富山県の神秘!謎多きホタルイカとの遭遇率を上げる7つの条件。120%楽しむ方法をエキスパートが解説!

魅惑のソルトフィールドとして知られる能登半島をホームグラウンドとするのは、アングラーズマイスターの「釣りするげんパーシー」さん。YouTuberとしても活躍しており「釣りするげん」チャンネルも展開中。今回は、これから盛り上がりを見せるホタルイカがテーマだ。

●文/写真:釣りするげんパーシー(アングラーズマイスター)

2024 シーバス特集

北陸エリア、能登半島を中心に活動するアングラーズマイスター

釣りするげんパーシー

石川県能登半島をメインフィールド。アジング、メバリング、エギング、ジギング、バス、フカセ釣り、投げ釣りなど季節に応じた幅広い釣りジャンルを楽しんでいる。YouTube「釣りするげんチャンネル」でも釣り情報を配信中! アングラーズマイスター。

北陸地域の春の風物詩的存在、ホタルイカ

皆さんこんにちは。アングラーズマイスターの「釣りするげんパーシー」です。僕は石川県能登半島をメインフィールドにライトゲーム中心に1年中釣りを楽しんでいます。

今からの時期、ショアから手軽に大型の魚がたくさん釣れるという釣り人にとってまさに「天国」のような状況が訪れます。一人でも多くのアングラーさんに体験してもらいたいので、本記事で紹介します!

今回キーワードとなるのは、ずばり「ホタルイカ」です。毎年、早春になると訪れる、北陸地域の風物詩的存在。このホタルイカについて、項目別に解説していきます。

ホタルイカとは?

ホタルイカと聞き、お酒を飲む方はおつまみなどの食材としてのイメージが真っ先に浮かぶかもしれません。このイカは成長しても4〜7cm程度と、非常に小さいのが特徴です。

また、触手の先には発光器があり、危機を感じると青く光ります。ホタルイカの群れが岸際で青く発光する幻想的な風景は有名で、ご存知の方も多いでしょう。ただ、このイカは普段は深海に生息しており、岸際では見ることはできません。

まだ生態も完全には解明されていない謎多きイカです。

しかし、春(3~5月)になると、産卵のために浅場に上がってきます。この時期、海岸にホタルイカが打ち上げられる現象「身投げ」を見に、県内外から多くの人が訪れます。国の特別天然記念物として、富山県の春の風物詩にもなっているのです。

水産食材としての価値は非常に高く、スーパーでは高価で販売されています。茹でたり食べたり、パスタや和え物として食べたり、天ぷら干物、塩辛でも美味しく食べられます。このように、ホタルイカは観光資源としても、そして食材としても重宝される、貴重な存在となっているのです。

ホタルイカとの遭遇率を上げるための条件とは?

ホタルイカの概要をザックリとお伝えしたところで「ホタルイカ」をどのように楽しむのかを、さらに突っ込んで解説していきましょう。ホタルイカを120%楽しむためには、まずはホタルイカとの遭遇率を上げる必要があります。

ホタルイカの楽しみ方の1つに、接岸するタイミングで網を持ち、近くに来たホタルイカを網でキャッチする、ホタルイカすくいがあります。このホタルイカすくいでポイントとなるのが、身投げ(接岸)のタイミングの予想です。私も、毎年ホタルイカをすくいに行きますが、いつでもホタルイカの接岸に遭遇できるわけではありません。

目の前一杯に広がるホタルイカの神秘的な光景。一度は見たい絶景です。

気持ちをたかぶらせて海に行っても、1杯もいないこともあります。自然が相手なので、100%というのはありえないのです。しかし、ホタルイカと遭遇できる確率を上げるための、いくつかの「条件」というのがありますので、過去の経験を元にまとめてみたので、参考にしてみて下さい。

ホタルイカの接岸に遭遇するための条件

ちなみに、ここで紹介するのは、私の経験に基づいて考えた条件です。皆さんの条件とは合わない可能性もありますので、そこはご注意下さい。

  • シーズン:3〜5月(例年)
  • 潮回り:新月大潮前後
  • 風向き:南風
  • 気温:日中暖かい日が狙い目
  • 水色:潮にニゴりがない状況
  • タイミング:満潮時刻がAM2:00となる潮
  • その他:蜃気楼発生(迷信的な条件)

では、上記の条件について、1つずつ解説していきましょう。

【新月大潮前後】

ホタルイカの接岸にはメカニズムがあります。諸説ありますが、月明かりがあると、接岸せずに深海へと落ちていく傾向にあります。ホタルイカは月明りを目印に、自分の位置を把握するとも言われています。浅場へと上がってくる3~5月、月明りのない「新月」ですと、ホタルイカは自分の位置を正確に把握することができず、砂浜に打ち上げられるというのが有力な説となっています。つまり、月明りのない新月大潮付近の日に行くと良いとされているのです。

月明かりがあると、ホタルイカは接岸しない傾向にある。

【南風】

ホタルイカが身投げするのに大事になるのが風です。それも「南風」です。富山県では場所によりますが、南風というのは陸から沖に向いて吹く風となります。

「えっ?ホタルイカって沖から流されてくるんでしょ?じゃあ沖から陸に向かって風が吹いたほうがホタルイカが流されて身投げしやすいんじゃないの?」と、思われるかもしれません。

実は南風が良いのには理由があります。それは水質の安定とニゴりの除去です。陸から沖に風が吹くことで、比較的水質変化の影響を受けやすい浅場から、沖のほうにニゴりを運んでくれます。これが逆だとニゴりや水質悪い水が浅場に滞留することで、ホタルイカがそれを嫌い浅場に寄ってこないとされています。

また、5月になると田んぼからのニゴりを含んだ排水があるので、その水を浅場にためないように沖に流してくれるという役割も果たしています。

【満潮時間がAM2:00の潮】

これは、ややオカルトに近いのですが、干潮→満潮というのは潮が陸のほうに押し寄せられ水位が高くなります。ホタルイカもこの潮の動きに同調して移動するので、満潮時間がAM2:00付近がいいということになります。

えっ?別に夜が満潮時間ならいいんじゃないの?と思いますよね?

例えば満潮時刻を少し早めてPM9:00とします。干潮時間から満潮時間は約6時間なので、PM9:00が満潮時刻なら干潮はPM3:00となります。その時間は明るいですよね?つまりホタルイカは深場にいて活動的ではない時間になります。

逆に、満潮時刻をAM6:00とした場合、干潮時間はAM0:00で、空は暗くホタルイカも活発に動いていますしホタルイカは接岸する?

確かに、干潮時間はホタルイカは深海から比較的浅場にいる可能性がありますが、満潮時間のAM6:00になると、周りもうっすら明るくなってきます。つまりホタルイカは自分の位置を、太陽の光で確認することができるようになるため、浜に打ち上げられないのです。

以上の理由から満潮時間がAM2:00付近の日が良いとされています。

【蜃気楼発生】

これは完全にオカルトです(笑)。富山県では、魚津市が「しんきろうの町」とされており、ホタルイカの身投げと並んで、春の風物詩となっています。

蜃気楼が発生するのにもいくつか条件があり、天気の良い日、気温が高い日、風がない日がいいとされています。この条件が、ホタルイカの身投げの条件と酷似していることから、蜃気楼が出た日はホタルイカの身投げが起きる可能性が高いとされているんですね。

もしかしたら蜃気楼発生とホタルイカの身投げには何か密接な関係があるのかも…? 信じるか信じないかはあなた次第です。

ホタルイカすくいに必要なもの

ホタルイカすくいで必要となるものは、下記の4つとなります。

【ホタルイカすくいで事前に準備するもの】

  • 長靴、またはウェーダー
  • ライフジャケット
  • ヘッドライト
  • クーラーボックス

網はホタルイカがすり抜けないように、網目の細かいものがいいです。しっかりとした、頑丈なものを用意してください。持ち手が伸縮するタイプだと、遠めのホタルイカも捕獲できるのでオススメです。

長靴・ウェーダー

堤防や打ち上げられた後のホタルイカを狙う場合は不要ですが、基本的には足だけ海に入りホタルイカをすくう方法がスタンダードなので、長靴またはウェーダーを用意してください。

ライフジャケット

水辺に近づく際にライフジャケットは必須です! 命を守る行動を心がけましょう。

ヘッドライト

ヘッドライトは必須です。なるべく明るいタイプをご用意ください。懐中電灯を片手に網を片手に探す方もいますが、懐中電灯は圧倒的に明るさが足りてなく、片手の網だと力が入りにくく、何より両手がふさがっていると転倒などのリスクがあるので必ずLEDのヘッドライトを用意してください。

クーラーボックス

めでたくホタルイカが取れたら新鮮な状態で持ち帰り、美味しく召し上がってください。そのためにはクーラーボックスが必須です。釣り用で使用しているものをそのまま使っていいと思います。

最後に、お願い

ホタルイカをすくうにはホタルイカがいる場所に行くことが最重要項目です。この場所が鉄板!というものはなく、富山県全域が接岸ポイントとなります。シーズンによって、または日によって接岸位置が変わります。なのでいろんな方と連携を取ったりSNSで情報を受け取ったりしてホタルイカの接岸に備えます。

ホタルイカのシーズンには大変多くの人で賑わいますが、路上駐車、ごみのポイ捨て、マナー違反などトラブルが続出し、毎年警察も出動します。夜がメインになりますのでお休みになられている近隣の方の迷惑にならないように最大限の配慮をお願いいたします。

また、堤防などは立ち入り禁止となっている場合もありますので、立ち入り禁止の場所には立ち入らないようにお願いいたします。

大量に捕りすぎても、処理しきれない場合もあるので、すくう量は、各ご家庭で食べられる範囲にとどめておきたいところです。

ホタルイカすくいを未来へ残せるようにご協力お願いいたします。


※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。