夏はアウトドアの最盛期。家族連れ、友達同士、カップルでアウトドアを楽しむ機会が増える。旅行先で、帰省先で、あるいは近所の湖沼で、未経験者に釣りを教えることもあるはず。そこで今回は夏休み特別編として、プロアングラーのセンドウタカシさんに「釣りを教えるコツ」を解説してもらった。今回は初心者に釣らせるための簡単な実戦テクニック「3パターン」を紹介致します!
教えてくれるのは「釣りニンジャ」ならぬ「釣り先生」
【Profile】
センドウタカシ(せんどう・たかし)
千藤卓 a.k.a ニンジャ/本誌連載『ネバーマインド・ザ・ブラックバス』でもお馴染みのプロアングラー。釣りビジョンなどの映像メディアに多数出演するほか、現在は、琵琶湖などを中心にガイドも行っている。近年はエリアトラウト(管理釣り場のルアー釣り)に傾注し、 強者が集結するトラウトキング選手権エキスパート戦にも出場。エリアトラウト競技者としての側面も併せ持つ。
センドウ的!初心者おすすめテクニックその1「放置」
魚影の濃いところでひたすらルアーを見せる
センドウ「ルアーが着水したら、そのままボトムまで沈める。フォール方法は問いません。重要なのは、ボトムまできっちり沈めること」
よほどの深場でない限り、ルアーがポチャンと着水した瞬間から、バスはその存在に気づいているという。着水で気づき、沈むルアーを追いかけ、着底時に追いついて捕食するイメージだ。ルアーが着底してしばらく経ってからも、わずかな水流でルアーが揺らぎ、それが誘いになってバスが勝手に食ったりもする。
自発的にバイトを誘う!!
ジグヘッドリグ、スプリットショットリグ、イモグラブ、ノーシンカーリグなどルアーやリグは何でもOKだ。
センドウ「ただし、魚の少ない場所では効果が薄い。ウィードがある、石がある、流れがあるなど魚が集まりやすい場所で試しましょう」
放置を試す場合は、先生が『ここなら釣れる可能性がある』という場所を選んであげるといい。
センドウ「ルアー釣りにこだわらない場合(例:釣法は問わず、とりあえず魚を釣らせたい)、ミミズやエビ、ドジョウなどのエサを付け、置き竿を出すという選択肢も。エサを付けたら、底まで沈めて放置するだけ。実際に魚を見ることで、子供は集中力が高まったりします」※画像はイメージ。
センドウ的!初心者おすすめテクニックその2「デジ巻き」
ロボットのようなカクカク巻きで動かす
センドウ「バス釣りではあまり耳にしませんが、エリアトラウトの定番テクニック。これは巻きの動作だけでルアーにアクションを付けるのが特徴。何度か練習すれば、誰でも習得できます。その方法は、カクッ、カクッとストップモーションを入れながら巻くだけ。その独特の動作から、ウチでは『ロボット巻き』と呼んでます」。
センドウ家では『ロボット巻き』と呼ぶ!
竿先がブレないようにホールドし、リールハンドルだけで『巻く→止める』の動作を繰り返す。何回転ごとに止めるかはルアーによるが、ますは1/4 ~ 1/2回転ごとに止めてみよう。
ストップモーション(止め)を入れるタイミングは?
センドウ「ルアーやタックルによって異なる。おすすめは、ミノープラグやシャッドプラグ。トゥイッチによる100点満点のアクション出なくとも、60点とか80点のちゃんと釣れるアクションが出せる。一般的なハイギアリールなら、1/4〜1/2回転ごとにストップを入れる。ほかにもポッパーやペンシルベイトなどトップウォータープラグでも有効なテクですよ」
デジ巻き用参考ルアー
3DSポッパー65F(ヨーヅリ)
センドウ「トップはなんだかんだよく釣れる。特に朝夕は狙って釣れる可能性が高い。1/4~ 1/2回転でデジ巻きすれば、連続ポッピングや首振りもさせられる。魚影が濃い場所では水面放置も効果的」
ベビーシャッド60F(ラッキークラフト)
センドウ「基本的な操作法はミノープラグと同じ。より深いレンジを探れ、障害物を避けやすいのが特徴。デジ巻きで使う場合は、連続ダートやストップ&ゴー系のキビキビしたアクションで誘えます」
ハードコアミノーフラットシリーズ(デュエル)
センドウ「僕が監修したデュエルのハードコアミノーフラット・シリーズは、ロッドアクションだけでなく、デジ巻きでもきれいにダートするように作ってある。誰でも釣れるアクションが出ますよ!!」
途中、釣りの集中力が切れたセンドウ家長男・清志朗くんは、気分転換に付近を散策し、なんとオニヤンマを捕まえた。1日を楽しむことが大切なのだ!!
センドウ的!初心者おすすめテクニックその3「ズル引き」
ルアーを着底させたら超ゆっくり巻くだけ!!
センドウ「とにかく魚を釣りたい/釣らせたいと思ったら、ライトリグのズル引きは欠かせないテクニックです。放置もいいけど、投げたところに魚がいない場合、『魚がルアー見つけて寄ってくる』という要素が必要になる。でも、ズル引きで、魚のいるところまでルアーを誘導すれば、あとは魚が食うだけです。当然ながら魚と出会える可能性は高まります」
操作のコツは以下のとおり。ルアーがボトムから離れすぎないように低速で巻くだけ。ルアーが浮いたと思ったら、しっかり沈める時間を取ることが大切だ。
リグをボトムから離さない
①ボトムをズル引くイメージで、ゆっくりただ巻きする。②巻きを時折止めることで(5~10秒が目安)リグの浮き上がりを防ぐ。
センドウ「ズル引きは通常、竿でボトムをサビきますが、慣れないうちはそれが難しい。そのため、ロッドとラインの角度を90度くらいに保ち、竿先から垂れるラインの弛みを巻き取る要領で、リールをゆっくり巻くといいでしょう」
ズル引き用参考ルアー
スプリットショットリグ
センドウ「スプリットショットリグは、入門者でもリグるのが簡単で、底を取る感覚がつかみやすい。ズル引きで障害物やボトムの凹凸(=魚が着きやすい)を探し、変化がある場所で放置しましょう」
センドウ「定番スプリットショット。ウエイトは#5~4(2.28 ~3.35g)が使いやすい。ルアーから25~30cmのところにシンカーを打てば、フワフワ感を演出しやすい」
イモグラブ
センドウ「いわゆるイモがおすすめ。セット法は簡単で、テールを根元でカットしたら、逆付けでオフセットフックを刺すだけ。深い場所ではネイルシンカーを入れて重くするのもアリ!」
ノーシンカーリグ
センドウ「こちらも大定番。スプリットショットリグやイモグラブと同じく、ズル引きをはじめ、フォールで食わせたり、ボトム放置で誘うのが有効。魚影が濃い場所で使いましょう」
簡単ズル引きテクニック
センドウ「ロッドとラインを90度くらいの角度にキープし、竿先から水面までのラインの弛みをゆっくり巻き取るようにしましょう。竿でサビかなくても、簡単にズル引きできますよ!」
オカッパリ以外のススメ
ボート釣り、プロガイドエリアトラウトも視野に
センドウ「いくら先生が頑張っても、未経験者にいきなり魚を釣らせるのは正直なかなか難しい(笑)。当然運にも左右されるし、都市近郊のメジャーフィールドは先行者が多く、そもそも実績ポイントに入れなかったりする。あまり過度な期待は持たないほうがいい…かも。では、初めての釣りで、どうにか魚を釣らせてあげるにはどうすればいいのか。そんなときはボート釣りがおすすめです」
ボート釣りの利点とは?
センドウ「教える人と教わる人の距離が近いこと。教わる側…特に子供は安心感があるのか、釣れない時間が続いても飽きがこない。まずは簡単な釣りからはじめ、釣れても釣れなくても、最終的に『バス釣りっておもしろい』というところに着地できればベストです」
レンタルボート
センドウ「体力的に負担の少ないスタイルがおすすめ。手こぎより足こぎ、足こぎよりエレキ。ボートでポイントに入れば、ルアーも投げやすいので、初めての釣りでも釣れる確率はグッと上がります」
ガイドサービス
センドウ「プロガイドに先生役を一任できるので、ガイドサービスを利用するのはめっちゃ楽ちん」。この機会にセンドウさんにガイドを依頼してみては? 詳細&予約はFacebookで「千藤卓」と検索。
エリアトラウト
センドウ「僕のイチ押し。魚はニジマス中心ながら、釣りの楽しさを覚えるのに最適。当然よく釣れるので、投げる、誘う、取り込むという流れを習得しやすい。食堂、休憩所、トイレがあるのも魅力」
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!