長野県の自社工場でこだわりのロッドをリリースするTENRYU。幅広いロッドをラインナップする中で、2023年、近海ジギングロッドのジグザム ドラッグフォースがフルモデルチェンジ。いったいどのような進化を遂げて生まれ変わったのか。TENRYUの顔利きでもある舟木雄一さんに伺った。
●文:ルアマガプラス編集部
舟木 雄一(ふなき・ゆういち)
ロッドメーカー、テンリュウでロッド開発や広報を担当。テストやプロモーションで全国のフィールドを飛び回り、マルチアングラーとしても活躍する人物.
長く硬くなってもジグの使用感が変わらないアクション設計
ジグザムというのは大型の青物を狙った近海ジギングロッドシリーズで、「ジグザム ワイルドマーク」「ジグザム ディープライダー」「ジグザム ドラッグフォース」の3種類がラインナップ。中でもフラッグシップモデルとなるのが、今回紹介するジグザム ドラッグフォースだ。
舟木「近海ジギングは、PEの太さが最低でも2号以上で、ドラグもしっかりかけて大型の青物を狙っていく釣り。そして潮流も速くてジグも重い、釣れる魚も大きいと。もともとのドラッグフォースの特徴としては、フラッグシップモデルとしてのブランクス設計、そして地域特化型のスペックですね。関東外房のヒラマサモデルとか、瀬戸内海の激流の中でブリを釣るための竿とか、そこでしか使えないようなロッドも作っていきました。なので、いろんなところで応用できますよというよりは、かなりとんがったアイテムになっていますね。ベイトモデルに関してはグラス素材を使ったりして、ほかにはなかなか無いようなロッドもあります」
このドラッグフォースが今年フルモデルチェンジをする。
舟木「ドラッグフォースは2013年にスタートし、10年目の節目でのフルモデルチェンジですね。まずはスピニングモデルの4本をリリースします。コンセプトに関してはこれまでのドラッグフォースを踏襲。素材やパーツなどをより吟味させて、さらに専門性をアップさせているようなイメージです」
ブランクスに関しては、どのような特徴を持たせたのだろう。
舟木「ジグロッドは、同じ硬さで比べたときに、長くなればなるほどジャークした時に違和感を感じるようになります。同じようにシャクれなくなるんです。今回4種類とも全部長さが異なるのですが、短くしても長くしても、全部同じような調子、同じような使用感でジグをシャクれるように仕上げています。ちょっと伝わりにくいかもしれませんが、どの竿を使っても操作感は変わらないよという感じです」
ロッドを持ち替えても、違和感なく使えるのはアングラーにとってメリットが大きい。
舟木「潮流やジグの重さで複数本を使い分けていくときに、ロッドを持ち替えた時に違和感なくすぐに対応できるのが強みですね。そしてパワー設計。3/4、4/5という硬さの表記をしているんですが、3/4なら3と4の両方の硬さの特徴がありますよと。普通3なら120g、4なら150gくらいがベストなジグウエイトになってくるんですが、どっちも気持ちよく使えるよというのが3/4です。単純にジグの使用範囲が広いと思ってください」
そしてもちろんパワーも大事。
舟木「数少ないヒットを確実にものにしたいので、掛けたらバラしにくいというのも大切です。大きな魚を浮かせてくるパワーも必要なので、バット部にC・N・Tをコンポジットして、粘り強さをアップさせています。特にシャローで掛けた魚は、走られたら終わり。10kgを目標に、20kgオーバーだって掛かるかもしれない釣りですからね。そういったところに気を付けてロッドを開発していきました」
ミスキャストが命取りになるシャローゲーム。ガイド設計も重要な要素
ガイド設計はキャスティングパターンを強く意識したセッティングになっている。
舟木「ガイドに関しては、一番手前の部分にRVガイドを使用しています。これは一般的にキャストティングロッドに使うようなガイドで、キャストしたときに糸抜けが良いんです。外房ではちょい投げレベルではなく、アンダーハンドでフルキャストする場面も多いんですね。外房の遠浅の地形で、水深20mとか、浅いところなら10mとか、そういった場所にもジグを入れていく」
そんな浅いエリアでジグを使用するんですね。
舟木「普通ならプラグで誘い出すような場所ですよね。こうなるとジグを真下に落としても全然誘えないのでキャストしていくんです。ジグは80〜150gまで。潮流がものすごく速くて、ボトムにタッチさせたら根掛かるから着水したらカウントダウンでアクションしてくような釣りです。シャローにジグをキャストして横引きさせ、魚がヒットしたら潜られないように寄せてくる。これが外房の特殊な釣りですね。となると、やはりロッドも特殊なものになってくると。ただ、玄界灘でもシャローを攻めることがあるので、そういった場所にも使えますね。今回リリースする4種類全部、バーチカルな釣りもしつつ、フルキャストでジグを引いてくる釣りにも対応できるようになっています」
近海ジギング用のロッドには、バーチカルとキャスト、両方の特性が求められてくる。
舟木「キャストすることが多いので、そこでトラブルがあってはいけない。ラインがガイドに絡んでしまったりすると、それを修復している間にジグは根掛かる。キャストの釣りの場合、船はドテラ流しで釣るポイントに近づいていくのですが、もしトラブルがあればそのポイントを潰してしまうことになる。チャンスが失われる。なので、キャスティングでのトラブルレス性は大事です。また、バーチカルで釣る場合も、ジグが下に入り込んでいく場合もショートキャストで入れていくので、ジグロッドでもキャスティングのしやすさはとても大切なんです」
ジグウエイトだけでなアクションの質でもロッドをローテション
では、4本あるラインナップはどのように使い分けたらいいのだろう?
舟木「まずは3/4、4/5というのがメインどころになってきて、軽いジグを使う場合は2/3、重たいジグを使っていく場合は5/6というのが簡単な使い分けです。ただ、同じジグウエイトでもジグの動きを変えたい場合がある。例えば130gのジグを2/3で使っていて、よりキビキビ動かしたい場合もあります、そんな時に3/4にローテーションする、ということもしていきますね。同じ考え方で、同ウエイトのジグを4/5と5/6を使い分けたり。ジグを柔らかく見せるかクイックに見せるかで、ロッドの硬さを選んでいくんです。そのあたりを魚の活性や、アングラーの好みで使い分けていってもらえたらと思います」
【NEWジグザム ドラッグフォース4機種紹介】
【NEWジグザム ドラッグフォース 仕様表】
番手 | 長さ | 継数 | アクション | 適合ジグウエイト | 適合ジグウエイト(ベスト) | 適合ライン | ドラグMAX | 自重 | 定価 |
JDF631S-2/3 | 1.90cm[6ft3in] | 1 | R | 100-180g | 100-120g | MAX PE 4.0 | 5kg/0° | 189g | 5万7000円 |
JDF621S-3/4 | 1.88cm[6ft2in] | 1 | RF | 120-200g | 120-150g | MAX PE 4.0 | 7kg/0° | 198g | 5万7500円 |
JDF611S-4/5 | 1.86cm[6ft1in] | 1 | RF | 120-230g | 150-180g | MAX PE 4.0 | 8kg/0° | 206g | 5万9000円 |
JDF601S-5/6 | 1.83cm[6ft0in] | 1 | RF | 150-250g | 180-200g | MAX PE 5.0 | 10kg/0° | 213g | 5万9500円 |
新しいジグザム ドラッグフォースを、フィッシングショーOSAKAへ見に行こう!
いよいよ開催日が迫ってきた「フィッシングショーOSAKA2023」。3年ぶりの開催ということで心躍らせている方も多いのではないでしょうか。当日はしっかりと楽しめるよう予習は必須! 見どころとなるイベン[…]
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