
渓流釣り師なら、いつかはチャレンジしてみたいのが「源流釣り」だろう。ただ、ひと口に源流と言っても、入退渓の簡単なものからたどり着くことすら困難なものまで難易度はさまざま。さらに、釣り以前に事前準備が極めて重要なジャンルの釣りでもある。「ああ、本格源流で綺麗なイワナと絶景を楽しみたい!」というアングラーのために、準備や遡行技術などの基礎知識を、源流の達人に解説してもらった。
●文:ルアーマガジンリバー編集部
源流をよく知るエキスパート! 大のイワナ好きである朝賀のアニキが解説!
【朝賀敬一(あさか・けいいち)】
山岳会(名古屋ACC)に入会し、沢登りや登攀の技術を身に付け、源流釣りを楽しむ本格派。愛知県春日井市の「ザ・ナチュラリスト・リバーサイド」フィールドスタッフを務める。
備えあれば憂なし! 源流釣りの持ち物はたーくさんあります
今回は、源流釣行の前の練習を兼ね た釣行を大前提として、日帰り用のアイテムを紹介していく。これが1泊、 2泊の釣行になればテントやシュラフ、コッヘル、火機類などが加わり、さらにザックは重たくなる。
朝賀「日帰りであれば、それほどしっかしとした準備は必要ないのですが、必ず持っていきたいのが地図とコンパスです。ただし、読み方が分からないと何の意味もありません。読み方を知るためには、熟練の達人に現地で教えてもらうのが一番だと思いますよ。達人クラスになると、地図を見ただけでその沢の周辺の地形がイメージできるといいますから。僕はこの地図で常に自分がどこにいるかを確認します」
さらに、地図・コンパスと同様に必要なのがホイッスルだ。熊などの動物に自分の存在を知らせることはもちろん、遭難や滑落時に助けを求めたり、仲間同士の合図にも使える。
朝賀「普段ベストで釣りをしている人はザックでの釣行はわずらわしく歩きにくいと思います。アップダウンの激しい源流遡行が、それをさらに助長します。ただ、傾斜があり水流の速い川ほど足元の石はしっかりしているもの。 逆に傾斜が緩く水流の弱い川は浮き石が多い傾向にあります。こういったところに注目するのも、遡行する際のコツになるのではないでしょうか」
慣れない源流遡行で怪我をしないためにも、より軽量でコンパクトな装備にすることが重要だ。何が必要で、何が不要かを常に考えるようにしよう。
事前にリストを作っておくと便利!
こちらの画像は朝賀さんが所属する山岳会のテンプレート。複数人で行く場合は、食料や荷物を分担して持ち込む場合も多い。自分なりの持ち物リストを作成しておくといいだろう。
源流釣りにしても沢登りにしても、とくに宿泊を伴う場合や、難所を越える場合、現場までの時間等で荷物の量は大きく変化してくる。
ザック
流域では、岩などにザックのベルトが引っかかるなど、それだけで滑落の危険が高まるので、外回りに付属品がなるべく付いていないものを選択するとよい。1泊の釣行であれば容量は30ℓ程度で十分。
行動食
日程分の食料以外にも、非常食は必ず持ち込みたい。チョコレートやナッツなど、栄養価の高い物がおすすめだ。余分すぎるくらい持ち込んでもいいくらいである。
ソフトボトル(給水用)
水分は常に補給しながら遡行したいものだが、容器も様々なものがある。柔軟性の高い素材のものな ら、ザックの中でもかさばらず軽量なので、より多くの飲み物を持ち込むことができる。

浄水器もあるとなおよし!
水分が川の水しかない場合は、浄水器を持ち込むことで、現地調達が可能。持っておくととても安心なアイテム。
コンパス(マップ)やホイッスル
自分がどの場所にいるのか を把握するためのコンパスと地図は必ず用意する。さらに自分の位置を知らせる ためのホイッスルも遭難など、緊急時のことを考慮して必ず準備したい。
テーピング&救急グッズ
絆創膏やガーゼなどがひとまとめになった「エマージェンシーキット」も必携。このキットに加えて、 普段の常備薬なども一緒に入れておくと重宝する。よりコンパクトなものがおすすめだ。
エマージェンシーシート
により帰りのルートを見失うこともある。保温性の高いシートが一枚あれば、最悪ビバークすることになっても心強い。軽量でコンパクトなのも◎。
※本記事は”ルアーマガジンリバー”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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