シーバス竿はもうコレでいいのでは? 上位モデルに迫る性能の新Foojin’RS(APIA)は、新時代の幕開けを伝える過去最高水準ミドルクラスロッド!

アピアのミドルクラスシーバスロッド、フージンRSが満を持して登場した。ブランクスを最高峰フージンZと同じ第3世代カーボンを使いつつ、価格も抑えるというハイレベルな難題を実現。現時点でのミドルクラスの最高到達点とも言えるべきロッドが出来上がった。

●文:ルアーマガジンソルト編集部

2024 新製品情報

宇津木善生(うつき・よしお)

株式会社アピア代表取締役。アングラーの提示した意見を適切に釣り竿として形にしていくロッド開発のスペシャリスト。カーボンマテリアルの特徴を熟知し、それを適した配合でブランクスを組み上げていくロッドビルダーの匠だ。

目指したのは守備範囲の広い次世代スタンダード

ミドルクラスのロッドは、技術とコストパフォーマンスが交錯する、ビルダーの腕の出しどころとも言えるシリーズ。ついにベールを脱いだフージンRSのコンセプトからはビルダー魂がひしひしと伝わってくる。

宇津木「フージンZは、特定のシチュエーションで最大級のポテンシャルを発揮するように、テスターと話し合って作ったモデル。RSはもっと1本の可能性を広げたかった。1本で多くのシチュエーションをカバーでき、長いシーズン戦えるようなロッドです。大切なのは誰にでも使いやすい竿ということですね。だからラインナップも絞ったし、装飾も無駄を削ぎました。機能を突き詰めると、無駄を省いていく作業になるし。機能を突き詰めれば、結局はデザインもカッコよくなっていきますからね」

求めたのは柔と剛。相反する機能を、これをこれまでとは違う高い次元で兼ね備えたブランクスが必要だった。

宇津木「それが第3世代カーボンですね。弾性率と強度がさらに上がって、同じトン数でも強度が格段に上がっているんです。これはカーボン繊維では世界最高レベルの強度です。?? このカーボンを使うことで何ができるかということですが、従来の高弾性の竿で重いルアーを投げようとすると、パキッと折れる。それが強度が上がることで、高弾性のロッドでも曲げられるし、耐えられる。しなってからの反発力が高いので飛距離も出るようになるんです。当然、アキュラシーも高まる。あとは、軽い力でも簡単に飛ばせるようになりますね。60%の力でも、これまでの100%に近い飛距離を出せたりするので、体の負担も減りますよ」

この新しい第3世代カーボンを50〜60%という高い割合で使用し、第2世代カーボンで補助しながら1本の竿に組み上げていく。いろいろな素材の特徴を深く理解し、適材適所でミックスしてロッドを作っていくのだ。

「違いは使ってもらったすぐにわかると思います。ちょっと進化したなとか、そういうレベルじゃない。誰が使っても進化したよねって、全然違うよねっていうのがすぐにわかりますから

RSのコンセプト『REAL』『REVOLUTION』『RE-BIRTH』

掲げたのは、“REAL-本物”、“REVOLUTION-革命”、そして“RE-BIRTH-再誕”。この3つの“SPIRIT-魂”が紡がれることでRSは誕生。誰もが望むロッド性能の基礎である『シャープさ』と『柔軟性』の両立を目指し、ロッドを開発していった。

グリップにはREAL 、REVOLUTION 、RE-BIRTHの文字が。ロゴデザインなどに関しては、宇津木さんが指名した信頼のデザイナーに任している。

高機能第3世代カーボンを50〜60%使用

フージンRSは、TORAYCA®第3世代カーボンのT1100GをM40Xを、各モデルの特徴に合わせて50〜60%の割合で使用。弾性率と強度が上がることで、軽い力でもルアーを遠くに飛ばせたり、曲がりに対しての強度が上がっているのでファイトも楽だ。

強度と弾性率

この図は縦に強度(トン数)、横に弾性率を示したもの。ロッドの強度と弾性はトレードオフ関係。しかし、技術が進化し高強度かつ弾性率の高いカーボンが誕生している。それが、2010年代から登場した第3世代カーボンのM40XとT1100Gだ。

ナノジョイントにより1ピースに近い曲がりを実現する樹脂製ジョイント部

ナノアロイの樹脂を使用したジョイント部

ジョイントの心棒をナノアロイの樹脂を使うことで、スムースな曲がりを実現。一般的なジョイントのテーパー差範囲は1/100なのに対し、ナノジョイント部のテーパー差は2〜5/1000と、非常に高精度に作られている。1日釣りをしていても、ジョイントのずれを直すことはほぼない。

ジョイント部の強化によりマイナス方向への強度が格段にUP

ナノジョイントにすることでティップ折れが激減したという。ジョイント部のつっぱりがなくなることで、マイナス方向の曲がりに強くなったためだ。ジョイント部もロッド全体の強度に関わる重要な部分だ。

RSはベイトロッドの新しい扉を開いた

フージンRSのラインナップにはベイトキャスティングが3本もラインナップされている。

宇津木「第3世代カーボンはベイトロッドの可能性も感じていたんです。それで、ベイトロッドにベストなカーボンの組み合わせを見つけたときに、新しい扉が開いたなと思いましたね。新しいベイトタックルでのシーバスロッドができたと。PEラインでのベイトキャスティングは、ロッド全体が曲がらないと、伸びがないラインなのでトラブルが起きる。でもこのRSブランクスだと、スローアクションにしなくてもロッドが超高速で負荷を吸収してくれる。しなりからの戻りがものすごく早いんです。だからバックラッシュしないし、アキュラシーも高い。ベイトタックルの釣りがより快適になると思いますよ」

軽い力で握り込める形状APIAパームグリップシステム
グリップは盛り上がりをつけることで、手のひらになじむように設計。フォアグリップはソリッドな感度を指先に伝えるシュリンクラバー素材を使用。グリップエンドにはロゴを配置している。

フージンRSを使ったアピアアンバサダーの声を聞くと、「フージンZに近い」、「目を瞑ったらZかどうかわからない」という声も。4万円という価格で、性能的にはZに匹敵するものが出来上がったということなのか。

強度と価格を両立するステンレスフレームSiC-S
ガイドはあえてステンレスにし、強度とコストパフォーマンスを重視。トルザイトやチタンに比べて重いとされるが、ロッド全体の重量バランスで調節しデメリットをカバーしている。

宇津木「フージンZにはもっと高品質なガイドが付いていますし、生産体制もベテランチームのみでつくっていたりと、プレミアムな作りになっています。しっかりと差別化はしつつも、RSは4万円という価格帯でできる現時点での最高到達点を目指したかった。Zに近いものを価格を抑えて出すということは、Zが売れなくなってしまうという社内の意見もありましたが、でもそこを恐れて出さないのは後退でしかない。Rの新しいものでもないし、グランデージSTDの新しいものでもない。Zに近いものを引き継いだ、リバース(生まれ変わり)です」

生産終了後5年までは何度も免責修理が可能な『APIAプレミアム保証』

もしロッドが破損しても、生産終了後5年までは何度でも面責金額での修理を保証するというもの。「やっぱり長く使って欲しいですから。それに、なかなか折れないよという自身の表れでもあります」

APIA スタッフインプレッション

安田ヒロキ「バーサタイル性ならフージンZを上回る」

安田「フージンRSはミドルクラスだけあって、どのモデルも癖がなくて使いやすくて、誰が使ってもすぐに使いこなせますよ。スタンダードな設計になっているので、単純な使いやすさで言えば、フージンZよりも使いやすいと言い切っていいと思います。フージンZが高くて買えないからRSを選ぶとか、ミドルクラスだからサブロッドにするとか、そういうレベルではもはやなくて、メインロッドとしての機能が十分備わってこの価格なんです。僕の正直な感想は、Zを1本買うならRSを2本買ったほうがお得ですよ。正直に言いすぎちゃいましたかね?」

中井佑一郎「軽い力でも従来ロッドのMAX飛距離が出る」

中井「フージンZはピーキーで尖っていたモデルが多いのですが、RSはどのモデルも使いやすくなっています。だから、癖がなくすぐに手に馴染むんです。キャストでは、6〜7割の力で従来ロッドのMAX飛距離が出ているイメージです。うまくキャスティングが決まれば飛ぶといった感じじゃなく、ルアーが一番飛ぶポイントが広いという感じでしょうか。ファイトではしっかり曲がってくれて、耐えつつ反発力で魚が寄ってきますね。アピアロッドのファンはもちろん、これまでアピアのロッドを使ったことがない人にもぜひ体感してもらいたいですね」

フージンZについてはこちら


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