三原直之が求めた「フッキング不要」な巻きモノロッド!『ロデオライドリバイバーRRR-700MH-G テン・ファイブ(イマカツ)』



三原直之さんがプロデュースするエクストリーム系バスロッド『ロデオライドリバイバー』(イマカツ)から今年は3本(ベイト2+スピニング1)の新作が登場予定! まずはベイトの『Ten-Five』からご解説。そのサブネームは10と5を意味する英語だが…はたして!?

解説していただくのはバス釣り界の「傾奇者」にしてJBトップ50プロ&陸王強者・ミハラマン!!

【Profile】

三原直之(みはら・なおゆき)

2015JBスーパーバスクラシック池原ダム優勝、2019年トップ50七色ダム戦優勝、2019JBスーパーバスクラシックほか、トップカテゴリで表彰台多数、ローカル戦での優勝多数の若手プロ筆頭。バスの習性を熟知したフィーディングサイトを得意とし、リアクションに頼らない食わせの美学を追求している。鳥取県境港市出身、兵庫県三田市在住の伸び盛りな31歳。

捕らえたら逃すことがない“THE羽根モノロッド”

『Ten-Five』(読み:テン・ファイブ)。その名を目にした方は『10』と『5』を意味する英文字名から全長を想像するが、否、異なる。

三原直之さんが参戦するトーナメント団体・JBで使用できるロッドは8ftまでというレギュレーション。制限内で最大限の能力を発揮することこそが競技者という存在。過剰な長さはむしろ必要がない。

はたしてサブネームが意味するところとは何か。後に判明するが、まずは三原さんに、そのモデルの開発コンセプトを訊いてみたい。

三原「“THE羽根モノロッド”。その他、チャター系やスイムベイトなど『アングラー側から積極的にフッキングすることがない巻きモノ用』として開発したロッドです」

モデル番手は『RRR-700MH-G』。

レングスは『7ft』、パワーは『MH』。番手末尾には『G』の英文字。そう『グラスコンポジット』の略称だ。

柔軟な曲がり込みと粘り強さを持つグラス素材をコンポジットしながらも、パワーはMHという張りを持つNEWモデル。話を聴き込んでいくとその真骨頂が明らかになっていく。



能動的フッキング不要な「巻きモノ全般」に有効打!

『テン・ファイブ』の登場は、これまで三原さんの一挙一動に注目してきた方なら合点がいく。

そう、かねてより巻きの相棒として常に帯同してきた『自作グラスコンポジットロッド』のブラッシュアップ版だ。アベンタRSと共に、三原さんが幾多の見せ場を作ってきたことで知られる影の功労竿としても知られる。

三原「製品化に向けて開発を進めていくうちに、副産物としてどんどん許容範囲が広がっていった」

開発者としては嬉しい誤算。元々は羽根モノを主軸に開発を始めた1本が、先にも解説した通りチャター系(=ブレーデッドスイムジグ)やスイムベイトはもちろん、果てはフルサイズのシャロークランクやフラットサイドまでを網羅するまでに至ったのだという。

三原「あらゆるルアーに対応するにはある程度の硬さが求められる。その一方で、クッション性は欠かせない。カーボン素材のままMLクラスまでパワーを落としてしまうと、重量級ルアーで無理が生じてしまう」

すべてを網羅するため辿り着いたのは『硬いグラス』というコンストラクション。一見、張りを保ちながらも、荷重が掛かれば無理なくスムーズに追従するグラスマテリアルの特性を活用。単に粘りと柔軟性だけを求めたのではない。

グラスティップに、カーボンのベリー〜バットをコンポジット。食い込みの良いティップがバイトを弾かず食い込ませ、ひとたび乗せたら強靭なベリー〜バットが相手に主導権を与えることはない。三原さんの理想がそこに完成した。

今まで獲れなかった魚を「グラスコンポジット」で獲る!

三原「羽根モノって、食った瞬間にバレたり、すっぽ抜けたり、出たけど乗らないとか…そんなことも少なくない。そこはもう竿の性能に頼るしかない」

まさかのミス。その眼で相手の姿を確認してしまっただけに、悔しさは募っていく。反省点はどこにあったのか。自らに問う。根本的なタックルセッティングに盲点があったと考えていい。

三原「敢えて人間の感度を鈍らせ、バイトを瞬時に手に伝えず、フッキングをワンテンポ遅らせることが大切。ほんの微かな差で、今まで獲れなかった魚が獲れるようになる」

バーサタイルロッドだけがバスロッドではない。釣り込んでいくほどに、竿への欲求は高まっていく。いや、不意のミスを糧に、アングラーとは成長していくものだ。

『テン・ファイブ』は、能動的なフッキングを要さない巻きモノへの対応力を高めたモデルだが、対応ルアーの幅は思いの外広い。ルアーカテゴリーを狭めた中でのバーサタイルとも言える。

注目しておきたいのは、チャター系への対応力。トリプルフックを備えるプラグとは異なり、シングルフックのワイヤーベイトというカテゴリーに属するルアーは、フッキングパワーを要するためカーボンが有利とする向きもある。しかし、三原さんは断じて、グラスコンポジット派だ。

三原「僕はチャター系でバイトがあってアワせることはない。乗せ重視。僕の行動範囲にグラスレイクもなく、ウィードを切りながら使うこともない。だから、敢えてカーボンである必要はない」

だとすれば、チャター系と同じくシングルフックを備えるスピナーベイトやワイヤーベイトへの対応力も高いのではないか。そう推測できる。

ワイヤーベイト=カーボンロッドの方程式は必ずしも正解ではない。自身が通い詰めるフィールドの特性次第、自身のゲームスタイル次第でロッドに求められる性能は異なるものなのだ。

“柔”よく“剛”を制す三原流設計思想の集大成

三原「グラスの良さって、バレないこと。乗せる時はもちろん、乗せたらどこまでも魚の動きに追従して獲れる。何よりもそこが大切」

1尾の価値を知るトップトーナメントプロだからこその説得力がそこにある。今までカーボンロッドで使ってきたルアーをこの『テン・ファイブ』へと乗り換えた時、貴兄はきっとその差に気付けるはずだ。

最後になったが、三原さんにサブネーム命名の由来を改めて訊いてみた。

三原「『柔(じゅう=10)よく剛(ごう=5)を制す』…というところからです」

柔軟性のある者がそのしなやかさによって、剛の者を制する。日本発祥の武道のひとつ、柔道において古くから尊ばれる一節として知られる。

この設計思想は『テン・ファイブ』に留まらず、すべてのロデオライドリバイバー、即ち開発者である三原さんのロッド開発コンセプト。その中でも最も端的に表現されているモデルにその名が冠された。

まさかの言葉遊びではあったが、ロデオライドリバイバー『テン・ファイブ』の真意はそこに凝縮されている。