近年、日本各地のフィールドで人気の高まるタコのルアー釣り。その身近さやタコの食味、そして何よりゲーム性の高さで多くの釣人を魅了してやまないこの釣りだが、市場に存在するロッドにはまだまだ不満があった…。そこでメガバスにて2本のロッドをプロデュースした中川俊介さんに、何を求め、どこにたどり着いたのかをお聞きした。
【Profile】
中川俊介(なかわが・しゅんすけ)
広島在住のメガバスプロスタッフ。ソルトゲーム、特にオフショア系の釣りに広く精通しており、中でもタコルアーは十八番の『オクトパスゲームの伝道師』。魚種を選ばない豊富な経験と、釣りに対する思慮深さから開発するアイテムが時代を動かす。
2本の究極のタコロッドはまずラインの抜けが違う!
――2021年に新登場したタコーレの新作ロッド2本。これらがまたすごいという噂を聞いたのですが、プロデュースした中川さんの言葉で表すと、どんなロッドになるのでしょうか?
中川「『この2本があれば日本のどこでも釣れる』ってところですかね」
――2本であらゆるフィールドを攻略可能ということですね!
中川「いやいや。違うんですよ」
――え? では一体…!?
中川「それぞれ一本で、全国のフィールドに対応できてしまいますよ(笑)。でも1本の竿じゃどうにもならないときってあるじゃないですか? 今日はちょっと竿が柔らかすぎるかな? とか、逆に硬いのかな? とか。そういうときって、ルアーはを変えるのではなく、竿を変えることで釣果につながったりするんですよ」
――え? え? つまりどういうことですか?
中川「つまりですよ。あらゆるフィールドに対応する、『掛け』と『乗せ』、それぞれのハイエンドロッドが新しいエイトポッドなわけなんです」
――な、なるほど。自分の想像とは次元が違いました(汗) そしたらその2本は全然味付けが違う竿なんですね!
中川「そうとも言えないですね」
――え? え? え?
中川「日本のどこでも釣れる、ですよ」
――確かに先におっしゃっていましたね(汗)
中川「全国のタコフィールドと言うと、大きく分けて2種類に別れます。ボトムが砂底の場合と岩礁帯のような根がかり頻発地帯の場合です」
――確かに、タコのルアー釣りの場合はそういった場所でやりますよね。東京湾の湾奥なら根がかりが多い場所でしょうし、明石なんかは砂地ですよね。
中川「全国的に見ると岩場の様なフィールドが多いはずなのですが、実はまだまだ多くのタコロッドが、砂地の釣りに焦点を併せた作りになっています。対応ラインもPE2号程度までで、ガイドも相応に小さいものが使われています。一方で、岩礁帯ならPEライン4号は欲しいし、リーダーも20号とかになってくる。そうすると、従来の砂底の釣り場にあわせて作られたロッドではガイドが小さくて糸抜けが悪くなるので、アンダーハンドでのキャストが難しくなってしまいます。浅い場所や潮が悪いときなんかはキャストが重要になってくるのにもかかわらず、です」
――キャストが難しいとは、具体的にいうとどういう問題になるのですか?
中川「PEラインとリーダーの結束部分がガイドに引っかかって飛距離が出ないばかりかバックラッシュがおこりやすくなったり、ガイドが飛んだりします。酷いときにはソリッドティップ部分ごと飛んでいくこともあります」
――ひえぇえ…
中川「じゃあそれを避けるために結束部分をガイドから出た状態、つまりタラシが長い状況でキャストすればいいかといえば、そんなキャストじゃ到底アンダーキャストの飛距離には及びません。」
――つまり、太いラインのPEとリーダーの結束部分も問題なく抜けてくれるガイドを搭載しているのが、中川さんがプロデュースした竿の特徴なわけなんですね。
中川「そうです。そういうことなんです。砂地や岩礁帯問わず、つまり日本の様々なタコ釣りのフィールドで太いラインが使える。そんな掛けのロッドが『8P-ROCK 188-2』、乗せのロッドが『8P-FUNE 176-2』なんです」
『強い竿』の中の掛けと乗せ
バラさないロッドの本質を知っているか?
――それではそれぞれのロッドについて教えて下さい!
中川「その前に、前提として、タコルアーで釣果があがらない原因って、何だと思います?」
――えっと、何でしょうか?
中川「実は大多数のアングラーが、タコを抱かせることができているのにも関わらず、回収中にばらしてしまっているです。そして皆さん、これを身切れといいますが、実は違うんです」
――つまりバラしてしまうことが多いってことですよね? どういうことてしょう…
中川「皆さん、フッキングのパワーが弱すぎるんです。実際そういったバラシの多いお客さんに、使っているタックルのラインを私が持った状態でフッキング動作を試してもらっても、とてもアワセが決まっているとは感じられないことが多いです。その理由とも言えるのが竿の柔らかさ。つまり曲がりすぎることで、フッキングパワーが伝わらないんです。だから新しい2本のエイトポッドは、掛けと乗せの2タイプですが、どちらもフッキングがしっかりと決まる強い竿になっています」
岩礁帯の最強ロッド『8P-ROCK 188-2』
【Spec】
●全長:188cm
●アクション:MEDIUM FAST
●対応ウェイト:MAX300g
●自重:168g
●継数:2本
●仕舞寸法:140cm
●価格:29,480円(税込)
中川「中でも『8P-ROCK 188-2』は岩礁帯での仕様を想定した、コレ以上無いと言えるモデルに仕上がっています。先にも紹介している通り、太いラインが使えるガイド設計で、アワセががっつり決まる強いブランクス。そしてチューブラーティップにすることで、安易に竿先が入らないことで根掛りも回避することが可能です。そしてそこにタコルアーを動かすための絶妙な遊びがある」
――遊びとは一体?
中川「ルアーを動かした際の竿先の追従っていうんですかね。硬い竿になるほど、遊びがなくなってしまう。そうすると、ロッドワークは小さくしたつもりでも、海底のルアーは動き回っている可能性が高い。タコはあまり動き回るものに積極的に抱きに来るわけではありませんからね。逆に言えば、柔らかい竿なら誘いのロッドワークも吸収してくれるので抱かせやすいとも言えますが…(笑)」
――フッキングパワーが伝わらないと。中川さんのロッドはそこが絶妙なんですね。
中川「そうなんです。オモリを浮かせない様にブニブニとシェイクできる。その遊びを残しつつ、限界まで硬さと強さを追求してボトムかタコかの判別がつくロッド。他にないと思いますよ」
現代タコロッドの最高峰なら『8P-FUNE 176-2』
【Spec】
●全長:176cm
●アクション:EX.FAST
●対応ウェイト:MAX300g
●自重:187g
●継数:2本
●仕舞寸法:129cm
●価格:29,480円(税込)
――もう一本の乗せのロッドはどんな性能でしょうか?
中川「こちらはソリッドティップですし、188に比べたらさすがに柔らかめですが、それでも一般的なタコルアー用ロッドの中ではかなり硬い竿になります。もちろん、フッキングパワーがしっかりと伝わる硬さや、ヌケの良いガイドは使用しています」
――さすがに岩礁帯では使えない?
中川「オールラウンドにできないことも無いですが、差別化という意味でも砂地での仕様がメインになります。それでもその強さは188と同じMAX300gまでを背負える設計になっていることからもわかると思います」
――ソリッドティップは砂地なら有効なんですか?
中川「根掛りの危険性という要素がなくなるので、有効になってきます。ティップが入ることではブニブニとしたアクションを出しやすいですし、タコに違和感を与えにくいんです。明石のような砂地の釣り場を想定した柔らかめのロッドとしては、これがひとつの到達点だと思いますよ」
オススメルアーは『タコーレシェイク』
――あわせまして、おすすめのタコルアーも教えて下さい!
中川「メガバスのタコーレシェイクの2個付がいいですね。ハリミツのタコエギ用のスナップを介して、タコーレシェイク2個に重り(20~50号)を組み合わせて使うんです」
――2個付けにはどういった狙いがあるのでしょうか?
中川「寄せる力が強いです。それから掛かる場所が多い分、バラシも減ります。それとカラーローテーションに組み合わせの要素が加わるので、色による微妙なアプローチも可能です。ちなみにタコーレシェイクは水切りがいいので、水中での抵抗がそこまで強くなく、操作感もいいんですよ」
コスメも抜かりなし! 2本持ちで全国制覇を目指せ!
――その他にも注目ポイントがあればお願いします!
中川「メガバスらしい遊び心っていうんですかね。全身黒のロッドじゃなくて、スレッドにだけピンクが入っている。真っ黒なロッドもそれはそれでカッコいいんですけどね。特別ティップを見る釣りでは無いのですが(笑)。逆にイカツイと思う人もいるみたいですが、自分はこの遊び心が可愛いと思っています」
――可愛らしいということで、女性なんかにもぴったりですかね?
中川「そうですね。それに見た目以外の点においても、非力な方にもぜび使っていただきたいです。よりフッキングパワーがダイレクトに伝わりますからね。バラシが激減するはずです」
――腕力に自身の無い方、それからバラシに悩んでいるひとにマッチした竿なんですね。
中川「掛けと乗せ、それぞれのハイエンドを意識して、妥協することなく作っているロッドなので、タコ釣りをやり込んでいる人は、こういうロッドが欲しかったといってもらえると2本になっている思います。1本持ちの時代は終わりです(笑)」
――『8P-ROCK 188-2』と『8P-FUNE 176-2』の2本を持って、オクトパスゲームをもっと深化させるべし!