エリアトラウトは釣り場の状況で魚の活性が目まぐるしく変化する。これに対応するためには、状況に応じた設定を施した複数のロッドを持ち込み、すばやく状況に合わせるのが手っ取り早い。エリアトラウトのエキスパート松本幸雄さんに、ロッド構成3パターンとそれぞれのセッティングを伺った。
●文:ルアーマガジン編集部
松本幸雄さんの「操作系ロッド」3本とセッティング
ロッド | ライン |
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フォーナインマイスターホワイトウルフ 62MLS | RCマイスター エステル 0.35号(ロデオクラフト) |
フォーナインマイスターキメラ 603L-e | スーパートラウトエリアES2 エステルナチュラル 0.25号(バリバス) |
フォーナインマイスターホワイトウルフ 606L-e | RCマイスター エステル 0.3号(ロデオクラフト) |
このロッドでないとできない釣りがある!
ルアーに水を噛ませてアクションさせるとき、ロッドに求められるトータルバランスは、ルアーウエイトによって変化する。
松本「例えば、超軽量のBF(ブラインド・フランカー)を操作するときと、ノアBを操作するときでは、ロッドに求めるトータルバランスは変わります。BFのような軽量スプーン対応の操作系ロッドで、ノアBを操作したらロッドが曲がりすぎますから……」
そのため操作系ロッドには『重量級ルアー対応ロッド』と『軽量級ルアー対応ロッド』の2タイプが必要。松本幸雄さんにとっての重量級対応ロッドが『ホワイトウルフ 62MLS』。軽量級対応ロッドが『ホワイトウルフ606L-e』。
どちらも低伸度系ラインと組み合わせることによって、操作性能を極限まで引き出すことができるが、あえてナイロンラインやフロロカーボンラインと組み合わせて、違った表情を引き出す使い方もある。
松本「62MLS、606L-eともに汎用性が広いロッドですが、両ロッド共に、このロッドでしかできない領域があります。それが62MLSの場合、ヘビー級の誘い(操作)。重たいスプーンをスローに使うことができます。606L-eはアンダー0.9g以下のスプーンをシェイキングのように震わせてスローに使うことができます。どちらの釣り方も、進化(変化)した現在のエリアトラウトにとっては必須のメソッドです」
そして現在、さらに進化(変化)を続けているエリアトラウト事情に即して新しく必要となったのが、重量級と軽量級の中間を埋める中量級の操作系ロッド。
松本「それがキャンタ開発のキメラであって、自分が開発を進めている62LSです」
松本幸雄さんの「しっとり巻く系ロッド」4本とセッティング
ロッド | ライン |
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フォーナインマイスターホワイトウルフ 62MLR | RCマイスター ナイロン 3lb(ロデオクラフト) |
フォーナインマイスターホワイトウルフ 62L-TRZ | RCマイスター ナイロン 3lb(ロデオクラフト) |
フォーナインマイスターホワイトウルフ 62UL | RCマイスター エステル 0.25号(ロデオクラフト) |
フォーナインマイスターホワイトウルフ 62UL-e | 全ライン対応 |
動作を変えずに釣り方が変えられる2本
分かりやすくシンプルに言うと『ホワイトウルフ 62MLR』は『ホワイトウルフ 62MLS』よりも、もっと『間』が欲しいときに松本幸雄さんが使用するロッド。
松本「62MLRは、こちょこちょと誘わずに、きっちり&しっとり巻きたいときに使うロッドです。使用ルアーや対応ウエイトは62MLSに近いです」
そして62MLRよりも、さらにルアーに水を噛ませて使いたいに重宝するのが62L-TRZ通称『Lトル』。
松本「62MLRとLトルはアングラー側がやること(動作)をほぼ変えないで、釣り方を変えられる2本です。そして、しっとり巻く釣りをPEラインで行う場合に適しているのが62ULで、エステルラインに適しているのが62UL-eです。Lトルや62UL-eは誘いで使うことも多々ありますが、あえて分類するとしたら、しっとり巻く方向性のロッドに入ります。そして、しっとり巻くだけでは食わなくなったトラウトが増えてきたので、最初に紹介した、操作系ロッドを作りました」
松本「同じロッドでも、ベストなセッティングは状況によって変化します。トラウトの速度、ラインを張った状態で使うのか? または弛ませた状態で使うのか? などの複合的な要素によって、ベストなセッティングは変化します。経験を重ねるほどに、自分の釣りスタイルと状況にマッチしたベストセッティングが自然と組めるようになります。今回は初歩的な最大公約数的な一例を紹介させていただきました」
松本幸雄さんの「一点突破型ロッド」3本
松本戦略の中において特定の状況下で登場するロッド
ロッド |
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フォーナインマイスターホワイトウルフ 58UL |
フォーナインマイスターゴールドウルフ 633UL |
フォーナインマイスターイエローウルフ 61UL-ST |
アタリを出すまで! アタリを出したあと!
ここで登場するロッドは、松本幸雄さんの全戦略の中で、トーナメントなどの極限状態において、松本さんが、ピンの状況を一点突破で切り開くときに、助けてもらっているロッドたち。アングラーのスタイルと状況が変化すれば、もちろんベースロッドにもなり得る幅の広さを持ち合わせているロッドでもある。
松本「あくまでも自分の場合です。中距離以下の乱打戦になったときには、ホワイトウルフ 58ULに助けられています。PEラインを組んでボトムなどの寝技系で多用するのが、ゴールドウルフ 633ULです。エステルラインを組んで寝技系を行うときには、イエローウルフ 61UL-STを使用しています。ちなみに62MLSはアタリを出しに行くまでに多用するロッドです。アタリを出しに行く……さらにはアタリが出た後にミスを減らす……その両方にバランスよく対応しているロッドがホワイトウルフ 62MLRや、現在キャンタが開発しているキメラ62ML(プロト)です」
松本幸雄さんのプロフィール
松本幸雄(まつもと・さちお)
ホワイトウルフ開発者、ロデオクラフトスーパーバイザー。バリバスフィールドテスター。タレックスモニター。オプトさいとうフィールドテスター。伝説的エリアロッド『ホワイトウルフ』シリーズ開発者にして、ウッサ、BFの開発者。
誰からの影響も受けていない、超個性派理論は「独創性」に富んでいる。一見「奇想天外」に思える松本理論も、実は王道を直撃しているため、のちにエリアの常識として定着することが多い。エリア業界に数多くの「常識」と「定説」を築き上げた、影響力マックスのプロアングラー。
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- 発売日:2022年11月16日
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