『Mr.釣りどれん』裏話満載超ロング対談! とだ勝之さん&村田基さん&講談社編集猪熊泰則さん

2024 シーバス特集

ミス釣りKeyword4「バスブーム」

バブル経済が崩壊後に突如訪れた『バスバブル』

その後、何の知識もなく、とだ先生と編集スタッフは霞ヶ浦水系釣行へ。「何をやっても全く釣れない(笑)」状況に音を上げ「これはプロに聞くしかない」と、前述の同船釣行へと繋がっていく。

とだ「シロートが初めてのバスフィッシングで真冬って(笑)。ホント何もわかってないって怖いですよね(笑)」

猪熊「で、連載開始がその6月ですね、ウィキペディアによると(笑)。何でも簡単に分かる時代は便利ですね(笑)」

とだ「連載を始めるに当たって思い出すのは、猪熊さんに言われた言葉がありましたね」

猪熊「『月刊マガジンの読者さんの9割が釣り未経験だと思ってください』と」

とだ「幸いにも僕自身も釣り未経験だったので、読者の皆さんと一緒にルアーフィッシングってこんなに面白いんだよねってことを描いていきました。キャラクターたちが徐々に釣りが上手くなっていって、知識が増えていろんな場所へいって、そして友達が増えてと(※注16)」

「注16 そして友達が増えて」

最終話に込められた釣りどれんの大テーマ。

読み返すと涙がこぼれ落ちそうになる最終巻・第17巻。釣りを通じて知り合ったすべてのキャラクターが総動員で、カイザーと彩子先生の結婚式を祝う。やっぱ釣りってサイコー、友だちはサイコーだ。

猪熊「時代にマッチしたのもあるんでしょうけど、読者の皆さんが釣りって楽しそうだなってことは感じていただけたのかなと思うんです」

今読んでも色褪せることなく、その楽しさが伝わって来る。改めて釣りどれんを読み返すと、コーイチくんが主人公であることに気付く。チョー太くんではない。記憶とは実に曖昧だったりする……。

とだ「僕はコーイチくんのモデル? んー、どうでしょう。釣りをやってもやっても上手くならないので、多分、かすみちゃんかもしれないですね(笑)。主人公は読む人によってそれぞれなんですよね。コーイチくんなのか、チョー太くんなのか。最初のほうはもちろん、最後のほうではやっぱりコーイチくんが主人公だったんだなってことがわかりますけど」

当初は高校1年生だが、2年生のまま約6年(!?)

日曜18時30分の長寿アニメほどではないが、釣りどれんのキャラクターたちもまた加齢しない。リアルであれば大学を卒業する年度まで進んでいるはずの連載期間。第12巻で3年生に進級したかと思いきや…再び2年生に。

村田「95年っていうと、ちょうど『もっともっとバスは釣れる(※注17)』が発売された頃だね。確か3月だったかな。VHSビデオの販売チャートで安室奈美恵ちゃんが1位で俺が2位。前年の『もっとバスは釣れる』ではJリーグ開幕のビデオが1位で俺が2位。96年の『スーパーもっとバスは釣れる』ではディズニー映画が1位で俺が2位。3年連続で万年2位って言われてた頃だね(笑)」

「注17 もっともっとバスは釣れる」

村田さん主演の大人気作。完全無欠のJapan Style。

もっと、もっともっと、スーパーもっと、ウルトラもっと……と続き、FINALの12巻まで続いたビデオシリーズ(シマノ刊)。釣りビデオとしては国内で最も多く発刊されたと推定。劇中では、貝沢潮の著書として『カイザーのさらにバスは釣れそう』が登場している。

まさにバスブーム! 古き良き時代!

ところで、 Mr.釣りどれんは全巻で何万部を発行したのだろうか。気になるところだ。

猪熊「正式には計算していませんが、第1巻は累計で20万部くらいになっていたはずです」

とだ「初版が5万部ていうのが当時の基本で、どんどん増刷されていって多い時で初版10万部もありましたね。驚くべき数字? いや、月刊マガジンのトップクラスのマンガは初版70万部とかでしたよ」

猪熊「修羅の門とか、DEAR BOYS(※注18)とかですね。確かに、そういう時代ではありましたね」

「注18 修羅の門、DEARBOYS」

月刊少年マガジン連載。当時の人気作品たち。

2000年前後で月マガと言えば……の作品たち。前者は格闘漫画、後者はバスケ漫画。とだ先生は釣りどれん以前に、月マガで野球漫画『あきら翔ぶ!!』を連載。先生の地元、広島県の瀬戸内海を舞台とした作品で全19巻だ。

とだ「なので10万部と言われても、さほど売れてるようには感じませんでしたね。今となっては凄かったのかなと思いますけど」

本編にはあのトッププロ(らしき人)も登場!

立木志成(たちき・しなり)。その語感からもすぐにわかるモデルは並木敏成さん。第14巻の劇中に登場。オマケマンガにはリアルネームで田辺哲男さんや西條亜弥さん(※並木さんの奥方)、児島玲子さんなどが登場している。

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