誰でも3分で魚を美味しくできる! 家庭用魚仕立てノズルの使い方【津本式の簡単血抜き解説】



誰でも簡単に試せて、美味しい魚を仕立てられる『津本式・究極の血抜き』。今回は、現場、家庭でコンパクトに使用できる『家庭用魚仕立てノズル』の使い方を解説します。この器具があれば、話題の津本式の威力をより簡単に試すことができます。

全長70mm。ステンレス製。希望小売価格3278円。津本式.com、全国釣具店ほかで発売予定。小売店発売予定日は4月22日となっております。
分離可能。先のノズルは津本式のプロ用器具『ハイパー継手』と接続可能です。
尻尾からではなく、エラから水を送り込むノズル。これがキモです。

器具を使用する前に知っておく『津本式』

この技術は、あおりとして『魚が美味しくなる技術』と表現しておりますが、正確には魚の味に大きく影響する『血液』をなるべく高い精度で魚から排出することで、血由来の雑味や臭みをとりのぞくことができるものであり、また、血液によって魚の鮮度が加速度的に落ちていくことがわかっておりますので、その鮮度維持の妨げとなる血抜きを行うことで、魚の鮮度保存を格段に向上させることが可能した画期的手法だと言われています。

特に魚の鮮度保存を一般的な冷蔵設備があれば、格段に向上させることが可能。になったことで、魚が持っていた本来の旨味や香りを、熟成などの調理技術で引き立てることができるようになり、食材としての可能性が広がりました。

血抜きの技術は多々ありますが、水産現場や家庭レベルの設備で素早く、効率的に『血抜き』という処理ができるようになり、なおかつ、死んだ状態の魚でさえ効果があることが証明されたため、革命的な魚仕立て技術として取り上げられるようになったのが津本式です。

活魚状態でも、早い段階で津本式を行うことで、魚の持つおいしさがより高いレベルで保たれる鮮魚保持技術ですので、釣り人などにも広まり活用されています。

器具を使った、簡単な魚仕立ての手順

ペットボトルに装着して使用します。一部、規格が合わないペットボトルもありますので注意してください。女性は柔らかめのペットボトル。男性はウィルキンソンなどがおすすめ。

わかりやすい手順は動画で公開しておりますので、こちらも併せてご覧ください。家庭用のシンクであえて処理していただいております。コンパクトに扱えるのがウリです。

【1】まず、魚を用意します

今回はスーパーで購入してきた鮮魚(死んだ状態の魚)を利用します。このノズルの適合サイズは40cm以下サイズ。それ以上の魚を処理する場合は津本式の正しい知識を学ばれることを推奨します。今回は30cm程度のマダイを使用しますが、他の魚でも手順はほぼ同じです。アジなどはまさにジャストサイズ!

【2】お頭を右向きに配置

取り急ぎ、頭が右に向くように魚を配置します

これは料理店などで魚が左向きで提供されることが多いことから、この後の処理を鑑みて提供時の『見た目』をよくするための措置です。この向きが処理の基準だとお考えください。

【3】背側を手前にします

包丁を用意して、魚の向きもくるりと回し、頭が手前に向くようにします

【4】アゴの下を持ち、エラブタを開けます

しっかりとエラを露出してください。

【5】エラから背骨の下の血管を切ります

エラを1番外側まで開いて、エラの上側(魚にとって)付け根の部分に包丁の刃先を刺し込みます

狙っているのは魚の背骨の下側に通る腎臓と血管を切断するイメージです。なで切る程度で切断できます。刃先で触れる程度です。

重要なポイントですので、もう少し大きな魚で解説させていただきます。基本的にはどの魚も同じ構造ですので、サンプルとして参考にしてください。

参考写真。エラを一番外側まで露出し、付け根と思われる位置から背骨下に刃が当たるように穴を開けます。この穴が後ほど、ノズルを挿入する穴になります!


【6】魚の向きを戻し、尾を切断します

尾を切断することで、血抜きのための水抜き、血抜き路が確保されるため、精度の高い血抜きが可能になります。重要なのは、背骨の下に通っている血管を切断し、そのルートを確保することです。

【7】尾の切り方

尾の切断は1度、包丁で切れ目をいれておき、背骨の部分に包丁のかかとを当てて叩くことで切断できます

尾の切断を薄皮一枚とどめることで、後程の作業がしやすくなり、料理として提供する場合に美しくなります(頭が左に向いている状態で切れ目が見えにくい)。気にされない方は、ズバッと切断しても問題はありません。

写真のように、皮1枚残して処理できると、魚の中央、背骨の下を通る血管部が露出しますので、後ほどの仕立て処理の効果が上がります。

【8】血管の断面を露出させます

最初に包丁を入れたエラの部分を露出します。うまく処理できていれば背骨下の血合い、血管部分にむけて穴が開いているはずです。

【9】血管の断面にノズルを当てます

ペットボトルに水道水を入れてノズルを装着し、【8】で露出した穴にノズルの先を差し込みます。

【10】ノズルから水を流し込みます

ノズルを差し込みましたら、両手でペットボトルの水を流し込みます。慣れてきたら、背骨にノズルの先を押し当てるイメージで、水を押し込んでください。腎臓や血管以外に、背骨にも各部に血液が回る穴があいておりますので、そこにあたるとより精度の高い血抜きが可能です。

【11】背骨下の血合いを水道水で洗浄

鮮度が高かったり、血管や骨の穴にノズルの水圧がしっかりかかった場合は、尾から血や水が吹き出ますので処理時には注意してください。尾の部分から血や水が噴き出なくても失敗ではありません。しっかりとノズルで流し込んだ水は各所に回っています。この後は、エラや内蔵などを取り出し、特に背骨下の血合をしっかりと水道水で洗浄してください。

そして、魚の頭を下にして、カゴやケースなどに立てかけておくことで水圧で身に回った水や血が徐々に排出されます。この処理が大事です。時間は15分を目安に処理しましょう。

ステンレス製ですので、使用後にこのノズルと一緒に手を洗うと、触媒効果で魚の匂いが抑えられます。ぜひ試してください。

血抜きをした後に、津本式の方法で保存すると鮮度が格段に伸びます!

以上の処理を行なったあとに、とあることを意識すると鮮度保持力が伸びます。意識することとは、次の2点です。

  • 【1】1度から3度以下の冷温化で保存する。※一般的な冷蔵庫は5度以下ですが、低い温度のほうが保存力期間はあがります(魚種によります)。5度以下であれば、基本的には問題ありません。
  • 【2】なるべく魚が酸素に触れない状態で保存する(ビニールやサランラップなどにくるむ)。

津本式の正式な手順では、キッチンペーパーなどで魚をくるみ、保護のためのペーパーを巻き込んだ上で、厚手のポリ袋などで密封処理、そのあとに1~3度程度の冷水に浮かべて保存します。ですが、家庭ではなかなかこの方法で保存することが難しいので、下記の方法をご紹介します。

※わかりやすいように大きな魚で解説しております。家庭用

【1】給水力の高いペーパーなどを用意します

【2】ペーパーで魚を包みます

可能であれば1日に1度程度、ペーパーを交換できれば、雑菌などの繁殖を抑えて、鮮度をより長く保つことができます。

【3】完全に密封します

伸縮性の高いラップで空気が入らないようにしっかりと巻き込み密封します。この状態で、温度変化の少ない冷蔵庫で保存することで、魚の鮮度維持が可能になります。ここまでの処理をしっかりとできていた場合、3~5日は刺身で食べられる鮮度状態を保持できますが、魚の種類、大きさ、環境、最初の処理状態などで変化しますのでご注意ください。

※包丁で切断した部位は酸素などの影響を受けて傷みやすくなりますので、なるべく食べないようにしましょう(トリミング)。津本式でなるべく切断箇所を抑えた処理をするのはこのためです。

※保存時には鱗などは剥がさないようにしましょう。

※ペーパーは頻繁に変えれば変えるほど、魚の鮮度保持につながります。ペーパーから剥がした後は、真水で洗う、希釈した酢などで拭き取るなどを行なってください。

熟成には正しい知識が必要になります

家庭用魚仕立てノズルでも、適正なサイズの魚であれば熟成調理をすることも可能です。しかし、本来はホース、専用器具などを駆使することで処理精度を高めているのが津本式です。

スーパーで買ってきた魚でも、3~5日程度までの保存処理であれば、適切な血抜き処理を行えば簡単に行えますが、そこまでの保存に自信が持てない方は、処理後にすぐに魚をお召し上がりください。

血抜きが行われている。という1点のみで、魚の状態が大きく変わっておりますので、いままでとは違う、魚の魅力が感じられるはずです。処理に慣れてきて、正しい知識を学ぶことで魚の旨味をコントロールして楽しむ熟成の魚を家庭でも味わうことができますので、この『家庭用魚仕立てノズル』をきっかけに、魚の活用の幅が大きく広がる『津本式』の技法に興味を持っていただければと思います。