現代ビッグベイトの主流とは明らかに異なるコンセプトで「本気食い」させるバイト量産ルアー『フィニッシュブロー160(ティムコ)』



『ビッグベイト』というカテゴリーが確立されてすでに久しく、現在は何次目かのブームの最中にあるのかもしれない。そんな状況下でも正直、ティムコが新たにビッグベイトを出して来るとは思わなかった。何というか…ティムコというメーカーは流行に左右されず、もっと『手堅い』ところを追求するメーカーというイメージを勝手に抱いていたからだ。もちろん、現行ラインナップにもMB-1カスタム175Fというビッグベイトがある。しかし、今回発表された『フィニッシュブロー160』は、ハイブリッドボディというのが最大の特徴であり、釣果を優先するには欠かせない構造だったという。その辺りの詳しいところを、ティムコスタッフの大津清彰さんに根掘り葉掘り聞いてみた!

【Prpofile】

大津清彰(おおつ・きよあき)

ティムコ社員として、クリッタータックル・野良シリーズなどヒット作をリリース。フィールド業務も加速度的に増え、今や夢の職業に!? 胃の内容物調査を始めアカデミックなアプローチも欠かさない現場主義者だ。

ハイブリッドボディは、一世を風靡した『あのビッグベイト』のコンセプトからインスパイア!

現行のジョイント式ビッグベイトは、ABS製ボディにエラストマー素材、もしくはワーム素材のテール(尾ビレのみ)が組み合わされるという構造がメジャーですが、このフィニッシュブロー160に関してはフロントボディがABS製、ジョイント部分より後ろ側はすべてワーム素材になっています。そういう意味でのハイブリッドだと認識していますが、その理由とは?

大津「実は、このルアーを作るうえで参考にしたルアーがあるんです。それがキャスティークというメーカーの『リアルベイト トラウト』(※通称 キャスティークトラウト)で、ヘッド部分がABS素材、ボディより後ろはワーム素材というものでした。10年くらい前までは僕もよく使っていて、とても釣れた記憶があります。このルアーの何がイイかと言うと、浮力が高いABS製ヘッドがしっかりと重心位置を定めてくれているので、潜るときにリップの角度が正確に決まりやすい。だから後ろに追従するワーム素材のボディ&テールの動きが安定するんです。この構造を参考にしつつ、現代の技術とテイストを反映させたルアーを作ってみたいと思ったのが始まりですね」

後ろ側のワーム素材の中に、何か“コア”のような物が入っていますね。

大津「ソリッド構造の発泡素材が入っています。これはジョイント部分とリアフックを取り付ける土台としての役割と同時に、浮いた状態でテールを水平に保つための浮力体という役割もあります。テール部分は一般的なワーム素材で、さまざまなソフト素材を試したうえでの結果、アクション的にも強度的にもコレが一番良かったです。尾ビレの形もいろいろ試しましたが、結局はシンプルな『お魚テール』が一番釣れましたね。前側ボディの激しい動きに対して、尾ビレは“ポロッポロッ”と軽めに動きつつワーム素材ならではのライブリーな波動を発生します。ちなみに、上下にも小さなヒレが付いていますが、これもキャスティークの『ベイビーバス』というルアーのフォルムからインスパイアされたものです。これも良く釣れたので、あやかろうかと(笑)」

ABS製の前側、ワーム素材の後ろ側それぞれの良さを最大限に引き出せる『スプリットリング仲介ジョイント』

ジョイント部分はヒートン同士の直結ではなく、スプリットリングを介して接続されています。

大津「このルアーは一般的なビッグベイトのように『チョンチョンと動かしてステイ』の繰り返しでアピールするのではなく、短い距離でたくさんアクションさせることを目的としています。それには『シェイク巻き』がオススメで、アングラーの操作は直接ABS製のフロントボディへと伝わり、ハードルアーらしくキビキビと動きます。では、ワーム素材のテールはどうかというと、スプリットリングを介したことで遊びが生まれ、フロントボディの動きを妨げることなくワーム素材特有の艶めかしい動きを見せます。つまり、前と後ろがそれぞれの素材の良さを活かせるようになっているのが、このスプリットリングによるジョイント方式なんです」

重さは43gあるので、それなりのパワーを持つロッドが必要ですね。

大津「MH~XHのパワーは欲しいところですね。ただ、短い距離でたくさんアクションさせることを考えたら、6ft台の短めのロッドを使った方がテクニカルに誘えるかもしれません。巻きながら動かし続けてバスから逃げていく様を演出できれば、バスはルアーと見切ることなく本気食いしてきます。長すぎるビッグベイト専用ロッドだと、細かいアクションが付けにくくなるかもしれません」

フローティングモデルということですが、泳がせるレンジは?

大津「シェイク巻きすれば水面直下を泳ぐようなセッティングになっていて、ビッグベイトに反応するような高活性なバスがバイトするベストなレンジをキープできるようになっています。ただ、アングラーの好みでもっとレンジを下げたい場合はフロントボディ側にフックジョイント式のシンカーを装着したり、テール側にネイルシンカーを挿入したりして調節することができます。また、ウェイトを装着する位置によってもアクションは大きく変化するので、それもアングラーの好みで調節してもらっていいと思います」



本気食いアタックが期待できるお盆から晩秋がベストシーズン。徹底的にシェイク巻きしまくろう!!

フィニッシュブロー160が効果的なシーズンやフィールドは?

大津「ノーマルの状態で使うのであれば、お盆過ぎから晩秋がベストシーズンです。シェイク巻きで動き続けるビッグベイトに対してはジャレ付く感じではなく、本気食いでアタックしてくるまたとない機会なので、ぜひとも集中して使って欲しいです。もちろん、冬から春もウェイトチューンしてレンジを下げ、ゆっくり動かしながら艶めかしいテールの動きでナチュラルに誘うのもアリです。リップ付きビッグベイトということもあり、動かしながら波動を発生してアピールするので、バスからの視界が良くないマッディウォーターのフィールドの方が、フィニッシュブローの特徴を活かせる釣りができるでしょう。これまでのビッグベイトとはひと味違う使い方ができるルアーなので、ぜひとも使ってみて欲しいです!」

フィニッシュブロー

【スペック】

  • 全長:160mm
  • 重量:43g
  • タイプ:フローティング
  • 価格:3,080円(税込)