DAIWAと赤羽修弥が生み出した「釣れるシャッドプラグ」の決定版!『STEEZシャッド』の誕生秘話と使い分けを徹底解説【奥義継承! STEEZ LURE TACTICS】



DAIWAプロアングラーによるSTEEZルアー解説&実釣企画『奥義継承』の第4回目は、霞ヶ浦の鬼・赤羽修弥さんが登場。今回は“STEEZシャッド”を、そして次回は“STEEZカバーチャター”という秋の定番・巻きルアーを徹底解説。これら2つのSTEEZルアーを使って実釣ライブ配信に登場する若手は誰なのか。そして、気になるお題と罰ゲームは…しばし待て。

【Profile】

赤羽修弥(あかばね・しゅうや)

霞ヶ浦を拠点とするWBSトーナメントでおよそ30年に渡り最前線で活躍中。オールスタークラシックでは前人未到の3連覇(08・09・10年)を果たした唯一のツワモノ、人呼んで“霞ヶ浦の鬼”。釣りアンティーク蒐集家としても知られている。東京都出身。

病いを圧して仕上げた渾身の“赤羽シャッド”『STEEZシャッド(DAIWA)』

STEEZシャッド60SP

赤羽「“STEEZシャッド”ってさ、元々は別の名前でデビューして、2016年にSTEEZブランドが発足したことで格上げされたモデルなんだよね。最初は小さいほうのサイズしかなかったんだ」

今やシャッドプラグの定番として誰もが知る名作を開発したのは“霞ヶ浦の鬼”こと赤羽修弥さん。原型となるモデルは、2014年3月にD-シャイナー55SPの名で登場したことは記憶に新しい。

懐かしきD-シャイナー55SPの実釣テスト動画がこちら

赤羽「開発コンセプトは、誰でも投げればしっかり飛んで、普通に巻けば安定してしっかり泳ぐこと。当たり前のこと感じるかもしれないけど、これって意外と難しいことなんだ。元々小さなボディの中に様々な機能を盛り込まなければならないのがシャッドというルアー。容量の大きいクランクとは勝手が異なるんだ」

2016年に“STEEZシャッド”としてデビューの際は、内部及び外部構造の再調整を図ると共に、掛け味鋭いサクサスフックを搭載。潜行深度は2段階に分け、適材適所の対応を可能にした54SP SRとMRで登場した。

赤羽「外壁の肉厚にウェイトの位置、ちょっとしたフォルムの変更など、シャッドは細かい設計を積み上げたトータルバランスで性能が決まる。STEEZシャッドは前作からボディが1mm短くなってるでしょ。実は、名前を変えただけじゃないんだよ、ってこともわかるよね」

より扱いやすいモデルを仕上げるために、赤羽さんは日々テストを繰り返し、発表前年の秋には最終プロトを完成させた。ところが…。

赤羽「2週間くらい入院生活してたんだ。そんな時に最終プロトが仕上がってさ。俺の都合で長い間待たせるわけにもいかないから、抜け出して病院の裏にある川でスイムテスト(笑)。いやいや、命に別状があるような病気じゃなかったからさ」

羽生結弦さんと同じ病いで、手術後に快復した段階だったとは聞くが…霞ヶ浦の鬼がかなりの無茶をしたことは間違いない。

2016年3月、無事にSTEEZシャッド54SP SR/MRはデビュー。数ある赤羽さん開発によるSTEEZルアーの中でも、指折りの思い入れがあるモデルとなったそうだ。

シャッドはスピニング専用ではない。今や「ベイト」の時代

1サイズで2タイプの潜行深度からスタートしたSTEEZシャッドは、年を追うごとに様々なタイプを増やしていくことになった。人気モデルには派生は付き物で、全国のアングラーからの要望に応えた形だ。

赤羽「それと、DAIWAベイトフィネスリールの進化で、もはや54mmクラスもベイトで投ることもできる時代になったことも理由のひとつ。シャッドはもはやスピニング専用ではない」

19スティーズCT SV TW
20スティーズAIR TW

2019年登場のSTEEZ CT SVTW、昨年2020年のSTEEZ AIR TWなど、軽量ルアーに完全対応する現代ベイトリールのイノベーションは著しい。スピニングに比べ太糸が使え、手返しが良くなる優位性は大きいという。

2018年にはサイレント(54SP-SR-S/54SP-MR-S)、フローティング(54F-SR/54F-MR)、そしてアップサイズモデル(60SP-MR)が登場。以降、現在に至るまで54サイズ、60サイズ共にSR/MR展開及びサイレントモデルまでラインナップしている。

各サイズで異なる重心移動構造を有すると共に、リップからボディへと至る滑らかなデザインが安定した遠投性能をサポート。計算し尽くされたボディ形状は、ハイピッチかつタイトなロールアクションで国内の平均的なベイトフィッシュの様子を演出する。

赤羽「例えば、霞ヶ浦水系なら岸からでもボートからでもSRかMR。DRもあると便利な時もあるけど、だいたいこのSRとMRの2つでOKだと思う」

各潜行深度は、以下の通り。

SR=1m
MR=2m
DR=2.5m

赤羽「今年の春3月にリリースされたのが、EXDR。DRよりもっと潜るタイプで、潜行深度は3.5m」

それが60SP EXDR。60サイズのサスペンドのみに限定されたモデルだ。

STEEZシャッド 60SP EXDR(DAIWA)

赤羽「元々は、利根川の消波ブロック周りとか水深が深い場所を攻略するために開発したモデル。そう、オールスタークラシックで勝つために開発。それが最近では、潜行深度がマッチする琵琶湖などでもよく使われるようになってきているよね」

東から発祥した唯一無二とも呼べる存在は、西の最前線でも活躍中だという。

赤羽「どのモデルに関しても言えることだけど、箱から出してラインの先に結んだら、必ずスイムチェック。右に曲がるならフロントアイをシャッドの正面から見て左へ、左に曲がるなら右へ。真っ直ぐ泳ぐように、プライヤーでほんの少しずつ微調整を」

いわゆる“トゥルーチューン”は、シャッドならずともプラグの基本。使う前に必ずチェックすることで、STEEZシャッドのポテンシャルを最大限に活かすことが可能だ。



「まずは投げて巻こう」経験値こそが何よりの力。

現在では実に全14モデルが揃うSTEEZシャッド。それでは、どのモデルをどんな場所でどう使えば良いのだろうか。

赤羽「どこでもいいし、どれでもいいよ(笑)。ここ釣れそうだなと思ったら、これだと思うものを投げて巻いてみる。やってみなければ、結果は出ないからね」

確かに赤羽さんの言う通り。根掛かりを恐れていたら、広範囲を探れるハードルアーならではの威力を知ることはできない。投げて巻けば、釣れるアクションを生み出してバイトを誘うことは既に明らか。だからこそ、現在シャッド界の超定番として君臨しているのだ。

赤羽「54ならスピニングでフロロカーボン4〜5lb、カバー周りならベイトで8〜10lb。60ならベイトオンリーで」

赤羽さんの使用タックルは以下の通りだ。

54用

●ロッド:STEEZ 661ML/LRS-LMストームシャドウ
●リール:イグジストFC LT2500S
●ライン:STEEZフロロtype-フィネス4〜5lb

カバー周りでの54&60用

●ロッド:ブラックレーベルBLX LG 6101MLFB
●リール:STEEZ CT SVTW700SH
●ライン:STEEZフロロtype-フィネス8〜10lb*カバーが濃い場合はtype-モンスター12lbを使用

STEEZシャッドに“S”=“サイレント”が存在する理由

赤羽さんが開発したSTEEZルアーは無論、このシャッドのみならず、ミノーにスクエア100、ワームではネコストレートやホッグにクロー、そして次回解説していただくSTEEZカバーチャターなど数多い。

いずれにも共通しているのが赤羽コンセプトとも言える「安定感」。質実剛健なクォリティがそこに込められている。

赤羽「派手な動きや突飛な形状は、確かにここ一番で釣れる。けど、現代のフィールドで釣り続けるには、プレッシャーを与え過ぎずに最大限のアピール力を発揮することが大切。1つの場所で1尾だけでなく、2尾目も釣れるくらいのルアーが必要だと思う」

虚飾を廃して本質のみに心血を注いでいるのが、赤羽コンセプトのSTEEZルアー。だ・か・ら、タフな現代でも釣れ筋なのだ。

STEEZシャッドには「サイレントモデル」がラインナップされていることも、そのコンセプトを裏付ける。また全25色というカラーの豊富さにも注目しておくべきだ。

中には赤羽さんのシグネイチャーカラーが2色存在する。

赤羽シャッド
赤羽ライム

赤羽「“赤羽シャッド”は20年前くらいに存在したTDシャイナー(廃盤)のスポーンてカラーがベース。霞ヶ浦でよく釣れて、それ以来の俺の定番。もうひとつの“赤羽ライム”はメリハリを付けたカラーだね。シャッドはロールするから単色より何らかのアクセントがあったほうが好き」

SGクロキンやグリーンゴールドも赤羽さんの一軍カラー。ストライクドットや、背や腹の塗り分けが特徴的だ。カラーセレクトの参考にぜひ。

SGクロキン
グリーンゴールド

それでは、次回はもうひとつの秋定番STEEZルアー『STEEZカバーチャター』について解説していただくことにしよう。

赤羽さんのSTEEZシャッドによるオカッパリでの会心の1尾がこちら!