ジョイント化で生まれる『生命感』! でかバス報告多数の『NZクローラー(デプス)』の秘密【ジョイント多事争論】



ジョイントに一家言ある各界の賢人たちに、エピソード、理論、テクニックなど、ジョイントにまつわるあれこれを聞いてみた金言集。9つのエピソードを読み終わると、ジョイントルアーの全体像が見えてくれるかもしれない。今回は、デプスのNZクローラーをプロデュースした渡部圭一郎さんにお話を伺った。

【Profile】

渡部圭一郎(わたなべ・けいいちろう)

桧原湖の辣腕ガイド。卓抜のルアービルダーとしても知られ、ガイド中の自作ルアー使用率は約8割に達する。デプスのNZクローラー、KROムシ、KROスピンテールは彼の設計だ。

人間が入力した動きを自発的なものに変換

数年前、デプスから発売となった巨大クローラーベイトの『NZクローラー』。その巨大さ、重厚感、そしてナマズのようなユーモラスな造形は異彩を放っていた。しかも、全国からビッグバスの捕獲報告が殺到し、開発者である渡部圭一郎さんは、その才能を高く評価された。

渡部「もともと、クリーパーという大きめのクローラーベイトが好きでよく使っていたんです。そこで、もっと大きいクローラーベイトの必要性を感じて作ったのが、NZクローラーの原型ですね」

NZクローラー(デプス)

軽い羽根で微振動を出す…というハネモノ界の流れに、巨大なくさびを打ち付けた、ビッグクローラーベイト。大型ステンレスウイングが、重厚なボディを動かす水押し波動は圧巻。そのキモはジョイントにあった。

渡部さんは20代前半から桧原湖でプロガイドを営み、今年でもう16年になる。ただ、彼は一般的なガイドとはひと味違う。なぜなら、彼がガイド中に使うルアーは、そのほとんどが渡部さんの自作したルアーなのだ。

渡部「NZクローラーくらいのサイズで、ウイングだけで動かそうとすると、正直言って動きが緩慢過ぎるというか、大きな物体を一生懸命に動かす感じになってしまう。そこでジョイントにしたんですね。すると、リアボディは胴体に追随しつつ、胴体とは逆の方向にくねるような動きになる。ウイングに対して、リアボディは別のアクションをしてくれる」

ジョイントのおかげで、より軽い力で動くようにもなった。そして、特にリアボディのアクションは人間の介在を感じさせない、自発的なものになった。そんなジョイントの潜在能力を渡部さんが意識し始めたのは、エスドライブがきっかけだったという。

渡部「エスドライブと出会った時は感銘を受けました。それ以降、自分でさまざまなジョイントルアーを作りましたね。ジョイントの切り口、幅、節の数などで動きが全然変わる。ジョイントでルアーは良くもなるし、悪くもなる。知れば知るほど奥が深い。それがジョイントの世界だと思います」

現在市販されているNZクローラーは95mmと134mmの2サイズ。だが、渡部さんの自作ウッドモデルは3サイズある。右から135mm、115mm、100mm。もちろんすべてジョイントモデル。現在、生産はしていない。



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