川島勉さんのブランドBETOBETOからリリースされた「HOO155F」。そのパッケージには「狙ったのはど真ん中。日本のビッグベイトゲームの新機軸」こんな一文が添えられている。全長155ミリ、自重38グラム、MHパワーのロッドで扱うという点を見ても、確かに我々がイメージするビッグベイトのど真ん中だ。そこで気になるのが、これまでのルアーとの使い分け。本記事では川島さんが過去にチューン・プロデュースしたルアーを例に解説してもらった。
●文:ルアマガプラス編集部
川島勉が携わってきたジョイントベイト
ここでは筆者のリクエストで、川島さんが監修・開発した「躱マイキー」「スリークマイキー115」(どちらもジャッカル)というルアーを並べさせてもらった。
「躱マイキー」は濱田禎二さんがプロデュースした名作ジョイントベイト「マイキー」をベースに、川島さんなりのチューンを施し製品化したもの。「スリークマイキー115」はハイプレッシャーな状況で活きるナチュラルアピールが強みのジョイントベイトだ。
川島ファンならば、これらがBOXに常に入っていてもおかしくはない、むしろ入っている確率はなかなか高いはずだ。そこにBETOBETOからリリースした最初のルアー「HOO155F」が入るとなったとき、明確な違いや使い分けを、作った本人から聞きたくなってしまうのはファン心理だろう。
躱マイキーはクランク的
最初に川島さんが語ってくれたのは、躱マイキー。ベースとなる「マイキー」よりはロールを抑えてはいるが、しっかりとしたロールとウォブルをともなう。カバー攻略に特化させた、いわばクランクベイトだそうだ。障害物回避能力に優れ引っかかりにくいので、カバーでは非常に使いやすい。アクション的には3つの中で最も強いルアーとなっている。
■アクション
ウォブル:強
ロール :強
川島「躱マイキーは、ヘッド側の動きにテールが追従する。そのテールのアクションは、水をかき分けるような感じ。テールが強く水を押すのでアピールも高くなっています。強い濁りが入った状況なんかが得意ですね」
スリークマイキー115はシャッド的
次にスリークマイキー115。タイトなアクションで魚にプレッシャーを与え過ぎない。そのためシャッドのようにナチュラルに使える。強くはないが魚を惹きつけるアクションで、カバーから少し離れたポイントや、オープンウォーターでもバイトを誘えるという。アクションの強さで言うと、最も弱くナチュラルなルアーだ。
■アクション
ウォブル:中
ロール :微弱
川島「スリークマイキーのテールの動きには、水押しとは異なる特徴があります。テールに力を持たせないようにしました。メインボディの動きに追従するテールは、水を押すのではなく、受け流す。食わせに寄せたルアーなので、魚の反応は多いですね。サイズは選べませんが」
HOO155Fはアクションの質が大きく異なる
そしてHOO155F。強弱で言えば、躱マイキーほど強くはないが、スリークマイキーほど弱くもない。フラットサイドを活かすため、アクション的には控えめなロールにウォブルをともなうが、そもそも動きの質が独特なのだという。
■アクション
ウォブル:中
ロール :弱
川島「どんな状況でも使ってもらってOKです。単純なアクションの強さでいえば、中間にはなるんですが、そもそもテールのアクションの質というか、根本が違います。テール部分がメインボディと全く違う動きをする。ヘッド側の動きを受けてテール側が追従せず、テール自から別の意思を持って泳いでいるような感じです」
そのアクションは唯一無二
躱マイキーとスリークマイキーは、アクションの強弱の違いはあれど、テールはメインボディの動きに追従する。いわばメインボディの延長だ。
一方、HOO155Fは、メインボディの動きを受けて、テール部分が独自のアクションをする。メインボディとジョイント部分で繋がってはいるが、その動きは別物なのだ。
このような、ジョイントの前後のボディで異なるアクションをするルアーは前例がなく、魚を釣るためのルアーとして、唯一無二の力があることは、誰の目にも明らかだろう。
少しだけ想像してほしい…
そのとき、その場所、その状況において、適切なルアーをセレクトしていくことがゲームフィッシングの本質であるから、絶対に釣れる「神ルアー」というのは原則的には存在しない。しかし、それに近しいルアーというのは、古今東西わずかながら存在する。
日本で最もハイプレッシャーな湖である亀山湖を知り尽くした川島さんが作ったHOO155F。タフなフィールドのバスが思わず反応してしまう、唯一無二のアクションを誇るルアーを、あなたのホームで使ったとしたら、一体どんな結果が待っているだろう。
いつまでも記憶に残るような会心の一匹をキャッチする、そんな自分の姿を想像するのは難くないはずだ。HOO155Fは、そんなワクワクにきっと応えてくれる。