取材で全国の釣り場をめぐるルアマガソルトスタッフ。ときには、理解不能な不思議な光景に出くわすことも。先日、アジングの実釣取材で訪れた佐渡島では、漁港の片隅で、絶対にいるはずのないアノ魚の姿を目にするのだが…。
同行者から突然大声で呼ばれ、駆け寄ってみると…
アジングの実釣取材で、新潟県の佐渡島を訪れた際のことです。ルアーを使ったアジ釣りは、夜が本番となるので、日中は主に釣り場のチェックに時間を費やします。
ポイントチェック中に、とある漁港に立ち寄った際、アジの魚影を探す同行者が突然、大声でスタッフのことを呼ぶんです。普段、大きな声を出すタイプの人ではないので、びっくりして何事かと駆け寄ると、同行者は無言で水面を指さします。
「でかいアジでもいたのかな?」と、覗いてみると、何とそこには、巨大な青物がグルグルの泳ぎ回る姿が。そこは、漁港の最奥で近くにはスロープがあるような、浅瀬です。こんな狭くて浅いエリアに、大型の青物が泳ぎ回るというのは、普通では考えられません。
我々の影が水面に落ちても、逃げることもなく悠々と泳ぐその姿は、さながらこの一帯の主のような風格すら感じさせます。
大型回遊魚の正体は、ヒラマサと判明
しっかりと観察してみると、体側のラインがかろうじて見えたので、それがヒラマサだと判別できました。
「えっ、漁港の最奥の、メチャクチャ浅い場所でヒラマサが泳ぎ回ってるなんて、佐渡島のポテンシャルすごい!」
と、感嘆の声を上げる同行者。これまで、数えきれないほどの漁港を巡ってきましたが、確かに、こんな大きなヒラマサが回遊している光景など、ついぞ見たことがありません。不思議すぎるその光景にしばらくみとれていると、同行者がある事実に気が付きます。
「なんかこのヒラマサ、時折アジを追うそぶりを見せるんですよね。ひょっとして、狙ったら釣れるかもしれない。でも、今持ってるアジ釣り用のタックルだと、掛かってもライン出されて切られて終わりですが……」
目前のヒラマサと対峙できるタックルを持ち合わせていなかったため、何もすることなくその場を後にしました。そもそも、今回の取材のテーマであるアジ釣りとは外れることですし。
発見時に撮影された動画
遊泳力が高いヒラマサが、狭い漁港の浅場まで入ってくることは珍しい。その姿を捉えた動画。まわりにいるアジの群れを追うような活性の高さも垣間見せる。
実は、地元でも有名な「主」的存在だった!?
しかし、その後の取材中もずっと、あのヒラマサのことが気に掛かっていたのは、私だけでなく同行者も同じだったようで、取材終了後に地元の釣りに詳しい人と話す機会があったので、その出来事を話してみると、意外なリアクションが…。
「ああ、そのヒラマサずっとそこにいるんですよ。結構有名でね。えっ、アジを追ってた? ん~、俺も色々試したんだけど、全然喰わないんですよ。何やってもダメ。スレまくってますよ(笑)」
どうやら、件の巨大ヒラマサは界隈で有名な存在のようで、腕に覚えがある地元アングラーが手を変え品を変えで狙っても一切意に介さない、難攻不落の魚だったようです。
教えてくれた地元の釣り人は、これまで数々の大型ヒラマサをキャッチしてきた手練れなだけに、その人が釣れないと言うのだから、誰が何をやっても恐らく釣れないんでしょう。
で、何であんなところにいたか? ですが、これはもう推測でしかないのだけれど、ヒラマサが回遊していたポイントのすぐ横に、魚を加工する工場があったのでそれが関係していた可能性はあるかもしれません。
ともあれ「あのヒラマサは今でも、漁港の片隅でグルグルと回遊し続けているのだろうか?」と、ふとした瞬間に思い出してしまう、そんな印象的な出来事でした。
ルアーマガジンソルト2021年8月号に、佐渡島の釣行記事が掲載
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