数多くの歴史ある神社仏閣、文化や技術を含めて古都として様々な伝統の発祥地である、京都。そんな魅力あふれる京都なのだが、実は漁場として、釣り場としても非常にポテンシャルが高い。京都の魅力を『釣り』を通して紹介する今回の企画。『海の京都』と呼ばれる、丹後半島をメインとする北部沿岸に焦点をあてながら、テーマ別に解説していきたい。
●文:ルアマガプラス編集部
釣り人の心弾む「海の京都」エリアとは?
海の京都と聞いて、アジ、マダイ、シーバス、アオリイカ、マゴチ、寒ブリ…と魚を何種も思い浮かべた人は間違いなく太公望だ。豊饒の海、日本海。とりわけ京都府北部沿岸は魚種が豊富で魚影が濃いといわれている。まずは、釣り人の目線による海の京都の魅力を紹介しよう!
海の京都とは、日本海に面した京都府北部地域のこと。近年の京都縦貫自動車道全線開通により、天橋立や伊根の舟屋をはじめとする景勝観光地へのアクセスも良くなった。加えて、美味しい海の幸が楽しめるということで、あらためて注目を浴びているスポットでもある。
実はこのエリア、古代より大陸との交流の窓口として栄え、多くの神話の舞台となっている。「もうひとつの京都」という、歴史的な背景も持ちあわせている。
海の京都
伊根舟屋
そんな海の京都、実は知る人ぞ知る的な穴場スポットとして、ソレ目的で訪れる人も多い。
ソレとは『釣り』。
なぜ海の京都は釣り人に人気なのか?…その理由は、豊かな海があるからにほかならない。
自然の恵みが豊かな海を育んでいる
ここで、海の京都エリアを丹後半島を中心に見てみよう。
半島の北西側は対馬暖流が流れ、季節に応じて多くの魚を運んでくる。半島の東側は宮津湾、若狭湾などいくつもの湾があり、魚をストック。成長過程の魚を育む海のゆりかごの役割も果たしている。
ならば山陰や北陸の日本海沿岸も同じでは?…と感じる人もいると思うが、海の京都の地元の漁師や足繁く通う釣り人など、魚に関わるローカルの方々が口をそろえて言うのが「ここの魚は美味い」ということだ。
例えば、天橋立がある宮津湾。丹後半島の東の付け根にある入江のように細長い湾で、目立った流入河川は少ない。一般目線で見ると、釣果を左右する潮通しも良さそうには思えないのだが…実際は、釣りのフィールドとして実績があり人気も高い。また宮津湾は大粒のトリ貝や肉厚のナマコの宝庫としても知られている。
この豊かな湾は、丹後半島の地形と天候に関係する。
「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど、全国的にみても降雨量が多い北部エリアだけに、海に迫る山々に降った雨が地下に染み込み、時間をかけて海底で湧出する。
要は、湧き水が豊富なのだ。
丹後半島のミネラルを豊富に含んだ湧水がプランクトンを増やし、それを食べるエビや小魚、また彼らを食べる魚、と、食物連鎖が成立する。エサが豊富だから魚が肥える。だから地元の方たちは「ココの魚は美味い」と胸を張るのだ。
宮津湾泥
宮津オーシャンクレイプレミアムソープ
コナガニシ
トリ貝
また、対馬暖流の影響で潮の流れが速い丹後半島の北西面と、流れが緩い半島の東側で隣接するエリアでありながら海況ががらりと変わる。そういったエリア環境も相まって年間通して魚種が豊富であるのも、釣り人にとっては大きな魅力だ。
自然豊かな景勝と海の幸が美味しい土地柄は、釣り人の心が弾むフィールドでもある。丹後半島の釣りに軸足を置き、観光、食、人を巡る旅を組んでみるのも一興。釣りオンリーで魚と触れ合うのもまた一興。釣りにまつわる「海の京都」もまた、魅力に満ちあふれているのだ。
丹後半島
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