釣果投稿サイト「アングラーズ」が主催する、アングラーズ公認釣り師制度「アングラーズマイスター」。釣りへの熱い情熱と卓越した技術で活躍するエキスパートアングラー。今回は、このアングラーズマイスターの栗林さんが、エギングのベーシックテクニックを解説してくれた。
●撮影/文:栗林拓也
栗林 拓也(くりばやし・たくや)
長崎の暴走クリエイター。デジタル魚拓やセミオーダーフィッシングウェアなど、IoTを中心にビジネスを展開。アングラーとしてはライトゲームからビッグゲーム、フカセに至るまでショア、オフショアに関係なくソルト全般に精通。
かつて苦労したエギング、しかし今は、釣果率ほぼ100%!
ルアマガプラスをご覧の皆様始めまして! アングラーズマイスターの栗林拓也です! 私は長崎県に住んでおり、ルアーフィッシングからフカセ釣りまで、ジャンルにこだわらず、様々な釣りを楽しんでいます。今回は、私も凄く苦労した「エギングでの最初の1杯を釣る方法」について、解説していこうと思います。
エギングを始めたばかりの頃、沢山の本を買い漁って勉強し、youtubeやネットの記事を見て実践してはみるものの、なかなか釣果には結びつかず、最初の1杯を釣り上げるまでに、実に1年以上かかったという経験をしています。
そんなセンス皆無の私ですが、今ではエギングに出かけるとほぼボウズはなく、サイズは様々ですがアオリイカ釣りを楽しめております。また、職業柄色々なアングラーのガイドをやることもあり、その際もアオリイカに関してはほぼ100%と言っていいほど、釣果に結びついているという実績を持っています。
エギングにおいて中々釣果を上げられないという方は、是非この記事を参考にして挑戦してみてくださいね!
最初の1杯を手にする上で、一番重要なのは「場所選び」
今回の内容はあくまでも初心者のみなさんを対象にしています。エギングに挑戦しているけれど、なかなか釣果が出ないという方向けの内容です。上級者にとっては、当たり前の内容になりますので悪しからず。
まずインターネット等で「エギング 初心者」等検索すると必ず「シャクリ方」がヒットします。確かにエギングにおいてシャクリ方は非常に重要な要素の一つですが、未だアオリイカを釣ったことのない人に、シャクリをいくら説明してもイメージするのは難しいでしょう。
なので、シャクリ方に関しては、エギングをやりこんでいって、色んなシチュエーションやコンディションで釣果を上げてからじっくり研究すればいいと、私は思っています。
では、まず何をすれば最初の1杯にたどり着くか? それは、シャクり方でもエギの種類でもなく「場所」です。
「なんだ、結局場所か…。そりゃあ、長崎は有利でしょ?」と、思ったアナタ! ちょっと待って下さい! ここで言う場所とは、地域ではなくポイント選びという意味での「場所」のことです。
物凄く当たり前のことなんですが、アオリイカがいなければ、どんなに高等なテクニックでシャクっても、どんなに優れたエギを投げても釣れないのです。では、その「場所」はどこに行けばいいのか?
その答えは、ターゲットであるアオリイカに聞いてみるのが一番の近道です。「アオリイカに聞く? どういうこと!?」というツッコミが聞こえてきそうですが、アオリイカがどこにいるかはアオリイカが一番よく知っているのです。
初心者にオススメの釣れる場所は「浅くて長い場所」
よく雑誌等には「潮通しの良い防波堤の先端」や「藻が沢山ある場所」「テトラポッド周り」等の説明をよく見かけますが、これで見つけれたら多分無茶苦茶センスある方だと思います(実際私には無理でした)。この探し方も決して間違っている訳でなく、最初の1杯を目指している方にとっての、ポイント探しの候補としては得策ではないかなといった感じになります。
私がおすすめする、ビギナーが最初の1杯にたどり着くためのポイント、それは「浅くて長い場所」です。ちょっと抽象的なので、具体的に解説していきましょう。
まず、水深ですが1~3mくらいが理想的です。また、釣りが出来る範囲が長めの防波堤なんかが最高の場所になります。これが、浅くて長い場所です。
皆さんの言いたい事はわかります。深い場所の方が魚が沢山いそうだし、当然アオリイカも沢山いそうなイメージはあるでしょう。そして実際そうなのかもしれません。ですが、アオリイカが沢山いる場所とアオリイカがエギで釣れる場所(アオリイカに会える場所)は違うのです。
あと「動き回るよりもピンスポットで粘った方がいいんじゃないか?」という考え方もあります。しかし、その釣り方で大型を狙うのも勿論アリですが、今回は最初の1杯に出会う為の釣り方ですので、初心者にはかなりハードルが高い釣りになります。
「捜索範囲=広さ×投げる回数」
エギングで最初の1杯を釣り上げる為には、出来るだけ沢山のアオリイカとエギを出合わせる事が最大の近道です。その「沢山の出会い」を比較的簡単に演出できるのが「浅くて長い場所」という事です。
水深があり流れが速い場所ですとかなり広範囲に探らないといけないので、時間もテクニックも知識、経験も必要になってきます。また、アオリイカを探す際に“探しムラ”が出てくる可能性が非常に高いです。
水深10mの堤防ですと10m×防波堤の長さが探す範囲となります。これに潮流が絡んでくるので、相当難易度が高いのがお分かりになられると思います。分かりやすく書くと、潮通しの良い水深のある防波堤の先端であれば「捜索範囲=水深×潮の流れ×広さ×投げる回数」となります。
一方、水深の浅い潮のゆるい場所ですと「捜索範囲=広さ×投げる回数」となり、探す範囲が極端に少なくなり効率よく打っていけます。
浅い場所を1カ所2~3投でアオリイカの姿が見えなければ横に少し移動してまた2~3投すると行った感じでランガンし、浅い場所を横に横に広範囲に探って行きます。広く浅くといったイメージです。
どのくらい浅い場所を探すかといいますと、底までバッチリ肉眼で見える水深の場所がおすすめです。
エギをあえて着底させないことで、根掛りを回避
実際に今でも私の釣果は8割は浅いシャローエリアでの釣果になります。水深の浅い場所をテンポよく広範囲に探って行くことで、1カ所でエギングするよりもはるかにアオリイカに出会える可能性(アオリイカがエギを見つけてくれる可能性)が高くなります。
また、見えているアオリイカを相手に釣りをすることで、水深のある場所でもエギの動き方やフォローの姿勢、アオリイカがエギを抱くタイミング等様々な情報を得る事が出来、エギングにおけるスキルがかなりアップすると思われます。
シャローエリアでエギングをする場合の注意点として、根掛かりがあります。これは、水深が深くても起きますが、浅い場所だと根掛かりの可能性はさらに高くなるので対策が必要になってきます。
根掛り回避対策としては、1投目以外はボトムを取らないことです。1投目8カウントで着底した場所ですと、次からは6.5~7カウント程度でシャクリ始めます。
シャローエリアでは、アオリイカがいればボトムでも水面でもエギに気付いてくれるので、あえてボトムを意識する必要はありません。水深の把握のため最初に着底させれば、後は底を取らないようにすることで、根掛かりの確率を大幅に減らせます。
また、サイトフィッシング(アオリイカを見ながら釣りをするスタイル)が中心になるので、偏光グラスは必需品となりますので是非ご用意ください!
エギングは初めての1杯を釣り上げる事が出来ればキロイカまですぐそこですので、是非「浅くて長い場所」を見つけて頂き、頑張って頂ければと思います。最後までお付き合い頂きありがとうございました! 長崎の暴走クリエイター栗林拓也でした。
栗林拓也さんの実釣を動画でチェック!
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