1年間、最も釣り場に立っているバス釣り業界の仕事といえば、フィッシングガイドにほかならないだろう。しかしその仕事は「自分が釣をしたいだけでは決して成り立たない」と、琵琶湖でバス釣りガイドを営む永野総一朗さん。誰よりも釣り場に立つ回数が多く、誰よりも釣りを「見守る」フィッシングガイドという仕事を掘り下げてみよう。仕事のリアル、収入は一体どれくらいなのか? などの気になる事情を徹底調査!
●文:ルアーマガジン編集部
永野総一朗さんのプロフィール
永野総一朗(ながの・そういちろう)
琵琶湖でもっとも予約がとりにくい大人気フィッシングガイドのひとり。
グランダー武蔵の影響でバス釣りを始めた昭和63年生まれ。実家が製造している高菜も大人気! スポンサーはハイドアップ、バリバス、SDGmarine (CHARGERBOATSJAPANE)、シマノ。
この仕事についた経緯は?
職場の先輩や大学の後輩をボートにのせるのが好きだったんです。
とにかく誰かと釣りに行きたかったんです(笑)。余談ですが、その頃ボートを上げ下ろししていたボートマリーナ「ミックバスクラブ」で吉田秀雄さんに出会ったのがハイドアップサポートを受けたきっかけでもあります。
大学を卒業後は軽自動車販売の仕事につきました。そして社会人2年目くらいで、バスボートを手に入れる機会がありました。そのとき「アルミボートよりもよりたくさんの人と釣りに行ける」と思ったんです。それからは会社の先輩後輩はもちろん、フェイスブックで仲良くなった方など、いろいろな人と釣りに行きました。
そして就職して5年位経った頃には、誰かと釣りにいくことにやりがいを感じるようになって、色々ある中で、フルタイムガイドをスタートしました。それまでボートで一緒に釣りに行った人が72人いたんですけど、その人達ひとりひとりに声を掛けてみたところ、たくさんの方が来てくれて…。お客さんに困ることなく、フィッシングガイドをはじめることができましたね。
仕事内容や1日の流れを教えてください
ゲストさんに釣りをしてもらうことです。
ゲストさんに釣りをしてもらうことが仕事ですね。だいたい7時から17時までの時間がガイド時間で、だいたい週7でガイドをしています(笑)。
というのも、1ヶ月で多いときは5日とか天候のせいでガイドができない日ができちゃうんですよ。その保険の意味もあって、多めに募集をかけているわけです。
ちなみにガイドが終わってゲストさんを見送ったあとは翌日の準備をして、ブログやSNS、翌日以降に来られるゲストさんへの連絡なんかをして過ごしています。
どんな人に向いている仕事ですか?
利他の精神があるひと。
他人の喜びが自分の喜びになるタイプに向いていると思いますね。逆に、この仕事に就けばずっと釣りができる! と思っている人はダメだと思います。
釣りをするのはゲストさんで、フィッシングガイドはあくまでもサービス業なんです。釣果にかかわらず、ゲストさんを楽しませないといけないと思います。
このへんの感覚は、軽自動車販売の仕事をやっていたからこそ身についたとは思いますね。
矜持やプライドはありますか?
誰かのポジティブな経験を作れること。
フィッシングガイドって、だれかの気持ちをプラスにする仕事なんですよね。前職の軽自動車販売でいえば、車がないと生活に不便するひとが車を買うことが多くて、それは大抵不便というマイナスがゼロになるだけなんですよね。
でもガイドは「楽しみたい」「魚を釣りたい」っていう、ゼロからプラスをもたらすことのできる仕事だと思うんです。誰かのポジティブな経験の一部を作ってあげられる。そこに誇りをもっています。
仕事のやりがいはなんですか?
誰かの楽しむ姿を見るのが好きです。
魚がかかると、どんな人でも素に戻るんです。ゲストさんのその無邪気な姿を見るのが楽しくて好きです。この気持ちは、アルミボートで誰かと釣りをしていた学生時代から変わらないですね。
収入について教えてください
ハイドアップのロッド「マッカ」の値段×ガイド日数が毎月の収入ですかね。
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。