大物が喰うのもSLJの醍醐味だ。
SLJの深化版、ホライゾンプログレッシブHPG642S-LLにも注目!
SLJでディープエリアを探る。舟木さんはSLJの新たな展開を模索しているということだ。
舟木「知り合いの船長の船に乗ったときに、船長がめっちゃくちゃ釣るんですよ、ディープのSLJで」
ディープというと、その水深は?
舟木「水深100m前後。そのレンジを60g、80gといったメタルジグで探ります。その深さになると5kgオーバーのヒラマサや大型のハタ類など何が喰うかわからない。すごく可能性のある釣りだな、というのが見えています」
ディープのSLJもホライゾンLJで?
舟木「ディープは大型が喰う可能性が高まります。現行のホライゾンLJのSLJ対応モデルでは感度とパワーの面で足りない部分がある。僕は水深50mを超えるディープを狙うときは、ホライゾンLJのHLJ631S-FLLのステップアップモデルといえるホライゾンプログレッシブHPG642S-LLを使います。ティップはマグナフレックス製法による低弾性カーボンでグラスより高感度。ディープエリアのアタリが拾え、喰い込みも良い。HLJ631S-FLLより太いラインが使えるので大型魚と対峙しても安心感があります。まったくの未定ですが、今後はホライゾンLJで水深100mのディープが探れるSLJモデルも考えていきたいですね」
SLJの深化とともにロッドも進化。今後のホライゾンLJシリーズの動向にも注目だ。
【スペック】
●全長:193cm(6ft4in)
●自重:97g
●継数(本):2(オフセットハンドル)
●仕舞寸法:152cm
●ルアー:MAX100g(BEST60g)
●PEライン:MAX1.5号
●価格:58300円(税込)
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