初回入荷分も完売し、再入荷分も後100本を切りました! アジングのパイオニアメーカー、サーティフォーとアジング大好きルアマガ編集部がコラボして生まれた最新のアジングロッド。今回は、このロッドをさらに掘り下げてご紹介したいと思います。
アジングロッドに求められる「高性能」をバランスよく配置した名竿
以前、ルアマガプラスで高性能アジングロッドに求められるパフォーマンスとはなにかについて、解説させていただいたことがありました。
ざっくりまとめますと5つの性能にどれだけ気を配っているかという話です。
- キャスト性能
- フッキング性能
- ファイト性能
- アタリ感度
- 潮感度
まずキャスト性能。こちらはサーティフォーが得意としていたティップシステム「Fチューンドティップ」を採用することでアジングに求められる性能をクリアにしました。求められている高性能とは0.5gのジグヘッド+ワームをストレスなく必要距離キャストできる性能です。約36cm。1ft強もとられた独自テーパーのソリッドティップが軽いウェイトもしっかりと運んでくれます。かと思えば3gのジグヘッドを力強く遠距離に運ぶ力もありますので、距離的な汎用性は非常に高いのが特徴です。
そして、フッキング性能。意外に軽んじられがちですが、単に柔らかいだけのソリッドティップではレスポンスの良いエネルギー伝達が行われず、掛けていくアジングでは機能不足になってしまいます。そこは長年培われてきたアジングタックルの開発力を活かしたサーティフォーのFチューンドティップが威力を発揮します。可変テーパーが採用されており、スムーズなアタリの伝達から、ミッドトップがしっかりとフッキングパワーを伝える設計。速い反応にも対応してしっかりとフックセットすることが可能です。
ミッドトップ(ロッドの中間部、ソリッドティップとの接続点)以下に採用された、軽量かつ高強度に仕上げることができる最新のナノアロイ®技術採用ブランクスが、アングラーの素早いアワセにも一気に中折するような挙動を見せずに受け止めてくれるので、しっかりと力を加えられる傍ら、Fチューンドティップとのあわせ技で、しっかりとダンパー効果も働きますので、細いエステルラインなどに急激な負荷が掛かることを防ぎます。
ライトゲームロッドだからこそ求めた「究極のファイト性能」
コラボしました、ADVANCEMENT65の最大特徴2つのうちの1つが、これ。ファイト性能です。もともと、アジングロッドでありながら、不意にかかるような大物も慌てないでよいロッドが欲しいとリクエストしました。デザイナーの家邊さんは、「強いというよりも、魚を獲れるデザインにしましょう」と設計を開始。
まず、ハタ類や青物、シーバス、大型のアジに対してアドバンテージを握られない単純なブランクスの強さ、靭やかさを調整しました。ファイトに関しても単純にバットで強引に止める事を意識した強さをもとめたわけでなく、細いラインでやりとりするわけなので、どうすれば与えられた強度内で最大限のプレッシャーをかけて、ランディングに導くことができるのかという「性能内の効率」を意識していただきました。
ライトゲームといえば、小さな魚と相対するので、ある部分ファイト性能は軽んじられがちですが、実はある部分、ビッグゲームよりロッドの性能が求められる分野でもあります。前述したように細いライン内の強度を最大限に利用してロッドでプレッシャーを掛ける、急な突進に対応するダンパー力をリールのドラグと一緒に発揮するなど。どうすれば魚が止まるのかという知見がなければデザインできない部分です。
家邊さんはアジングの達人ではありますが、磯釣り、エギング、鮎、へらぶななど様々な釣りをやり込み経てきた釣り歴があり、そういった知見が存分に生かされています。
太いラインだとライン強度にファイトが頼れるので、ファイト性能以外にパフォーマンスを振ることも可能ですが、アジングロッドのような繊細な相手とやりとりするロッドの場合は、各種性能をバランスよく振り分ける必要があります。釣味もそのひとつです。ファイト性能を上げたとて、釣り味を殺してしまっては本末転倒ですので、強度的な部分のマージンを確保した後、その部分に注力してアクションが調整されました。
家邊「感度などを含めて、釣り味ってのはロッドがラインから受けた情報をどのように増幅して、必要な情報をアングラーに伝えるかです。素材を理解して、手元にそういった情報をどのような形で伝えるかを考えて、サーティフォーのロッドは作っています。共振感度のような考え方もそのひとつです」
ちょいと理詰めでブリすら獲れる証明をしてみる
さて、そういったバックボーンがありつつも「ブリすら屠れるアジングロッド」という謳い文句に、そんなアジングロッドがあるかーい!という指摘もありましたので改めて解説します。
想定は、陸でなく船です。もし、あえて、ブリ(想定6kg〜8kg)を狙うならば、ラインはPEの0.3〜0.6号を使用してください。リールは2500番。1000番でも2000番でもやりとりさえしっかりすればなんとかなりますが、推奨は2500番。リーダーだけは、結ぶルアーの手前もありますので、8〜10lb前後。1〜2号。結べるならばもう少し太くてもいいかもしれません。ドラグはメインラインの強度に合わせて調整してください。
色々計算したのですが運動エネルギーの公式などで理詰めにいっても一切無駄な気がしたので単純にいきます。
単純に7kgの魚を3.6kgの力で綱引きするわけです。フックに掛かるときに加速度を加味した力が掛かっているとしても、そこでのラインブレイクがなければ常時3.6kgの負荷が魚に掛かるわけです。この負荷がかかった状態が続く限り、魚とてエネルギーを消費していくわけで、ましてや自重の半分以上の負荷でっせ……。巻いてある糸が尽きるまでに勝負がつけばいいわけで。
もちろん、そんな単純な話ではありません。ラインに掛かる摩擦などの負荷、外的要因があれば糸はブレイクしますので。ただ、ラインが切れなければいくらブリがパワーがあろうとも、常時それだけの負荷が掛かるわけです。そこをクリアできるなら陸からだって戦えます(ソレ以前に、アジングロッドでブリのいるポイントまでルアーを運べないことがほとんどなので現実的ではないですね)。
なので、誘導さえできれば7kgだろうが10kgだろうが捕れるわけです。体重70kgの人にロープつけて36kgの重しのっけたタイヤ引けって言われりゃ、どこかで果てますよね…。魚体重量とドラグ抵抗に極端な差がなければ、
家邊「細いラインだから、時間がかかるってこともありませんよ。ちゃんとやりとりすれば、ブリなら、そんな時間をかけずに穫れますよ。まだこのロッドでかけてないのですが、カンパチなら釣りました。10分かからなかったですよ。カツオとかこれで釣ってみたいですね」
東京湾で釣り船「アングラーズ・スタッフ」の高橋船長も…
高橋「PEじゃなくてもエステルの0.3号で80cmクラスのシーバスはちゃんと獲れますよ。ドラグの使い方や首振ったときの対処ができれば、余裕です。ADVANCEMENAT63Ver.3とかでそのあたりでも釣れますから。記者さん、一度、ブリをそのロッド(ADVANCEMENT65)で釣る挑戦したときに0.6号PEつかってましたけど、そんな太いのいらないから(笑)0.4で十分です」
設計上、ADVANCEMENT63Ver.3よりは粘りのある中弾性ナノアロイ(T1100Gなど)もコンポジットしているコラボロッドなら、よりマージンがあるので問題なくブリクラスの魚を釣ることが可能です。
細い糸で切れないの? ライン強度以上のドラグ抵抗にしなければ、理論的に切れようがありません。ガイドとの摩擦、障害物などの要素が加味したとしても、十二分な力をファイトする魚に与えることができるわけです。
端的に言えば、折れないロッドであれば、ADVANCEMENT65でなくてもブリが獲れるわけですが、効率的に圧をかけコントロールできる設計にしてあるからこそ、そういった「ただ折れない」だけのロッドとは一線を画しています。そうじゃないとわざわざ、そこを強調して欲しいと思ってくださる方に訴えかけたりしません。
太いラインだと、極論を言えばロッドでではなくラインでやりとりできますので、こういったライトゲームロッドのようなファイトを意識した性能はある意味必要ありません。
アタリ感度と潮感度
アタリ感度は文字通り、アジのアタリをアングラーに伝える性能。ルアーを発見→捕食→反転などによるアタリ。この流れの情報をアングラーに的確に伝える性能です。不必要な感度は場合によっては毒になりますが、ADVANCEMENTはある部分、不必要な感度もしっかりと捉えるエンスー仕様になっています。使い込んで、魚のアタリの感覚を嗅ぎ分けてください。
家邊「感度の良い素材だけを使っても、人間にはその情報が伝わらないこともあります。とある振動数に近づけば近づくほど感度情報として伝わるので、その数値にグリップ部に伝わる振動が増幅されるように基本設計しています。ティップの素材が金属だろうが、グラファイトだろうが、ちゃんと共振させてグリップ部に伝えないと、感度という部分は意味がありません」
ADVANCEMENT65はティップで得た情報を、最も人間が感じやすい振動数帯に増幅されるように設計されています。
潮感度。単純にアジングロッドのティップは食わせ時の違和感を消すためにソリッドなのではありません。ソリッドティップはそれだけのためにあるわけではありません。アジングでは潮の流れをいかに感じて、ジグヘッドをドリフトしていくかということがキモのひとつ。つまり、潮を感じる性能が搭載されていなければ、目を隠されているようなものです。
潮を感じる性能はティップが受けたアタリとは別の圧をミッドトップから違和感としてアングラーに伝える必要があります。サーティフォーのロッド群は、そういった機能をソリッドティップに与えています。テーパーを見ていただければわかりますが、ただグニャリの曲がるタイプのソリッドティップではなく、ある部分から曲がりをしっかりとティップ以降に伝える設計になっています。
ソリッドとチューブラーの接続部からティップ側のガイド一節部分を見ていただけるとわかると思います。ADVANCEMENT65はそういった性能も弾性率はそこそこなのに軽くて曲がるナノアロイを採用していることもあって、かなり高いレベルで潮感度をアングラーに伝えてくれます。
いろんな素材がありますが、掛け値なしにナノアロイ技術を採用したカーボン素材は釣り竿の革新させました。特に高弾性との相性が良いことを過去に記事に触れていますので、よければ御覧ください。
たかがカーボンの棒っきれに、ここまで語れません!
と、もう語りすぎじゃない? ってぐらい解説させていただいた、ADVANCEMENT65。うちの商品で売らなきゃいけないからというだけでは、ここまで語れません(笑)。というか、まだまだ語り尽くせてません。それぐらいに、いろんな事を考えて作った、カーボンの棒です(笑)。
在庫が残り100本を切ったのと、再生産は我々のようなブランドはいつもリスクとの戦いということもあり、ある程度在庫を残しておきたいという会社的な思惑もあって「プロモーションはそこそこでいい」なんて言われるワケですが、良いロッドなのでちゃんと知っていただきたく間隙を縫って記事にさせていただいた次第です。
かなり時間をかけて調整していったロッドですので、真の良さを買ってもらった人にも、購入を検討いただいている方にも、しっかりと理解していただき、これからのアジングライフの右腕に選んでいただければ幸いです!