難しくない! 『バチ(イワイソメ)とマイクロベイト』がキーワード【初夏の越前海岸(福井県)ライト磯マルスズキゲーム】



シーバスをはじめ、ヒラマサやマダイ、アオリイカ、メバルなど、四季を通して多種多様なターゲットが狙える北陸地方。ことシーバスで言えば、地域特有の「ホタルイカパターン」でも有名ですが、他にも四季折々の多様な「マッチ・ザ・ベイト」の釣りが楽しめるようです。そこで、今回は地元エキスパートの橋本隆志さんに、越前海岸の磯マルスズキゲームについて解説してもらいました。攻略のカギを握るという「バチとマイクロベイト」、そして「ホンダワラ」の関係性とは!?

九頭竜川や越前海岸をホームとする福井県在住のシーバスハンター!

【Profile】

橋本隆志(はしもと・たかし)

全国から釣り人が集まるシーバスの激戦区、九頭竜川をホームグラウンドとする頭脳派アングラー。土地柄、本流のサクラマス釣りも得意とし、シーズンを通して九頭竜川と向き合う中で、魚の付く流れや地形、季節やタイミングを熟知。経験則と釣り勘を活かし、シーズンを通してコンスタントに釣果を叩き出している。

橋本「初めまして! 福井県在住ダイワフィールドテスターの橋本隆志と申します。今回は私の地元福井越前海岸の初夏のマイクロベイトパターンで数釣りが楽しめる、お手軽でライトな磯マルスズキゲームを紹介したいと思います」

「バチとベイトフィッシュ」がカギを握る橋本さんの磯マルスズキ攻略

攻略項目攻略情報
季節5月~6月
水温海水温が15℃を上回ったタイミングから(ホンダワラが繁茂する時期)
ベイトバチ(イワイソメ)とバチを捕食する小魚(コウナゴなど)
パターン状況に合わせてシーバスがバチを意識しているのか小魚を意識しているのか考えながらルアーをローテーションさせる
狙い目潮回り水深2mまでのホンダワラが生えているエリア
ルアー選択バチや小魚のサイズに合わせた10cm前後のミノー。水深2mまでの浅場を狙うので、シャロー向けのルアーが中心。たとえばシャローをゆっくり引くことができる10cm程度のシンキングペンシル等
ルアー例「モアザン シャロールスリム98F-SSR」
「モアザン シャロール75F-SSR」
「モアザン バレンテ90S」
「モアザン キャロット72S」
「モアザン ガルバスリム80S」
「モアザン スライ95F」
「モアザン クロスウェイク75F-SSR」
ロッド例パワーと感度を兼ね備えた飛距離も稼げる9ftクラスのロッド
「ラブラックスAGS93ML」

橋本さんのホームグラウンド越前海岸の釣りをご紹介

――橋本さんのホームグラウンドでもある福井県周辺のエリアは、シーバスをはじめ、ヒラマサやマダイ、アオリイカ、メバルなど、四季を通して多種多様の魚を狙うことができる魅力的なフィールドです。

橋本「越前海岸とは福井県の北側である嶺北地区の日本海に面した約50kmの海岸線の事で、岩礁帯が多く、遠浅なエリアから急にドンと深くなるような複雑な地形が続いています。『磯』というと難しいイメージを抱きがちですが、実は越前海岸の岩礁隊周辺は、海岸線沿いに道路が走っていて比較的アクセスしやすい釣り場でもあります」

――車から降りて、すぐに竿が振れるような釣り場が多いと?

橋本「そうですね。岩礁帯なので磯シューズ等の装備をしっかり整えることが大前提にはなりますが、ストレスの少ない釣りが展開できるかと思います。また、冬は荒々しい時化が続く反面、春から夏は穏やかな凪の日が多いのが日本海の特徴。ルアーフィッシングにおいてもこれからベストシーズンを迎え、様々なパターンの釣りが楽しめます」

――また、日本海側は潮位の干満差が少ないという特徴があります。

橋本「干満差は多い時で50cm程度。よく言えばいつでもシーバスが狙えるし、悪く言えば時合いが掴みづらいという部分もあります」

シャローのホンダワラ周辺で狙う磯マルスズキ

――シーバスゲームはベイトに大きく左右されます。越前海岸界隈ではどのように推移していくのでしょうか?

橋本「地元の九頭竜川の場合は、例年3月に入ると稚アユの遡上が始まります。その頃から、稚アユを狙って川を遡上してくるシーバスが狙えますが、2022年は例年に比べて水温が低く推移したせいか、稚アユの遡上量もシーバスの魚影も薄く、なかなか厳しい状況でした」

――稚アユの遡上は5月に入っても変わらない状況だったそうで、視点を『川から海』に切り替えてみることにしたそうです。

橋本「毎年5月から6月にかけて、海水温が15℃を上回った辺りから越前海岸の浅瀬の岩礁帯に生えるホンダワラという海藻の発育が急成長を迎え、海水面から飛び出る程成長が活発になります。

そのホンダワラの成長期に伴って、夜になるとバチ(イワイソメ)がホンダワラの周りで活発に湧き始めます。すると、それを捕食するためにコウナゴを始めとした小魚等も浅瀬に集まる。さらに、それらを捕食する為にシーバスをはじめとしたあらゆるフィッシュイーターたちもシャローに接岸するようになります」

――「磯マルスズキゲーム」というと荒々しい磯場でサラシを狙ったり深場を攻めたりするイメージがあるかと思いますが、車から降りてすぐ竿が振れる点や、明確にベイトが狙える点など、比較的釣りやすいイメージですね。

橋本「さらに! 狙うポイントとなるのは水深2mまでの遠浅な岩礁帯になります。ホンダワラが生えていれば何処でもチャンスがありますし、同じ条件で近くに常夜灯があれば水中に岩や海藻の明暗が出来るので活性の高い魚が潜んでいる可能性も非常に高いんです」

こちらがホンダワラ。この周辺でイワイソメが活発に動くようになり、そのイワイソメを求めてコウナゴなどの小魚も集まってくる。イワイソメも小魚たちもシーバスの恰好の捕食対象となる。

シーバス(磯マルスズキ)のスイッチが入るタイミングとは?

橋本「バチは日中岩の隙間や海藻に張り付いて身を寄せていて、日が完全に落ちてから活発に浮遊し始める傾向があるため、ナイトゲームが基本になります。また、ポイントが浅場なので波気があると底荒れの影響を受けやすく、安全面でも釣りやすさという面でもベタ凪のタイミングがベストですね

釣行時、足元をライトで照らしてバチが泳いでいないか確認。バチや小魚がいれば、それらを捕食するフィッシュイーターが捕食しやすいタイミング、すなわちベイトを追い込みやすいタイミングが狙い目となります」

――それは具体的にどのようなタイミングになりますか?

橋本「潮位が大きなファクターになってきます。前述した通りポイントはシャロー、それゆえに、潮位が低ければ低いほど、浅場にベイトを追い込みやすくなるため、シーバスの捕食スイッチが入りやすくなります。

また、潮位が低くなることによって、それまで水中に繁茂していたホンダワラが水面に顔を出していることもあります。ホンダワラの際など、目視で狙い目が分かりやすくなりますね」

――ベイトの有無はもちろんのこと、『凪いだ海』と『潮位』も釣果をあげるためのキーワードになりそうです。



バチとマイクロベイト(小魚)を意識したルアー選択

写真上から「モアザン シャロール スリム 98F-SSR」「モアザン シャロール75F-SSR」「モアザン バレンテ90S」「モアザン キャロット72S」「モアザン ガルバスリム80S」「モアザン スライ95F」「モアザン クロウェイク75F-SSR

橋本「ベイトとなるのは10cmまでのバチ、それと小魚です。小魚はいわゆる『マイクロベイト』になるのでベイトにマッチしたサイズとシルエットのルアーを使用しています。

またポイントが2mまでの浅場なので、シャローをゆっくりと引くことができるシンキングペンシルや10cm前後のミノーがメインになってきます。

状況に合わせてシーバスがバチを意識しているのか小魚を意識しているのか考えながらローテーションするようにしていますね」

モアザンシャロールスリム98F-SSR

細身のシルエットと動きを抑えたロールアクションによって、バチ、アミ、小さいエビ、小型の虫等のベイトパターン攻略に対応しています。マイクロベイト攻略においてはルアーのシルエットと波動によって魚の反応が大きく変わるので、ハクや稚アユなどのベイトフィッシュを意識した『シャロール75F-SSR』と使い分けることで、より細分化した攻略が可能となっています。

モアザンシャロール75F-SSR

ハク・アミ・バチ等遊泳力の弱いマイクロベイトパターンに対応したモデルです。テールの振りを抑えたロールアクションが特徴で、潜行レンジは水面直下~約20cm。干潟やシャロー攻略に最適なハイレスポンスのスーパーシャローランナーです。

モアザンバレンテ90S

上のアイにラインを結べば「スローピッチのワイドなスイング(デッドスロー~スローリトリーブ)」を演出し、トゥイッチなどにも対応。下のアイにラインを結べば「タイトなバイブレーション」でスローに震えながらターゲットを魅了します。2つの使い方が楽しめる2WAYシーバスミノー。

モアザンキャロット72S

流れをつかみ過度なアクションを抑える役割を担う0.8mmのメタルプレートを採用。上部の突起は水面に絶妙な引き波をたてながらバチのスイミングアクションを演出してくれます。リトリーブ開始直後に浮上し、簡単にレンジをキープできるのも特徴のひとつとなっています。

モアザンガルバスリム80S

重心移動システムと水面直下というレンジを武器に、小型ながら広範囲の魚を狙えるプラグです。細身で小柄なシルエットで軽い引き心地に設定し、ピッチ速度の違いや水押しの違いでより緻密な攻め方がを可能にしました。トップレンジでアクションさせる使い方も効果的で、ただ巻きでは幅広いスピードに対応。

モアザンスライ95F

立ち上がりの早い細身で小柄なフローティングミノーです。波間に揺れる絶妙なアクションと喫水・水平姿勢のバランスを追求し、水面付近に浮くバチやハク、また他の小魚を模した動きで深いバイトを誘発。重心移動ウエイトを採用することにより遠投性能も抜群!

モアザンクロウェイク75F-SSR

表層をフラフラ泳ぐベイトフィッシュの中でもより大きなサイズを好んで捕食するランカーシーバスをターゲットとしたウェイクベイト(表層引き波系ルアー)の進化形。ラトルサウンドに加え、ボラの稚魚が水面直下で発生させる蛇のような引き波を再現しています。

橋本さんの使用タックル

  • ロッド:ラブラックス AGS 93ML
  • リール:ルビアスエアリティ LT3000S-CXH
  • ライン:UVF モアザンセンサー 12ブレイドEX+Si 0.8号
  • リーダー:モアザンリーダーEX II TYPE-F(フロロ) 16Lb(※タックルはすべてDAIWA)

橋本「ロッドに関しては使うルアーが比較的ライトな物なので操作性の面で繊細さが必要である反面、魚を掛けてからホンダワラなどの海藻に巻かれてしまうことが多く、時に海藻ごと引き抜くバットパワーの強いものが好ましいですね。

また広範囲を探るため、飛距離を稼ぐ必要があるので私は9ftクラスの『ラブラックス AGS 93ML』を使用しています。ロッド自体が非常に軽量で、長時間釣りをしても疲労感を感じさせないところと、超高感度という特徴を持つロッドです。小型シンキングペンシルをフルキャストした際、その微波動をも明確に手元に伝えてくれます」

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橋本「わずかな潮流の変化を感じとることが出来るのはもちろんですが、この釣りをしているとよく針先に海藻の切れ端が引っかかることが多々あり、ロッドがすぐに『針先にゴミが引っかかってますよ!』と教えてくれるので、手返しもよくなるんです」

――橋本さんによれば、針先に少しでも異物が引っかかっていると、シーバスは口を使ってくれないと言います。

橋本「リールは『ルビアスエアリティ LT3000S-CXH』。それにPE0.8号&16Lbのリーダーでシステムを組んでいます。リールも非常に軽く、繊細な釣りマッチするのでロッドとの相性も抜群。ハイギアを使用する事によって着水時の糸フケを素早く回収することもできます。

ポイントは基本的に遠浅なので場所によってはフルキャストしたところが水深50cmなんてところもあります。シンキングペンシルを使用している時など早く糸フケを回収しないとすぐに根がかりしてしまうのでリールはハイギアを使用します」

「磯マルスズキ」狙いの釣り場でキャッチした良型メバル

――例年5月の初旬頃になると九頭龍川のリバーシーバスを狙い、通い続けるという橋本さんですが、2022年は、釣れても「セイゴサイズ」という厳しい状況が続いていたと言います。そこで、川ではなく、海のシーバス狙いにシフトチェンジすることに。

橋本「普段生活していて、日中ちょっと暑くなってきたかな? と感じるようになってきた時が越前海岸の『バチ&マイクロベイト』パターンの始まりの合図です。仕事を済ませ、完全に日が落ちた20時過ぎ。越前海岸の漁港に隣接する平磯に乗ってみました」

――そこは、岩礁帯が広がる遠浅なポイント。足元から沖に向かって約5mの間隔で岸際一面にホンダワラが生い茂っている、まさに『バチ&マイクロベイト』パターンにマッチしたエリア。

橋本「水深は、フルキャストした先で約2mほど。所々に起伏があり、沖にも転々とホンダワラが水面から顔を出しています。一見すると釣りづらい状況かと思われがちですが、シーバスはそのホンダワラの根本の隙間に隠れていて、エサが通るのを待ち構えています。

潮位は干潮からの上げ始め。まずは表層から『モアザン キャロット72S』で水面から水面直下までのレンジを漂わせてみると、すぐに『ツン!』と気持ちの良いバイトが出ました。掛かったのは良型のクロメバル。

この時期は、メバルもシーバスと同じエリアで共存する事が多く、明らかにベイトを意識していると感じ取ることができました」

メバルをキャッチしたルアーは『モアザン キャロット72S』

巧みな戦略が奏功した70cmの本命「磯マルスズキ」

『モアザン シャロールスリム98-SSR』でキャッチした70cmの磯マルスズキ。

――もちろんメバルの釣果もうれしいものですが、やはり本命の「磯マルスズキ」をキャッチしたいと考えた橋本さんは、『モアザン シャロールスリム98-SSR』にルアーをチェンジ。

橋本「泳ぎの質とシルエットを変えるためのルアーチェンジでした。このルアーはマイクロベイトパターンとバチパターンの両方に対応した超表層系のミノーです」

――ルアーをチェンジしただけでなく、メバルが釣れた際とは別のコースをトレースしたそうです。

橋本「漂うバチをイメージして、水面直下をゆっくりとルアー漂わせていると、ルアーが海面のホンダワラ際に差し掛かった辺りで明確なバイトがありました。フッキングと同時に派手なエラ洗いをしたので、そこで掛かった魚がシーバスだと確信。

寄せてくる途中で藻に巻かれたりしましたが、なんとかキャッチすることができました。サイズは70cm前後でしたが、藻と岩が乱立する浅場ゆえにスリリングなやり取りが楽しめましたし、そして何より、自分が思ったようなタイミングでイメージ通りの釣りを展開できたことが、凄く嬉しかったです!」

常にビッグワンを求める橋本さん。目標のサイズには届かなかったようですが、見事パターンにマッチさせてキャッチしてしまう技術はさすがの一言。この70cmのシーバスを皮切りに、手持ちルアーをローテーションして、数尾の釣果を得たとのことでした!

70cmシーバスをキャッチした『モアザン シャロールスリム98-SSR』

70cmを筆頭に良型を数尾キャッチ!

キャッチしたシーバスを回復させる橋本さん。
『モアザンガルバスリム80S』でもキャッチ!
こちらは『モアザンクロウェイク75F-SSR』での釣果。

橋本さんの実釣動画も要チェックです!こちらは富山のホタルイカパターン