DAIWAバスロッドの名竿がさらなる進化を遂げ「究極」のパワーバーサタイルロッドへ昇華!『STEEZ トップガン』



2021年、いよいよ第2世代へとフルモデルチェンジを果たしたDAIWAバスロッドの最高峰“STEEZ”(読み:スティーズ)。日々移りゆくフィールドコンディションに対応すべく磨き上げられた新作の数は、実に全15モデルを数える。第2回目となる今月は、琵琶湖の名プロガイドとして知られる三宅貴浩さんが鍛え上げた『C74MH+“TOPGUN”(読み:トップガン)』、そのアドバンテージの数々を解説。いざ、今回も名竿列伝が始まる。

【Profile】

三宅貴浩(みやけ・たかひろ)

紀伊半島リザーバーのローカル戦で幾度もの栄冠を勝ち獲った後、琵琶湖を拠点とするプロガイドへ転身。パワーゲームからフィネスまで多彩な技を駆使して、旬の釣りを追う熟練だ。オールラウンダーが求める竿とは如何に。大阪府出身・滋賀県在住。

およそ20年に渡る名竿の系譜!精鋭部隊“トップガン”

サブネームは『トップガン』。ある特定の分野における精鋭を意味するのがその言葉。洋画フリークには、米国空軍士官学校の最優秀卒業生としても知られるネーミングだろう。

開発を担当したのは、ビッグレイクの名ガイドとして知られるDAIWAプロアングラー・三宅貴浩さん。今年2021年、新世代として生まれ変わったSTEEZ全15機種の1本だが、そのサブネームはDAIWA史上で古くから知られているビッグネーム。いわば名竿の系譜だ。

三宅「実は21トップガンは、その名を継承した4代目に当たります。古くはSTEEZ以前のDAIWA最高峰・バトラーリミテッド(2002年)に端を発して、2006年の初代STEEZにも存在。さらには、今から5年前の2016年のリブランディング時に、現在の21モデルの原型が完成しています」

実におよそ20年に渡り、4代もの進化を経て現代へと引き継がれてきた名竿。時代の変遷と共に、はたしてどんな進化を遂げてきたのだろうか。

三宅「当初の2代はジャークベイトやトップウォーターを始めとするテクニカルな操作性に特化したモデルでした。が、しかし、2016年からは私が開発を担当するモデルとしてコンセプトを一新して、21トップガンへとその意思は引き継がれています」

なぜビッグレイクの名ガイドが16モデルを、そして21モデルを開発したのか。その新たなコンセプトとは如何に。

ビッグレイクを1本で支配するロング&パワーバーサタイル!

三宅「そうです。ひとことで言えば、琵琶湖を中心としたビッグレイクにおけるパワーバーサタイルです。ボートでの釣りに限らず、1本で様々な釣りをこなしたい岸釣りアングラーにもぜひおすすめしたい竿に仕上がりました」

トップガンの品番は『C74MH+』。その英数字は、ベイトキャスティングロッド・7ft4in・Medium Heavy Plusパワーを意味している。

三宅「先代の16モデルは721MH/HRB。21モデルはまずは単純に全長が2in長くなったメリットがあると考えていいと思います」

さらなる飛距離を稼ぐ遠投性能はもちろん、遠くのバイトをより確実に掛けるフッキング性能も増強。また思い通りのトレースコースを選択できるロングストロークなど、ロングレングスがもたらすアドバンテージは想像以上に大きい。

三宅「パワーは今季からパワー表記が明確化されましたが、様々な強めのゲームに万全な対応が可能なMH+です。スピナーベイトやスイムジグなどの巻き物から、テキサスやフリーリグ、高比重ノーシンカーなどのワーミングに至るまで、ビッグレイクで使用頻度の高い釣りはほぼ全て網羅できます。さらには…」

21トップガンのブランクには、使用用途を示す刻印『VASTLAKE VERSATILE』(=広大な湖のバーサタイル)の文字。その名の通りの盤石なバーサタイル性を備えている。

三宅さんがお話の最後に言いかけた「さらには」の後が気になる。

三宅「16から21へ。進化したのはもちろんレングスだけではありません。最大の特徴は、そのテーパーに存在しています」

テーパーにはどんな進化が存在するのか。そこには驚くべきテーパーデザインの妙が隠されている。



独自の“への字テーパー”採用撃ちでも巻きでも「釣れる竿」

三宅「先代の16トップガンを開発した頃から、早5年が経過。その間に、私のホームグラウンドである琵琶湖も年を追う毎にフィールド事情が様変わりしてきました」

かつてはダイナミックなゲームを楽しむことができる国内随一のフィールドとして知られてきた母なる湖。ところが、近年ではメインベイトがブルーギルからワカサギへと変遷し始め、全般的に釣りのスタイルはよりフィネスな方向へと向かいつつある。

三宅「より繊細により丁寧にルアーを扱わなければ、結果が出にくいのが今の琵琶湖。狙うストラクチャーのメインは言わずと知れたウィードですが、かつてのようにルアーを引っ掛けては外すハングオフの釣りもより難しくなっています」

繁茂するウィードのトップ(=上面)をスピーディーに探り、スタックしたら何度もウィードを揺らして力任せに外す。それでもバイトを得られた時代は過去の話なのだという。

三宅「21トップガンが身に付けたのは、通称『への字テーパー』。負荷がかかると先端から曲がっていくパラボリックテーパーとは異なり、張りを持たせた先端を残したままベリー寄りから曲がり始めるテーパーです。これが最も大きな進化です」

天井にロッドの先端を当てて竿の調子を見れば、その差は一目瞭然。第3ガイド付近から先端が曲がり始めることに気付けるはずだ。そこにはどんなアドバンテージが秘められているのか。

三宅「例えばテキサスやフリーリグなどのワーミングで、ウィードにスタックしたとします。パラボリックに曲がるテーパーでは竿先から曲がり始めると共にハリ先も徐々に食い込んでしまうと思います。それはボトムをサーチする場合でも同様です」

スタックを外そうとロッドを振れば振るほどに、アングラーの気持ちとは裏腹にハリが食い込むパラドクス。釣り人あるあるだ。

三宅「その一方で、への字テーパーであれば、食い込ませることなく、そっと瞬時にスタックを外すことができるんです。つまり、無駄にウィードを揺らしてバスに警戒心を与えることがない。だから、外した瞬間のハングオフによるバイトを期待できます」

ロッドの曲がり始めとなる支点が異なることで、ラインを介した先にある水中の作用点では大きな差が生まれるのだという。そのメリットは、ワーミング時だけに留まらない。

三宅「例えばスピナーベイト。竿先とラインが一直線の状態で巻くことは基本ですが、その際に竿先から水面までのラインが存分なスラックを生みやすくなります。いわゆる『たるませ引き』をオートマチックに生み出すことができるんですよ」

存分なラインスラックは、スピナーベイトを始めとするリップを持たない巻き物ルアーに対して抵抗を与えず、ルアー本来が持つ魅惑のアクションを演出可能。またバイトの際にラインテンションを与えることなく、バスは違和感なくルアーを食い込むことができるのだ。

三宅「まさに『釣れる竿』です。誰が使っても、答えを導ける。そんな1本ですね」

優れたDAIWAロッドデザインが作り上げた珠玉の1本がここに。ランクアップを目指すアングラーを強力にサポートする1本と言えるだろう。

ロングロッドを感じさせない軽さ最高峰のコンストラクションとは

三宅「使いやすさというのはDAIWAロッドでは、言うまでもなく当たり前のことです。21トップガンは、バスロッドのフラッグシップであるSTEEZの名の下に、さらなる高みを目指して作り込まれています」

ブランクのベースとなるコンストラクションは、DAIWA独自のカーボンテクノロジー・SVFナノプラスを採用。樹脂量を極限まで減らしてカーボン密度を底上げした素材を採用することで、より筋肉質かつ軽量なロッドを形成。

三宅「7ft4inのロングレングスを感じさせない軽量感とバランスです。だからこそ、より正確なキャストも可能になります」。

ブランク全身の最外層をバイアスクロスのカーボンで締め上げたX45フルシールド、バット部を支え優れた復元力を実現する3DX。2つのテクノロジーがネジレを防ぎ、パワーロスを削減。軽快な操作性へと貢献する。

三宅「私が特に気に入っているテクノロジーは、新たなデザインとなったエアビームシート。投げては巻き、撃っては回収を繰り返す釣りの中ではグリップを頻繁に握り変えますが、その際に手や指への負担がごく少ない。疲れ知らずのリールシートです」

撃ちも巻きも万全なパワーバーサタイルを標榜する21トップガンにとって、特に重要視されるのがシート形状なのだという。

ブランクがシート下部にオフセットされた低重心化が安定感を確保。トリガー前後の段差を減らし絶妙な傾斜を設け、人間工学に基づいた自然なグリッピングを実現。そして必要十分な高さを残したトリガーはスムーズなスライドを可能にして持ち替えやすさも両立。

三宅「一日中キャスト&リトリーブを繰り返しても指の股が痛くなることはありません。すべてにおいて間違いのない1本に仕上がりました、手前味噌ですが(笑)」

開発者である三宅さん自身が誇りを持って仕上げた21トップガン。常にボートのフロントデッキには2本以上を並べる自信作。また岸釣りの際には必ず携行する汎用性の高い1本でもあるという。

最後に三宅さんの21トップガンのタックルセッティング例を教えて貰った。ぜひ参考にしていただきたい。

●ロッド:STEEZ C74MH+ トップガン
●リール:ZILLION SV TW1000L/1000HL
●ライン:モンスターブレイブZ14〜16lb
*タックルはすべてDAIWA

三宅「巻きと撃ちの両方を担うべく、巻きが中心の場合はギア比6.3のL、撃ち中心なら7.1のHLを選びます」