キャッチ率爆上がりフック『ピアストレブル(リューギ)』の開発秘話を木村建太プロが語り尽くす



キャッチ率を爆上がりさせることで“釣れるルアー”を創り出す、RYUGIトレブルフックのフラッグシップ『ピアストレブル』。今年で発売から10年という節目を迎えてもなお、トレブルフックの頂点としてその座を譲ることはない。誰もが知る人気作を今ここで改めて開発者である木村建太さんが詳細解説。釣れる理由がそこに秘められている。

【Profile】

木村建太(きむら・けんた)

琵琶湖プロガイドと米国B.A.S.S.最高峰エリートツアープロの二足のわらじで活躍中。愛称は「キムケン」。ストロングゲーマーとして名を馳せる彼がピアストレブルに賭けた思いを語り尽くす。

「もはや日用品。僕にとってなくてはならない存在」

――木村さんにとってピアストレブルとはどんな存在ですか?

木村「訊かれても答えようがないですね…。もはや日用品、例えば歯磨き粉と一緒。なぜその歯磨き粉を使っているのかと訊かれて、即座に答えられる人っています? 別の歯磨き粉を使って初めて『あ、いつもと味ちゃうわ。嫌やな』て、気付くもんじゃないですかね?」

使い慣れている身にとっては、それ以外の答えはない。別物を使って初めて本物の優れた性能に気付く。逆に、本物を初めて使った人のみがその差に気付ける。まさに言い得て妙な回答だった。

木村「これ以上がないくらいに完璧に作り上げて、納得のいく物が完成した時点で、僕の身体の一部と化してリセット。まぁ、僕レベルで長年使い続けてきて何も不満がないわけで…『これ以上がいる?』と聞きたいくらいですわ」

日本と米国、太平洋を挟んだ両国においてストロングゲーマーとして知られる木村さん。釣行頻度は我々サンデーアングラーの比ではなく、より過酷な状況や場面の数々を乗り越えてきたことは言うまでもない。その上で、何を求めるのか。否、不要だ。

木村「ハリという物は古来から存在する釣り道具で、今後劇的に進化した素材が現れない限り…いや、現れたとしても、それが必ず進化に繋がるものになるかどうかはわからない」

これまでに開発を進め始めたものの頓挫したモデルは少なくない。机上の理論と現場での有用性は異なるものだ。つまり、現時点で最高のトリプルフック。それが『ピアストレブル』なのだ。

2022年3月号ルアーマガジン本誌。おなじみタックルオブ・ザ・イヤー2021のフック部門ランキング。トレブルフックで唯一ピアストレブルがランクイン。すなわちトレブルフック部門では堂々の一位なのだ。


異例のルアー&フック同時開発全ノウハウを惜しみなく注入

木村さんが『ピアストレブル』を開発したきっかけは、クランクベイトのイヴォーク1.2(デプス)を開発中のことだった。

木村「発売後に『ハリを交換して使ってください』とは言いたくなかった。魚との直接の接点であり、獲る上で最も大切な要素のひとつであるハリに妥協したくなかった」

そこから異例のルアーとフック同時開発が始まる。

ハリ先が魚に触れやすくなるワイドゲイプ、触れた瞬間に射止める刺さりの良さ、フッキングパワーを即座に貫通力へと変換する内向きポイント、確実に取り込むためのオールベンドデザイン。そして鋭さが長続きする耐摩耗性特殊鋼材サイバーメタル。

RYUGIが持つ素材や設計ノウハウを惜しみなく注ぎ込み、日に日に完成へと近付いていった。

木村「ピアストレブルの前に開発していたのが、ストレートフック『タントラムコントロール』。形状そのものが抜群の刺さりの良さを実現してくれる一方で、ネーミングの由来ともなった『TCコート』の効果は計り知れなかった。これをトレブルにも採用できないかと」

太軸で強度を確保しながら、弱い力でも確実に貫通できるRYUGI独自の特殊コーティングがそれだ。

木村「フックの開発は現場で試すしかテスト方法がない。貫通しやすい内向きポイント、身切れせず拾ってくれるベンドの角度など、トライ&エラーを繰り返した末に仕上がった完成形。そこにTCコートがリリースへの決定打となった」

現在、ピアストレブルは多くの後発ユーザーを生み出すまでの人気作となっていることはご存知の通りだ。

他で替えが利かない絶大な自信作にして真定番

木村「ピアストレブルが完成したことで、何よりハリのことを考えなくてよくなったのは精神的に強い」

新たなハードベイトの開発においては、信頼のピアストレブルありきで形状は決まっていく。また手持ちの他社ルアーをフック交換する際にも迷いはない。

木村「唯一デメリットというほどでもないけど、他の同番手に比べ太軸であるために、ごくごく若干重い。例えば、110ミリクラスのジャークベイトに搭載するとサスペンドがスローシンキング化。でも、リングを1番手小型化すれば良いだけの話」

最高水準のハリを活かすためのリング交換は手間ではない。釣果を伸ばすためのフック選びは、最高の結果へと繋げてくれるはずだ。

木村「最初にも言った通り、僕にとっては日用品のひとつ。もう生活習慣の一部なんですわ。他のハリ付けると何だか気持ち悪い(笑)。慣れてるから、これでエエやん。そんなハリがピアストレブル。もし現状では嫌やという方がいらっしゃったら、お話聞きますよ(笑)」

絶大なる自信が伺える木村さんの言葉を最後に聞くことができた。

【スペック】

フックサイズ#10#8#7#6#5#4#3#2#1
入数666665554
  • 定価:693円(税込)