渓流ミノーの定番中の定番、『Dコン』の愛称で親しまれる『D-コンタクト』が、2023年で生誕20周年を迎える。オリジナルの50mmモデルの人気もさることながら、現在に至るまで様々な派生モデルも誕生してきた。ということで、Dシリーズ全アイテムを一挙公開しちゃいます!20周年記念カラーもご紹介!
●文:ルアーマガジンリバー編集部
超人気ミノーを開発したスミスのレジェンド
平本仁(ひらもと・ひとし)
名作「D-コンタクト」を始めとしたDシリーズの生みの親。ルアーだけでなく、インターボロン、ラグレスボロン、サルコ、イル・フロッソなど、ネイティブトラウト用ロッドの開発も手掛けているほか、ネオマグフックキーパーなど小物等も企画。頭の中は常に面白いアイデアで溢れている。渓流志向が強く、長らく東北遠征に力を入れてきたが、近年は関東近郊河川にも足繁く通う。
渓流の名作ヘビーシンキングミノー「D-コンタクト」が生誕20周年! 開発秘話をご紹介
渓流のルアーフィッシングにおいて有効なルアーは様々だが、現在主流となっているのがシンキング系のミノーだろう。中でも、レンジも刻めて水馴染みも抜群の「ヘビーシンキング」と呼ばれるタイプのミノーが人気だ。
そんなヘビーシンキングミノーブームを、今日まで牽引し続けてきたのが「D-コンタクト(スミス)」と呼ばれる50mm・4.5gの渓流用ミノーである。生みの親は、当時スミスで広報を担当していた平本仁さんだ。
定着しているが、リリース当初は、50mmのボディに4.5gものウエイトを積んだミノーも、泳がないミノーをロッド操作で扱うという考え方、とても斬新な発想だった。
早くから比重の大きいタングステンウエイトに目をつけ導入し、背中のへの字のところに大きめのウエイトルームを確保。さらに、D-コンは後方重心に設定されているのだが、これは飛距離をかせぐだけでなく、ルアーをアクションさせ止めた後も慣性で動かせるためのもの。この『慣性スライド』もこのミノーの大きな特徴だ。
こちらは発売当初の雑誌広告デザイン
スミスのHPにて、歴代の雑誌広告デザインが閲覧できるが、そこにはD-コンタクトのリリース当初のものも掲載されている。同社スタッフの池島竜一さんがコメントしているが、こちらが非常に興味深い。
池島「当時スミスの広報担当者だった平本氏は、ジェラシーというスプーンの開発経験はありましたが、プラグの開発経験はありませんでした。そんな平本氏が開発したのは、サイズに見合わぬウェイトを搭載し、尻から素早く沈下し、ただ巻きでは滑らかに泳がない。
当時の常識で判断すればボツと判断されてもおかしくないミノーでした。D-コンタクトはある程度ルアー作りの経験がある人からは生まれなかった製品かもしれません」
全ての「Dシリーズ」を一気見!
渓流ルアーアングラーであれば、必ず1個はタックルボックスに忍ばせているのではないだろうか? そんな定番中の定番ミノーである「D-コンタクト」も2023年で20周年を迎える。
オリジナルの人気は言わずもがな、より戦略的に釣りを楽しむために拡充してきた派生モデルも非常に豊富である。ここからはすべての「D」シリーズを紹介していく。
D-コンタクト(オリジナル50mmモデル)
D-コンタクトアワビ
D-コンタクトのアワビ貼りバージョン。オリジナルモデルの誕生から10年後の2013年にリリースされた。ヘビーシンキングだからこそトレースできる深いレンジまで到達させてからの、激しい平打ちアクション。そこに天然アワビのナチュラルな輝きが加わることで、スレた鱒もイチコロ。
D-ダイレクト
例えば、今までに攻め切れなかった、釜の落ち込み付近から深度1mを超えるデッドゾーン。そのエリアをダイレクトに攻略する為のヘビーシンキングディープミノー。 6gの自重で一気に沈めて、巨大リップによる強制急速潜行で未知なる領域まで一気に到達させることが可能。リーリングによる小刻みなウォブンロールの振動でルアーの存在をしっかりアピールしてくれる。
D-インサイト
フラットサイドデザインが特徴のDシリーズ第二弾。ロール角の大きな平打ち(慣性平打ち)が特徴で、移動距離を抑えながら長い時間アピールすることができる。リーリングでは振動しながら泳ぎ、オリジナルモデルより深いレンジをトレースできる(D-インサイト53でD-コンタクト50より20cmほどレンジが深い)。44mm、53mm、64mmの3サイズ展開。
D-インサイトアワビ
D-インサイトのアワビ貼りモデルで、44mmと53mmの2サイズ展開。極薄フラットサイドボディが生み出すロール角の大きな慣性ヒラ打ちとアワビシートの組み合わせはもはや最強!? ※2022年生産終了。現在は市場在庫のみとなる。
D-コンパクト
38mm、45mmの2サイズ展開で、コンパクトなボディながらウォブ50%+ロール50%の大きな波動のスイムアクションで周りに強くアピールできる。移動距離の短いショートピッチの平打ち&慣性スライドで、小規模河川や、滝壺などのスポット攻略も得意とする。また、潜航深度が45mmで100cmと、D-コンタクト、D-インサイトよりも深いのも特徴だ。
Dシリーズのスプーンもあるぞ!「D-Sライン」
こちらは平本仁さんが手掛けたDシリーズ初のスプーン「D-Sライン」。盛り上がったフロントからテールへと湾曲するS字ベンドフォルムをスリムボディに落とし込んだ形状は、遠投性能、素早いレンジ到達、レンジキープを得意とする。また、長さとウエイト、板厚の組み合わせにもこだわっており、フィールドや状況に合わせて5タイプがラインナップされている。
- 30mm, 3.0g, 1.4mm厚:源流域の小規模河川やスレた魚に対応するスモールサイズ。
- 36mm, 4.0g, 1.4mm厚:水深の浅い渓流でも使える使用頻度の高いサイズ。
- 40mm, 5.0g, 1.4mm厚:スイム、フォールのバランスに優れる渓流の定番サイズ。
- 45mm, 5.0g, 1.2mm厚:穏やかな流れでスローにヒラヒラとしっかりアピールしたいときに重宝する。
- 45mm, 6.5g, 1.5mm厚:水深もあり、強い流れでもしっかり沈めて攻めたい時。遠投性とアピールを重視。
D-コンセプト48MD
Depth=深さ、Direction=演出、Distance=飛距離。3つのDをコンセプトに開発した初となるヘビーシンキングタイプのミッドダイバー。飛行姿勢、飛距離、引き重りに影響するリップを極力小さくすることで、キレのあるアクションと、スムーズに潜るミッドダイバーに仕上げている。
D-コークス
シリーズの中で初めて「重心移動システム」を採用したモデル。サイズは51mmと65mmの2サイズ展開となる。その狙いは飛距離だけでなく、水平姿勢での平打ち&慣性スライドを発生させるため。狙ったレンジで1アクションさせるとタングステンウエイトがセンターに移動。その後、微入力によるまとわりつくようなアクションを演出できる。
F-セレクト
『D』ではないが、2018年にリリースされた系譜モデル。Fはフローティングを意味するもので、設定はスローフローティング。シンキング系ルアーでは攻略しにくい状況での切り札的存在で、水深の浅い渇水河川やボサ下へのドリフト、クロスからの複数ポイントの連続攻略、ダウンで流れに乗せて静かに長く探るなど、いわばステルスサーチ的に使えるミノー。51mm、64mmの2サイズ展開。
D-コンタクト85
ヘビーシンキングミノーの性能を本流でのサクラマス狙いに昇華させたサイズアップモデル。アクションの合間にユラっと流れるような「慣性スライド」はそのままに、固定式のタングステンウェイトを搭載。自重14.5gの極薄ボディで、トゥイッチによる平打ちやダート、ジャークではスライドスイムと、オリジナルモデルの使い勝手をそのまま継承している。
D-コンタクト85アワビ
D-コンタクト85のアワビ貼りバージョン。攻撃的なサクラマス攻略を実現する大型ヘビーシンキングがアワビシートを纏い、スレ鱒に効果的なカラーバリエーションとして追加リリースされている。
D-コンタクト110
もともと海外での需要の高かったモデルだが、圧倒的な飛距離と慣性スライドは淡水・海水を問わず様々なフィッシュイーターに効果的ということで、国内での販売も開始。本流のサクラマスを始め、サーフの海アメ・海サクラマス、さらには大河川のシーバスまで幅広いフィールドで活躍してくれる。
D-コンタクト20周年記念カラーにも注目!
D-コンタクト50mmモデルは2023年でリリースから20周年となる。それを記念して発売されたのが、こちらの3色だ。
最初に目を引くのが、アイのデザインが変更されているところだろう。オリジナルモデルは黒目がど真ん中に配置されているが、これに対して記念カラー3色は、緑を基調としつつ下向きの金縁、下向きの黒目が採用されている。
渓流魚は水中では黒目がまん丸になるが、釣り上げてランディングネットに横たわらせると黒目が下向きになるが、それを表しているのだろう。
どの色も人間からの視認性抜群。パーマークとサイドのシルバーカラーによる明滅効果で平打ちアピールも強そうだ。全体的にかなり目を引く記念カラー3色。いち早く手に入れるべし!
※本記事は”ルアーマガジンリバー”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。