神技を駆使するバスプロといえばまず挙がるのが青木大介の名前だろう。今シーズンでのトーナメント活動の休止を発表したが、ひとたびフィールドに浮かべば鋭いセンスと状況判断の速さはあいかわらず。霞ヶ浦&利根川水系を舞台に冬のフィールド攻略のヒントを教わった。今回は青木大介さんが厳しい節約術を駆使していた20代の頃の小咄。
●文:ルアーマガジン編集部
青木大介さんのプロフィール
青木大介(あおき・だいすけ)
ディスタイル主宰。JBトップ50はもちろん、陸王やバサーオルスタークラシックなど、あらゆるコンペティションを制してきた職業バスプロ。ここ数年はアメリカでのトーナメントを中心に活動してきたが、来季からは再び国内での活動が本格化予定。
もうひとつのテーマ「コスパ」についても聞いてみた
青木「20代前半のころの僕の写真を見ると、めちゃくちゃ痩せてますよね。とにかくカネがなくて、まともに飯を食ってなかった。河口湖に有名な『ふるや』というお惣菜屋さんがあるんですが、そこのコロッケばっか食ってましたね」
いちばんの問題はトーナメントに掛かる費用。若くしてトップカテゴリに昇格したのはよかったが、練習量に比例してお金が消える。
青木「試合のときも高速道路なんか使いません。下道でいちばん遠くまで行ったのは兵庫県の東条湖かな(河口湖から約500km)。意外に丸1日あれば行けるんですよ。車中泊して、朝昼は食わずに、夜はカップラーメン2個。河辺裕和さんに『飯行く?』って聞かれたら『ハイっ!』と食い気味に答えてました(笑)。ラインの巻き換えも最小限にして、サンラインの300m巻きの『ベーシックFC』にはお世話になりました」
コスパを極限まで追求すると……?
青木「当時の収入は河口湖のレンタルボート『湖波』でのアルバイト代のみ。知人から紹介してもらった空き家に無料で住んでいた。くみ取り式の便所で、湯沸かし器がないから蛇口からお湯が出ないんですよ。お風呂は水を溜めてから毎回沸かすスタイル。もちろんエアコンなんてついてないから、冬はたいへんでした。電気毛布をかぶって眠るんですけど、どうしても顔がむき出しになるので、寒すぎて呼吸ができなくなって夜中に起きちゃうんですよねー。そんな家に、超でかいネズミと一緒に住んでました」
そのことを祖母に話すと泣かれてしまった…というのも、今では思い出になっている。
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