
そのコスパと汎用性の高い性能が売りの「トラパラシリーズ」。2020年には装い新たにフルリニューアルを遂げ、入門機種として多くのトラウトファンに愛され続けてきた。今回注目したのは2機種のテレスコピックモデル。いわゆる振り出し竿である。シリーズの特徴や性能について、スタッフの石塚恒さんに解説してもらった!
●文:ルアーマガジンリバー編集部
美しい鱒のヒレを求めて日本全国を旅する“ヒレマニア”
【石塚 恒(いしづか・こう)】
メジャークラフトのスタッフ。トラウトロッドの開発にも深く携わる。ルアーマガジンリバーで連載中の「諸国釣遊鱒追旅」でもおなじみ、大の鱒好きであり“ヒレマニア”で、特定のホームグラウンドを持たず全国各地のフィールドを飛び回るスタイルで釣りを楽しむ。渓流から本流まで幅広いジャンルに果敢にチャレンジする傍ら、ここ数年は北海道のフィールド開拓にも力を入れている。
北海道は道東の小河川でテレスコの性能はマッチする!?
メジャークラフトのスタッフであり、主にネイティブトラウト関連アイテムの開発を担当している石塚恒さんと北海道の渓流を歩いた。持ち込んだのは、自信作でもあるというトラウト入門ロッド「トラパラ」シリーズだ。
石塚「トラパラはトラウトロッドシリーズの中でも最もお求め易い価格帯のシリーズです。2020年にリニューアルしたタイミングでは、大規模にブラッシュアップを行い、廉価版としては最高の仕上がりになっていると自負しています」
トラパラシリーズには小規模渓流に最適な4ft6inモデルから、サクラマスに挑める8ft2inモデルまで様々なモデルが存在する。このバリエーションの豊富さも魅力なのだが、今回メインに紹介していただいたのは“テレスコピックモデル”についてである。
石塚「旅先に持ち込んだり、フィールドでの機動力を考えたときに、もちろんパックロッドもいいのですが、『テレスコピックも欲しい!』という意見も多かったんですよね。設計担当者を口説き落としてなんとかラインナップに入れ込んだ経緯もあります(笑)」
テレスコの設計は1ピースや2ピースロッドとは勝手が違うため、調子を出すのが非常に難しいと聞く。
石塚「個人的な感覚ですが、『テレスコ=ダルい』というイメージがあったので、とにかく2ピースと遜色ないアクションにしたかったんです。さっそく、設計担当にプロトモデルを作ってもらったんですが、プロトの段階ですでに完成版に近いものが出来上がってしまったんですよ(笑)。アクションも悪くなかったし、魚を掛けた際の曲がりもスムーズでした。結果的にテレスコでもいいロッドの曲がりが出せることが衝撃でした!」
リニューアルしたのは2020年。ロッドのテストを兼ねた実釣が行われたのは10月後半のことだった。すでに本州の多くのフィールドは禁漁となっているところが多かったため、北海道をテストフィールドにピックアップ。道東地方の小規模河川に入渓し、形状や流速の異なるいくつかの川を巡っていった。
アメマスの数釣りでロッドの調子を最終調整
石塚さんが竿を出した川は、北海道らしくもあり本州の渓流に似たイメージも感じさせてくれる細流だった。ロッドケースからロッドを取り出し、リールを取り付けラインを通す。そのままブランクスを引き出し、各セクションやガイドの方向を入念にチェックしながら、タックルを組んでいった。
石塚「今回はあくまでもテストですから、サイズにかかわらず、数多くの魚を掛けてブランクスの調子を確認するのが目的です。あとはケースを現場まで持ち込んだり、テレスコピックを使うことでどれくらい機動力がアップするか、色々な部分をチェックできたらいいですね」
というわけで、今回石塚さんはザックを背負って入渓することに。源流釣行では宿泊の有無に関わらずザックを持って林道や山道を歩くことが多いが、ハードケースがあれば安全に現場まで運べる。
ケースを活用して両手を自由に!※ケースはテスト時のプロトモデルです
そして何より、このケースがついて価格が9,000円以下というところも大きな魅力。
ハードケースは仕舞寸法に合わせて、ラインナップされる2機種ともに専用設計がなされている。機内持ち込みサイズで、ザックに取り付けて源流に持ち込める。
石塚「軽量装備でランガンしたいなら、テレスコの先端に保護カバーだけで、ベストの胸ポケット等に仕舞い遡行するのもありですね。リールを取り付けたまま、ラインを通したままで動けるので、移動先でも素早く釣りが出来ます」
また、今回は小口径のガイドを採用しているため、先端の収まりもよくコンパクトさに拍車がかかる。
石塚「ただ、テレスコピックならではの注意もあります。特殊な作りをしているために、中に砂などの小さいゴミが入ってきてしまうことがあるんです。釣行時に気になったら、グリップエンドの溝にコインを当て、ドライバーの要領で回してみて下さい。ここにホールがあり、そこからホースなどで水を入れることで、中に入った砂などが抜けるようになっています。破損した際の修理等にも便利な機構になっています」
入渓してからすぐはあまり反応が得られなかったが、流域を変更したりするうちに、アメマスがヒットするようになった。時折40cmクラスも顔を出したりと、テスト釣行としては十分な釣果があった。
コンパクトでかさばらない振り出し竿、上流域の釣りや旅先の荷物に忍ばせたい
今回フルモデルチェンジとなる「NEWトラパラ」では2種のテレスコモデルをラインナップ!
465ULは小渓流や藪沢、源流域の釣りに最適なコンパクトロッド。レングスを生かしたコンパクトなキャストでバックがとれないような狭い空間でもストレスなく釣りができる。
505ULは昨今の渓流シーンでは基本となるレングス。小渓流の釣りはもちろん、やや幅の広い中流域まで対応できる汎用性の高さが売り。尺クラスのヤマメとのファイトも余裕でやりとりできる。
コンパクトさと機動力がウリのテレスコピック。サブでなく、メインとしても十分使える性能に注目したい!
TXST-465UL(テレスコ)●全長:4ft6in●ルアー:1-8g●ライン:ナイロン2-6lb、PE0.3-0.8号●アクション:ファスト●価格:9,240円(税込)
TXST-505UL(テレスコ)●全長:5ft●ルアー:1-8g●ライン:ナイロン2-6lb、PE0.3-0.8号●アクション:ファスト●価格:9,460円(税込)
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