
穴の開いたウエーダーや、ソールの減ったウエーディングシューズ。使用頻度にもよるが、いつの日にか「買い替え時」が訪れるだろう。でも、ヘビーに使うからこそ、消耗品だからこそできるだけ長持ちさせたいもの。ウエーダー関連アイテムを扱うメーカー「リトルプレゼンツ」に、保管や補修のコツを聞いた。
●文:ルアーマガジンリバー編集部
左/古賀陽一(こが・よういち) 右/浅野眞一郎(あさの・しんいちろう)
共にリトルプレゼンツのスタッフ。ウエーダーやウエーダー関連アイテムの開発のために、日々研究を重ねている。今回はウエーダーを長く使うコツについて話を聞くことに。
劣化のスピードを落とすための保管方法とは?
夏場のトラウトフィッシングに欠かせないのが、透湿防水素材を採用したウエーダーだ。素材自体に持たせた防水性・通気性という相反する性能が釣り人の遡行を力強くサポートしてくれる。しかしながら、透湿防水素材は、“防水性”を持ってはいるものの、水分や紫外線により劣化のスピードが早まってしまうというのだ。
浅野「釣りを終え自宅に到着すれば、当然ながら疲労はマックス状態。“疲れたからウエーダーは明日干そう〜”となってしまいがちですが、NGです。中でも、車に放置するなんてもってのほか。ウエーダーの素材の表記にレイヤーと書かれているのを見たことがあると思います。これは生地の層のことを指し、たとえば3レイヤーだった3層構造になります。保管方法を間違えると、この層が剥離しやすくなってしまいます」。
こちらはリトルプレゼンツの「リップテックス」という3層構造の透湿防水素材のイメージ。一番上の層(外側)は耐久性と通気性、真ん中は防水性と通気性、一番下は通気性というように、層ごとに役割を持たせている。車に放置するなど、釣り後の保管方法を間違えば、水分や紫外線によってこれらの層が剥離しやすくなってしまうのだという。
ウエーダーの保管方法を学ぶ
紫外線を遮断するという意味では、直射日光の当たらない場所で陰干しするのが一番。汚れが酷ければ水で洗ってから干すとよいそうだ。
浅野「トラウトアングラーの方はあまり行かないと思いますが、“海”で釣りをした後は、ウエーダーをよく洗ってください。“潮”も劣化の原因になるんです」。
車の中に放置するのはNG!
車の中に放置するのは御法度。たとえ疲れていても、釣りから帰ったらすぐに干す習慣をつけよう。また、ウエーダーに折れ目がつくのも劣化の原因になるので、あまりコンパクトにまとめないように。
車内放置は劣化の原因! 絶対NGです。
ふとん乾燥機を使った裏技も!
ウエーダーの中でもクロロプレン素材を採用したものや、ウエーディングシューズなどは乾きにくい。そのための裏技として疲労してくれたのが、ふとん乾燥機を使った乾燥方法である。およそ30分ほどで乾いてしまうそうだ。梅雨時など湿気の多い時期には透湿素材の乾燥にも使えるとのこと。
ふとん乾燥機で乾かす裏技!
「ピンホール」のチェックと補修
最近は耐久性の高い素材を使ったウエーダーが多いものの、薮漕ぎをすれば写真のノイバラのようなトゲのある植物等、破損の危険性が高まる。気付いたら穴が空いて水が侵入していた……そんな経験をお持ちのアングラーも少なくないはずだ。
ウエーダーに空いた小さな穴から水が侵入すれば、ウエーダーの内部は蒸れ蒸れ状態。そんな時は、まず“どの部分に穴が空いているか”をチェックしてみよう。この場所が分かれば、意外と簡単に修理を行うことができるのだ。
こちらは野薔薇。藪漕ぎの最中によく見られる植物だが、この植物の「棘」により、ウエーダーに穴(ピンホール)が開いてしまうことも。
穴が開いてしまった場合は?「裏返しにして水を注入し、ピンホールの場所をチェック」
ピンホールの探し方のコツをご紹介。まずはお風呂場へGO!
ウエーダーを裏返しにして水をいれていく。この段階で水がどこから出て来るか(ピンホールの場所)をチェックする。
ウエーダーを裏返しにして、どこから水が漏れているのかを確かめる。
腰の部分にも水が入るようにして、ピンホールがないか、全体を隈なくチェックする。
こちらは取材のためにわざと空けてもらったピンホール。水がタラタラと滴り落ちているのがわかるだろうか? ピンホールがあればこのように水が染みでてくる。穴の部分には「マーカーで印」をつけておこう。
ピンホールを見つけたら『ウェーダーリペアキット』でピンホールを補修する!
リトルプレゼンツからリリースされているロングセラーアイテム。シームテープ&クロロプレンの補修用の生地と接着剤がセットになった『ウェーダーリペアキット』。
「LPフェルトグルー」「 シーリングテープ50cm」「CRリペアパッチセット」すべてをパックしたリペアコンプリートセット。透湿ウエーダー、クロロプレンウエーダー、両方の修理に対応できる。
透湿防水素材用のシームテープを接着剤とアイロンを使用して貼り付ける
接着剤の流れ止めとしてガムテープを外側に貼り、接着剤でシーリングテープを内側に貼り付けていく。
ピンホールの穴にウエーダーグルーを塗布。千枚通しや楊枝を使用するのがおすすめ。
ピンホールのサイズより大きめにシームテープを切り取り、接着剤で貼り付ける。
アイロンを当てて熱を加える。
最後にタオルで押さえつけて指の力で圧着。
これにて完了!
小さなピンホールであれば、上記の簡単な補修方法で対応可能。釣行回数にもよるが、アングラーにとってウェーダーは言わば消耗品。長く付き合えるよう、保管方法や簡単な補修方法はぜひ覚えておこう!
※この記事は『ルアーマガジン・リバー2017年8月号』の内容を再編集したものです。
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