DAIWAプロアングラーによるSTEEZルアー解説&実釣企画『奥義継承』。第3回目を迎えた今回登場するのは、国内最高峰トーナメント・JBトップ50で活躍する川口直人さんだ。解説していただくルアーは“STEEZスピンフィネスジグ”と“STEEZネコストレート”の2モデル。いずれも各カテゴリーで高打率を叩き出す今や定番モデルたちの秘密を、今回と次回の2回に渡って公開。そして3回目は若手アングラーが登場して現場での実釣をライブ配信。今月も最後まで見逃せない!
【Profile】
川口直人(かわぐち・なおと)
国内最高峰・JBトップ50の前身となるワールドプロシリーズへ昇格した2000年以来、今季で実に参戦22年目を数える重鎮コンペティター。09第1戦高滝ダム優勝を始め、表彰台獲得は無数。18年にはアジアNo.1を決する日中韓アジアバスプロCUPに団長兼選手として出場。見事に準優勝を果たして、アウェー戦ながらバス先進国選手としての存在感を存分に示した。
「世に存在しない。だから作った」。自作スモラバをベースに開発開始
川口「元々、スモラバは自分で巻いていたんですよ。それをベースに改良を重ねて製品化へ向かっていった、そんな感じです」
川口直人さんに『STEEZスピンフィネスジグ』の開発経緯を訊ねると、こんな答えが返ってきた。高打率ヒッターの隠し球が製品化されたと考えれば、もはや言うまでもなく釣れ筋の作品。発売は2018年春のことだ。
ただその一方で、先の言葉を裏返せば、川口さんにとって『当時は使えるスモラバがなかった』と解釈することもできる。
川口「当時、世に存在していたスモラバの多くがボリュームあり過ぎで、ひとつひとつカットしていくのは手間がかかるというのがひとつ。もうひとつは、水中でラバーがキレイにフレアしてくれる物が少なかったという」
ラバーをトリミングせずとも、パッケージから出せばすぐに使える即戦力。トーナメントプロが求めた実戦仕様モデルと言えそうだ。
川口「ジグヘッドのフック形状は元々存在していた『スモールラバージグSS(DAIWA)』が及第点だった」
ハリ先だけが外を向き、DAIWA独自のサクサス加工が施された軸は瞬時のフックアップ、そして掛けたらバラさないスモラバフックの真形状を実現。ただウェイトラインナップが、1.4g以上というベイトフィネス寄りだったため、より繊細な釣りを要求されるシーンで使えるスモラバの開発は急務だった。
川口「スピニングで使える究極のスモラバ。STEEZの名に恥じないモデルを目指した」
自作のフォルムをベースに、理想のフック形状は決まった。DAIWAバスフィッシングブランドの最高峰“STEEZ”を冠するスモラバの極致の開発に、一切の妥協は許されない。試作とテストの日々が繰り返されていったのは言うまでもない。
2タイプのラバーを変則タイイング!他には存在しない“フレアの時差”
川口「スモラバって、単体では機能しないルアーのひとつ。トレーラーのワームを付けた時のバランスが非常に大切」
川口さんはフィンテール系・ホグ系・クロー系といったワームを使い分け、その場のバスに答えを求める現場主義だ。波動の弱い物から強い物まで様々で「どんな条件下でもオールマイティに使うなら」とおすすめするのが、『STEEZホグ2.2in(DAIWA)』だ。
川口「STEEZスピンフィネスジグは単体で見ると他に比べて、ラバーが少なめに見えるかもしれない。でも、トレーラーをセットした時にバランスが良い。ボリュームがあり過ぎると違和感が出てしまうので、そこをコントロールした」
2タイプのシリコンラバーを適材適所に配置した変則的なタイイングパターンを採用。
ヘッド側には太めかつ凹凸のあるラバーを採用して、短めにカット。張りを持たせて移動距離を抑制すると共に、複雑な波動を生み出してアピール。
一方、テール側に伸びるラバーは細めかつ本数を最低限に。微かな水流にもフレキシブルに反応すると共に、トレーラーの動きを妨げることもない。
川口「太めと細め、それぞれ浮力も長さも異なるので、着底した時のラバーがフレアするタイミングに時差が生じる」
太めが瞬時にパッと開くや、細めは若干遅れてジワジワと動き始める。足下で試してみれば、その絶妙なフレアタイミングに驚きを覚えるはずだ。
川口「そうした様々なトリックを活かすも殺すもヘッド形状次第」
STEEZスピンフィネスジグ、最大の特長はそのヘッド形状にあるのだと、川口さんは語気を強めた。
フォール姿勢、着底姿勢の安定感。独自セミフットボール型の実力
川口「スモラバの基本的な使い方はズル引きです。魚が若干浮いているなと感じた時はリフト&フォールも試しますが、8割方がズル引きですね」
ディープでもシャローでも、狙う水深が変わるだけで、使い方に変わりはない。
川口「スモラバはスモールラバージグの略称なわけで、そもそもが軽く、重さを感じにくい。かといって、重いウェイトを使えばスタックしやすくなってしまうもの」
どんな水深でもSTEEZスピンフィネスジグの優れたポテンシャルを発揮する根幹が、そのヘッド形状に存在するのだという。
それが「セミフットボール型のヘッド」だ。
川口「まずはフォール姿勢。ラウンド型ではガードを下にしてフォールするモデルも多い中で、ハリを上にしたままの姿勢でフォールしてくれる高バランスを実現」
フォール中のバイトも多いことが、その有効性を立証。
川口「またラウンド型に比べて接地面が増えるのでボトムでは着底感が向上。なおかつ、横倒れしにくい」
安定感を高めると共に感度が高まることで、たとえディープへのアプローチでも操作性が明らかに向上。またボトムの底質を判断しやすく、ここぞという硬いスポットも見付けやすい。
さらにズル引きした際には、ハリ先が常に上を向き、根がかりは大幅に減少。またセットされたトレーラーはボトムで立ち、ラバーと相まってアピール力を存分に発揮する。
ガードは硬過ぎず柔らか過ぎない1本仕様で、カバーを回避。オープンウォーターで使用するなら、よりフッキング性能を高めるべく、簡単に取り外すことも可能だ。
川口「ラインアイはフラット面に装着。ズル引いた時には、フックと共にトレーラーは前方45度に傾き続け、先端のエッジが障害物に微かにスタックしつつもすり抜けてくれる。ここが感度を高めてくれる大きな要因となる」
手元へと伝わる絶妙な感触は、次なるバイトに備える合図。また微かなスタックによって、1点シェイクでのアピールも可能だ。
細部に至るまで実に綿密な設計が施された『STEEZスピンフィネスジグ』。ボートからのディープ攻略のみならず、岸釣りではキャストした先での操作性も高い。各種STEEZワームとのタッグで、さらなるポテンシャルを発揮したい。
ズル引き後のステイ、そしてコマメなラインチェックは必須
川口「ズル引きしたら、必ず止める」
川口さんは釣り方のキモをこう解説し始めた。
川口「引っ張っている時は喰わないと思ってもいい。止めた瞬間に、ラバーがパッと開く。そこが喰わせのタイミングなので、必ずステイを入れるようにしたいですね」
ステイ後の引き始めも集中力を高めておくべきだろう。ステイ中に喰った魚の動きが伝わることも多いからだ。
川口「あとは重さの使い分け。1.8g(=1/16oz)を基本に、ボトムを感じにくい深場や風が強い時には重めの2.3g(=3/32oz)。魚が浮いてるなと感じた時やフォールで釣りたい時は軽めの1.3g(=1/32oz)。一番軽い0.9gは対スモールマウスなどタフった時用かな」
4つのウェイトラインナップを有効に活かすことも大切だ。
川口「1尾釣ったら、またカバー周りでスタックしたのを回収したら、必ず結び替え。使うラインが細いので、手間だとしても必ず!」
スピニングタックルでラインは3〜4lbが主流となるこの釣り。対スモールマウスともなれば、2.5lbを使うことも辞さないため、ラインチェックは基本だ。
最後に川口さんの使用タックルをご紹介。
【川口直人使用タックル】
●ロッド:STEEZ S65L+-SV・SMTスカイボルト
●リール:ルビアス エアリティFC LT2500S-XH-QD
●ライン:STEEZフロロtype-フィネス2.5〜4lb
*全てDAIWA製品。
次回は、もうひとつの武器“STEEZネコストレート”について詳細解説していただく予定だ。乞うご期待!