桜の花が散る頃に海の中は春爛漫!? そう、マダイ釣りの春の最盛期、乗っ込みが始まります! このタイラバファンがうずうずするシーズンに合わせてテンリュウの人気マダイゲームロッド『レッドフリップ』が一新! 水深、フッキング方法、船の流し方に応じてシステマチックにロッド選びができるという最新モデルの詳細を解説していきます!
【Profile】
松本宏(まつもと・ひろし)
国内自社工場生産の高品質にこだわるロッドメーカー、テンリュウの西日本エリアの営業を担当。今やタイラバのメッカのひとつといえる瀬戸内は香川県出身、在住でタイラバ歴20年の大ベテランです。豊富な経験と知識を持ち、レッドフリップシリーズの企画・開発ではプロデューサーとして活躍中!
水深、フッキング方法、船の流し方に合わせて最適なタイラバロッドが選べる!
タイラバは海底に落としたタイラバを巻き上げるだけで、魚の王様マダイが狙える人気の釣りです。オフショアゲームとして確立され、ブームに火がついたのは2000年代に入ってから。その炎はますます大きくなっています。
松本「私が20年くらい前に鳴門(徳島県)ではじめた頃はタイラバという言葉がなくて、当時はフラフラと呼んでいました(笑)。今では全国各地で楽しまれ、釣り方も急速に進歩しています。このタイラバの進歩に合わせて開発したのが、新しいレッドフリップシリーズです」
進歩というのは具体的にどんな点ですか?
松本「例えば以前はアタリがあっても巻き続ける。『乗せ』という考えが基本でしたけど、『掛け』という発想が生まれて現在はすっかり定着しています。タイラバ自体もワーム素材のネクタイやトレーラーが出たり、タングステン製ヘッドの登場でよりディープを狙うようになった。日本海側など水深100m超のディープタイラバが盛んな地域もありますからね。攻め方もバーチカルか、ドテラ流しか。地域や船によって違います」
レッドフリップ開発中のテスト実釣
実釣テストは松本さん自身がホームの瀬戸内海をはじめ、高知沖や玄界灘、山陰沖など西日本エリアで実施。「テストはほかの営業スタッフや各地の船長さんたちにも協力をいただいて全国で展開。日本海の三国沖(福井県)、上越沖(新潟県)。太平洋側の御前崎沖、駿河湾(静岡県)、常陸沖(茨城県)などでもテストをしています」。タイラバが盛んな地域で磨かれたということです。
タイラバの釣法が多様化かつ深化しているということですか?
松本「そうです。現在のタイラバはロッド1本で攻略するのはなかなか難しい。状況変化に対応できません。だからといって何本もそろえないとダメということではありませんからね(笑)」
それを聞いてひと安心です。
松本「タイラバのロッド選びで重要なポイントは3つ」
- 釣り場は浅いか深いか
- フッキングは乗せか掛けか
- 船の流し方はバーチカルかドテラか。
松本「新しいレッドフリップは、この3要素をコンセプトに開発しました」
なるほど。コンセプトが明確だから自分が良く行く釣り場の条件にマッチしたロッドが選びやすい!
松本「そうなんです! 全6機種で全国各地の人気タイラバフィールドをカバーできます。各機種の完成度が高いから、乗せか掛けかなどそのときのヒットパターンを見つけやすく、状況変化にも対応しやすくなっています」
その完成度について、さらに掘り下げて解説していただきましょう!
NEWレッドフリップ ラインナップと釣り方別適合表
品番のスラッシュ以降のローマ字は攻め方(船の状態)、水深、フッキングスタイルを表します。ちなみに水深のSは水深50mまで。Dは水深50m以深が大まかな目安になります。Vモデルはバーチカルな釣りが得意でドテラ流しにも対応します。発売は2022年3月
MODEL | TYPE | LENGTH ( m [ft]) | PCS. | ACTION | CLOSED LENGTH (cm) | LURE WT (g) | LINE (PE/号) | DRAG MAX (kg) | REAR GRIP LENGTH (mm) | TIP DIA (mm) | ROD WT (g) | CARBON /GLASS (%) | PRICE | JAN CODE |
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RF5101B-UL/VSN | B | 1.78[5’10”] | 1 | RS | 178 | Vertical 30-100 , Dotera MAX150 | MAX 1.0 | 2 | 425 | 1.4 | 96 | 83/17 | ¥34,000 | 022321 |
RF5101B-ML/VSK | B | 1.78[5’10”] | 1 | F | 178 | Vertical 45-160 , Dotera MAX200 | MAX1.2 | 3 | 425 | 1.2 | 100 | 87/13 | ¥34,500 | 022338 |
RF642B-L/VDN | B | 1.93[6’4″] | 2 (O.S.H) | RS | 144 | Vertical 45-120 , Dotera MAX180 | MAX 1.0 | 2 | 425 | 1.5 | 113 | 91/9 | ¥36,000 | 022345 |
RF642B-M/VDK | B | 1.93[6’4″] | 2 (O.S.H) | F | 144 | Vertical 60-180 , Dotera MAX250 | MAX1.2 | 3 | 425 | 1.4 | 116 | 93/7 | ¥36,500 | 022352 |
RF6102B-MH/DK | B | 2.08[6’10”] | 2 (O.S.H) | RF | 159 | Vertical 60-200 , Dotera MAX300 | MAX1.5 | 4 | 425 | 1.5 | 129 | 84/16 | ¥37,500 | 022369 |
RF672S-ML/CK | S | 2.00[6’7″] | 2 (O.S.H) | RF | 160 | Vertical 45-160 , Dotera MAX200 , Cast MAX75 | MAX1.2 | 3 | 405 | 1.1 | 101 | 92/8 | ¥35,000 | 022376 |
C.N.Tでバットの粘り強さがアップ! しなやかで高感度な穂先を実現!!
新しいレッドフリップはルックスも大幅に変わりましたね!
松本「見た目もそうですが、前作との決定的な違いはブランク。バット部にC.N.T(カーボンナノチューブ)をコンポジットしたことです」
レッドフリップ、前モデルとの比較
レッドフリップは2007年にデビューし、今回のリニューアルで4代目。ルックスも前作から大幅に変更され、シャープで洗練された雰囲気を醸し出します。セパレートグリップで大幅に軽量化され、手にしたときのバランスが良いから自重以上の軽さを感じます。
前作:レッドフリップRF5111B-ML
新レッドフリップRF5101B-UL/VSN
C.N.Tはブランクのネバリ強度を上げる素材ですよね。その狙いと恩恵は?
松本「ひとつはかけた魚を浮かせるリフト力が前作よりアップしています。さらにバット部がネバり強くなったことで、ベリーとティップが軟らかくできます。とくに乗せモデルでその恩恵が大きいですね」
一般的な乗せロッドはしなやかなソリッドティップを搭載するモデルが多いですよね?
松本「乗せモデルのVSNとVDNは、テンリュウ独自のマグナフレックス製法の一つ、カーボンフレックスによる低弾性カーボンのチューブラーティップです。カーボンフレックスは弾性の異なるカーボンを繋ぎ目なく1本のロッドに作り上げることができる製法で、バイトするタイに違和感を与えないしなやかさが出せるなら、感度が良くてねじれに強いチューブラーのほうが有利ですからね」
掛けモデルも感度が重要になりますね?
松本「掛けモデルは中弾性カーボンのチューブラーティップです。高感度でフッキングレスポンスが非常に優れています。マグナフレックス製法のカーボンフレックスは、2007年発売の初代レッドフリップから代々受けつぎ実績は抜群。さらに今回バットにC.N.Tを入れることで、タイラバロッドの理想の調子とパワーを両立しています」
N(乗せ)は自動的にフィッシュ・オン! K(掛け)は水中の情報を感知して積極的にフッキング!!
では各機種の特徴や使い分けを具体的に教えていただきましょう! 例えばRF5101B-UL/VSN(バーチカル・シャロー・乗せ)と、RF5101B-ML/VSK(バーチカル・シャロー・掛け)の使いわけは?
松本「VS(バーチカル・シャロー)は、瀬戸大橋周辺の備讃瀬戸エリアなど水深50m以浅をバーチカルメインで攻めるフィールドを想定しています。でも乗せが良いか、掛けが良いかは実際に釣りをしないとわかりませんよね。エサを積極的に捕食しているときはヘッドをガツッと噛んでそのまま乗ることもあるし、喰いが渋いときはハリが口の中に入りにくいから掛けにいったほうが早いとか。タイのバイトのしかたは千差万別なので、掛けモデルは感度が良く状況を掴みやすいため先に使用して、掛けが有効でなければ乗せに変える、というように、ターゲットの反応を見ながら戦略的に使い分けることで、タイラバゲームの深みが更に増すと思います」
これが乗せモデルと掛けモデルの使い分けの基本。深場用のRF642B-L/VDNとRF642B-M/VDKも考え方は一緒ですか?
松本「同じです。バーチカル・シャローもバーチカル・ディープも乗せ(N)はタイが喰って反転したときにティップの入り代がしっかりあるから、そこでフッキングして掛けていくのか、乗せて掛けていく。掛け(K)はより高感度。例えば巻きながら重い潮を抜けた瞬間アタリが出るかもしれないと予測が立てやすいです」
予測をもとにアタった瞬間、アワせて掛けるわけですね?
松本「そう。早掛けもできるし、例えばRF642B-M/VDKでディープを探るとタイが喰って反転する動作が手に取るようにわかる。そのタイミングで積極的にアワせる“送り掛け”ができます。そのためのフッキングパワーも備えていますからね」
DK(ドテラ・掛け)というタイラバロッドの新機軸。スピニングのCK(キャスト・掛け)でしか獲れないマダイもいる!
ドテラ流しモデルをラインナップするのも新レッドフリップの特徴です。
松本「バーチカルの4機種でもドテラはできます。とくにディープはバーチカルで釣ってもラインが斜めに入りやすい。日本海側などで盛んな水深100m超のディープドテラはRF642B-L/VDNやRF642B-M/VDKがマッチします」
ではRF6102B-MH/DKは深場向きではないんですか?
松本「どちらかというとシャロー向き。玄界灘や関東の常陸沖など水深50m以浅で150mくらいまでラインを出して探るドテラに向いています」
ディープドテラとの違いは?
松本「浅いところでドテラをすると向こうアワセではなく積極的に掛けにいけます。なのでフッキングレスポンスを上げるために張りを持たせ、なおかつラインを長めに出してもフッキングストロークがしっかり稼げるレングス設定にしました。掛けモデルのティップはすべて中弾性カーボンですが、ほかと比較するとかなり張りがあります」
浅いエリアのドテラ流しは掛けのほうがヒットパターンにハマりやすい。そのためのロッドということですか?
松本「そうですね。水深50mまでのシャローで、とくに60~120gのタイラバが扱いやすいです」
ベイト・スピニング、各モデルのベンドカーブイメージ
新レッドフリップ全6機種のロッドカーブはご覧のとおり。RF6102B-MH/DKの張りの強さは一目瞭然。ロッドの長さと相まってドテラ流しで出る遠くのバイトを掛けにいけます。
ベイトモデル
スピニングモデル
スピニングのCKも掛けなのでシャロー向きということですか?
松本「スピニングは潮止まりでマダイの活性が急に下がったときや、タイラバの斜め軌道の動きに反応が良いときに、投げて広範囲を探ります。キャストは45〜60gを多投します。アンダーハンドで投げます」
ということは、やはり浅場向きなんですね?
松本「一般的には水深50m以浅で使うロッドと言えますが、実情は違います。例えばタイラバの大会でスピニングを使い、水深100m超を繊細に探ってタイを拾わないと上位に食い込めない。そういった場合は、深場でキャストすることもあります。単に軟らかいスピニングロッドだと感度が悪いし掛けられない。ディープの釣りにも対応可能なキャストと掛けに特化したモデルです」
レッドフリップは巻きタイジギングでも活躍する!
テンリュウさんのホームページにあるレッドフリップの製品紹介に気になるワードを発見。『タイラバ・タイジギング特化型』とありますが、ジギングにも対応するんですか? ジギングでいうとスーパーライトやライトジギングの範疇になるかと思いますが。
松本「タイジギングのいわゆる巻きジグ。ただ巻きで反応が良いときにレッドフリップが活躍します。シャクリに反応が良いときは、シャクることを前提に作られたベリーに強さがあるライトジギングロッドが向きます。うちのロッドでいうとホライゾンLJやホライゾンプログレッシブですね」
なるほど、タイジギングは巻くか、シャクるかでレッドフリップとライトジギングロッドを使い分ける、と。
松本「巻きとシャクリを使い分ければヒットパターンをつかみやすいし、状況変化にも対応しやすいです。で、巻きに反応が良いときにレッドフリップを使えば、ライトジギングロッドより乗りやすい。タイラバと同じようにヒットパターンを構築して結果を出す釣りが楽しめます」
ということは、スーパーライトジギングやライトジギングでレッドフリップがあれば、巻きの展開で有利になるはず。マダイはもちろん、青物でもC・N・Tのバットを曲げてみたくなってきましたよー。
NEWレッドフリップの詳細をテンリュウWEBサイトでチェック!
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