釣り人にとって牡蠣はとても重要な二枚貝だ。牡蠣瀬にはエビやカニ、小魚などが潜んでおり、それを狙って他の魚がやってくる。クロダイなどは牡蠣自体もエサになるので、牡蠣瀬は魚の宝庫だ。一方人間にとってもこの時期、旬の生牡蠣が忘年会を始めとして食べる機会が多くなる。
●文:ルアマガプラス編集部
生牡蠣といえばノロウイルスのイメージ定着してません?
厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」によると「ノロウイルス食中毒の原因食品別発生件数の年次推移」の中では魚介類のうち二枚貝が圧倒的に原因食品として数が多い。たしかに牡蠣を含む二枚貝のイメージが定着するのもうなずける。
そもそもノロウイルスに感染するとどうなるのか
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染する。体内に侵入したノロウイルスは腸管で増殖すると下痢・腹痛、おう吐、など恐ろしい症状を起こす。
ノロウイルスの感染経路
おぞましい胃腸炎を起こすノロウイルスは、ほとんどが経口感染で、次のような感染様式があると考えられている。
- 患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感染した場合
- 家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
- 食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を行う者などが含まれます。)が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
- 汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
- ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
また、ノロウイルスは食品や水を介したウイルス性食中毒の原因になるばかりでなく、ふん便や吐ぶつ、飛沫感染などからウイルス性急性胃腸炎(感染症)の原因にもなります。この多彩な感染経路がノロウイルスの制御を困難なものにしています。
恐ろしいのは集団感染
食中毒1件あたりの患者数が「その他原因」の場合は9.4人で、「ノロウイルス」の場合は37.8人と4倍以上の患者数となっている。
さらに、食中毒原因別の患者数ではノロウイルスが46%で1位。期間は11月から2月に集中しており、ノロウイルスの場合は7割が冬に発生している。
ノロウイルスの感染を広げないために
感染力の強いノロウイルスを予防するために、やっておきたいの以下。
食器・環境・リネン類などの《消毒》
感染者が使ったり、おう吐物が付いたものは、他のものと分けて洗浄・消毒。食器等は食後すぐ、厨房に戻す前に塩素消毒液に十分浸し、消毒する。
カーテン、衣類、ドアノブなども塩素消毒液などで消毒をおこなう。次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性があるのいで、金属部(ドアノブなど)消毒後は十分に薬剤を拭き取りましょう。
洗濯するときは、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、十分すすぐこと。85℃で 1 分間以上の熱水洗濯や、塩素消毒液による消毒が有効。高温の乾燥機などを使用すると、殺菌効果は高まる。
おう吐物などの《処理》
患者のおう吐物やおむつなどは次のような方法で、すみやかに処理し、二次感染を防止しましょう。ノロウイルスは、乾燥すると空中に漂い、口に入って感染することがあるので注意が必要だ。
処理をするときは使い捨てのマスクやガウン、手袋などを着用する。ペーパータオル等(市販される凝固剤等を使用することも可能)で静かに拭き取り、塩素消毒後、水拭きをする。
拭き取ったおう吐物や手袋等は、ビニール袋に密閉して廃棄。その際、できればビニール袋の中で1000ppm の塩素消毒液に浸します。
しぶきなどを吸い込まないようにして、処理が終わったら丁寧に手を洗いましょう。
塩素消毒の方法
次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて「塩素消毒液」を作ります。なお、家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。濃度によって効果が異なるので、正しく計りましょう。
(出典:ノロウイルスに関するQ&A)
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。