幻のツシマヤマネコに遭遇か!?撮影して専門家に鑑定してもらった結果、驚きの事実が判明!

日本と韓国の間に浮かぶ島、対馬。ここに、ツシマヤマネコと呼ばれる幻の猫が生息している。その名の通り、日本では対馬にしか生息が確認されていない貴重な種の猫だ。国の天然記念物にも指定されているこのツシマヤマネコらしき猫に、何と釣りの取材中に偶然遭遇。慌ててカメラで撮影し、専門家に鑑定してもらったのだが…。

→《幻の猫》鑑定の結果は!?

●文:ルアマガプラス編集部

野生のツシマヤマネコの生息数は推定で70〜100頭

朝鮮半島に近いという立地から独自の文化の形成や固有の動物や昆虫が生息するなど、日本の数ある島の中でも個性が際立つ対馬。

長崎県・対馬(つしま)
朝鮮半島と九州のほぼ中間くらいに位置する島。島の面積は、日本で3番めに大きく、南北に長い形状が特徴。空路なら、福岡か長崎から、また博多港からフェリーや高速船も出ている。島の北端付近からは、対岸の釜山を目視できる。 [写真タップで拡大]

中でも有名なのは、1971年に国の天然記念物として指定されたツシマヤマネコだ。上対馬には、ツシマヤマネコが飼育されている、対馬野生生物保護センターがあり、展示されているツシマヤマネコを見ることも可能だ。

ツシマヤマネコ

日本では対馬でしかその姿が確認されていない、ベンガルヤマネコの亜種。日本意外では、朝鮮半島や済州島、東シベリアなどにも生息。見た目は可愛いというよりも、野性味のある精悍な雰囲気。国の天然記念物に指定されているので、もちろん捕獲などは禁止されている。ひたい部分の縦縞の模様が特徴的。
※写真は、レンタカー店や空港などで無料で配布されるガイドマップの表紙。 [写真タップで拡大]

展示されている個体なら、対馬に行かなくても福岡市動物園で飼育されている個体も見学することができる。

ただし、野生のツシマヤマネコは対馬でしか確認されておらず、その個体数は年々減少しているという調査結果も出ている。その数は推定で70〜100頭程度と言われており、日本の島で3番目に面積の広い対馬で、野生のツシマヤマネコと遭遇する確率はかなり低いと言える。

対馬には定期便が就航する空港があり、福岡空港と長崎空港を空路で結ぶ。両路線合わせて1日9便運行。ちなみに、空港名は「対馬やまねこ空港」だ。 [写真タップで拡大]

空港カウンターの順路が猫の足跡になっている。 [写真タップで拡大]

ツシマヤマネコの目撃情報の大半は上対馬

対馬は、南北に細長い形状をしており、北側は上対馬、南側は下対馬と呼ばれている。ツシマヤマネコの目撃情報が多いのは圧倒的に上対馬で、下対馬での目撃情報は上対馬に比べると少ないようだ。

今回、対馬を訪れた理由は釣り(エギング=アオリイカ釣り)の取材、撮影のため(当メディアは釣りメディアである)。事前の釣果の情報により、拠点となる宿泊場所は上対馬の比田勝(ひたかつ)と定めた。定期船も寄港する栄えた町だ。ここを中心に、2泊3日で釣りの撮影を行う計画である。

比田勝は、韓国からの定期船も就航しており、コロナ禍前は大勢の韓国人観光客で賑わっていた。少し前に東横インも建設された。ツシマヤマネコが飼育されている、野生生物保護センターは比田勝とは反対側の西側、棹崎(さおざき)付近にある。 [写真タップで拡大]

近年、ツシマヤマネコと自動車の不幸な接触事故が増えているそうで、レンタカー店などでは、ツシマヤマネコの目撃情報をわかりやすくマップで示しつつ、運転する際に注意するよう呼びかけている。島のシンボルとも言えるツシマヤマネコを、島ぐるみで守っていこうという気持ちが伝わってくる。

マップ上の、ねこマークの貼られている場所で、ツシマヤマネコのメスのフンが落ちていたのが確認されている。緑の色分けは、濃くなるほど生息密度が高いエリアで、薄く塗られた場所は生息密度が低いことを示す。また、目撃情報を求めているという文言も明記されている。 [写真タップで拡大]

今回訪れるのも上対馬である。レンタカー店に掲出されたツシマヤマネコ遭遇ポイントマップを眺めつつ、ハンドルを握る際はツシマヤマネコの存在を十分意識し、不幸な事故を起こさぬよう安全に十分留意することを固く心に誓う。

近年、下対馬でもヤマネコの生息情報が増えているとの情報も。 [写真タップで拡大]

魚と同じく、ツシマヤマネコは朝・夕マズメに活発に動く!?

ツシマヤマネコは、夜行性というわけではないようだが、早朝や夕方の薄暗い時間帯に、より活発に活動する性質を持つとのこと。これは、今回の取材のテーマであるアオリイカの特性に、偶然にも一致する。

アオリイカも、朝夕の薄暗い時間帯(釣り用語でマズメ時とも言う)に、活発に捕食行動をとる傾向にあり、釣果も上がる。

つまり、我々が集中して取材を行う早朝(朝マズメ)や夕方(夕マズメ)のタイミングは、ツシマヤマネコが活発に動く時間帯でもある。

取材の目的だったアオリイカを無事キャッチ。 [写真タップで拡大]

そして、取材当日、アオリイカ釣りには季節外れだったにも関わらず(雑誌の取材は、本格シーズン前に行うことが多い)、なんとか目的のアオリイカの捕獲を果たし、さらなる大物を求めて上対馬の越高周辺にたどり着いた。

上対馬の西面の少しくびれた部分に、越高はある。 [写真タップで拡大]

太陽が水平線に沈みあたりが薄暗くなる頃、エギング(アオリイカ釣り)のプライムタイムを迎える。集中して取材していると、ふと背後に視線を感じて振り向くと、堤防の上に座る猫の姿が。

「あ、猫か…」。

暗闇の中で、こちらをジッと見つめる眼力。これはひょっとしてあの幻のツシマヤマネコか…? [写真タップで拡大]

取材に集中していたため、最初はツシマヤマネコのことは頭になかったのだが…。

えっ、ちょっと待てよ、そう言えば、ツシマヤマネコは夕方に活発に動くとパンフレットにも書いてあった。ひょっとして、この猫は…。

暗くてほその姿はよく見えないが、顔と目はぼんやりと確認できる。猫までの距離は10mほどあっただろうか? もう少し近くで見たいと思いゆっくりと近づこうとすると、明らかに警戒する素振り。

仕方なく近づくのをあきらめ、撮影を優先しようと持っていたカメラをゆっくりと構える。しかし、あいにくついていたレンズが広角だったため、被写体に寄れない。

ギリギリまで近づいてストロボを焚いてなんとか撮影できた1枚が下の写真だ。

上の写真は真正面だったが、なんとか体も撮れているが、いかんせん距離があるため肝心の猫の姿が小さい。 [写真タップで拡大]

この1枚を撮影した瞬間、ストロボとシャッター音に驚いたのか、猫は堤防の上を走って逃げていってしまった。写真を拡大して見てみると、額にタテジマがあるし、体の模様もツシマヤマネコの特徴に似ているような気がしないでもない。

猫と遭遇したのは赤い矢印で示した場所。 [写真タップで拡大]

ネット検索やパンフレットの写真と、撮影した猫の姿を見比べるのだが、実物も見たことがないため、全く確信が持てない。ツシマヤマネコのようにも見えるし、そうでないようにも見える。

素人がいくら眺めていても仕方がないので、対馬野生生物保護センターに、拡大した撮影画像をメール送り、専門家の方に判断してもらうことにした。実際、目撃情報を求めているということだったので、もし、ツシマヤマネコであれば、保護活動の役にも立つかもしれない。

その際、こちらから送ったメールは以下の通り。

[写真タップで拡大]

ほどなくして、対馬野生生物保護センターから丁寧な返信が届いた。その内容を要約すると…。

「投稿ありがとうございます。残念ながらイエネコでした。また何かあれば投稿お願い致します」

本気で、ツシマヤマネコじゃないかと思っていたので、鑑定結果にはかなり驚き、ガックリしてしまったのだが、やはりそう簡単に幻のヤマネコには出会えない。

次回、対馬に行く機会があれば、お礼がてら保護センターのツシマヤマネコを見物しに行きたいと思っている。


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