超人気エリアトラウト強波動スプーン『フォルテ』の釣れる秘密と使い方を伊藤雄大さんが解説

普段の釣りで、我々が対峙するのはそのほとんどが「中間活性(通常の状態)」だ。そんな現代のエリアシーンにおいて近年特に注目を浴びているのが強波動スプーン。ここではそんな強波動スプーンの代名詞的存在「フォルテ」の釣れる秘密、そしてその使い方についてベルベットアーツの監修の伊藤雄大さん伺った。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 シーバス特集

フォルテ、必釣の魔力を宿すものクランクベイトに最も近いスプーン

未知の領域へと踏み込むベルベットアーツの挑戦

管理釣り場ドットコムで前人未到の5年連続総合優勝。そしてトラウトキング選手権大会でもトップマイスターを獲得するなど、競技者として幾度となく頂点を極めてきた伊藤雄大さん。そんな伊藤さんが21年に設立したのがベルベットアーツだ。

伊藤「18年にフルタイムのプロアングラーとして活動をはじめ、釣りへの理解度が格段に深まった。なかでも、エリアの魅力は尽きることなく、やり込むほどに新たな発見がありました。それから数年が経ち、特に最近は自分のなかでさらに1歩踏み込んだ領域にまで到達した実感があった。その手応え、その経験を何らかの形にしたいという気持ちが芽生えたんです。それが自分でメーカーを立ち上げたきっかけでした」

そして昨秋、それがついに形になった。待望の強波動スプーン、フォルテがリリースされたのだ。

「フォルテ=強波動」いまなぜ波動系なのか

フォルテとは、演奏記号において「強く」を意味する符号だ。その名のとおり、フォルテは強波動を生む。ではなぜ強波動スプーンを作ろうと思ったのか。

伊藤「普段の釣りって、ほとんどの時間帯は中間活性でしょ!? 高活性でも低活性でもない普通の状態がひたすら続くわけです(笑)。たまに放流があっても、それから数十分もすれば魚の活性は徐々に落ちていき、やがて普通の状態に戻る。反対に、極端な低活性に出くわすこともまずない。アングラー同士で『今日はシブいね……』なんて会話をしているのをよく耳にしたりもしますが……実際はそんなことないんです。厳しい言い方をすれば、それは魚の位置や状態が読めていないだけ。状況に合ったルアーを投げれば、普通に釣れる場合がほとんどなんですよ」

伊藤さんいわく、そんなエリアの日常=中間活性において、魚に対して最も効率的にアピールできるルアーのひとつが強波動スプーンなのだという。そこで強波動スプーンの代名詞、フォルテの釣れる秘密を解説してもらおう!!

フォルテ(ベルベットアーツ)

フォルテ 0.9g

探れるマイクロスプーン。全長20.2mmの小粒サイズながら、クラス最強のブルブル感を誇る。

フォルテ 1.8g

深めのカップを採用しており、強烈な波動+手応えのある操作感を獲得。泳ぎ出しもクイックだ。

フォルテ 2.1g

1.8gと同じサイズだが、板に厚みを持たせているのが特徴。遠投性能を生かし沖も探れる。

管理釣り場ドットコムで5年連続総合優勝、トラウトキング選手権でトップマイスター獲得という前人未到の記録を打ち立てた伊藤雄大さんが開発した強波動スプーン。フォルテの基本コンセプトは全モデル共通。釣り場の規模に合わせてウエイトを使い分けよう。現在は0.9g、1.8g、2.1gの3モデルが発売中。また詳細はまだ発表できないものの、フォルテの各ウエイトの隙間を埋めるラインナップの拡充、そのほか別モデルの開発も進めている……らしい。乞うご期待!!

バイトがいつまでも持続する安定アクションのルアーパワー

魔力を持つフォルテ魚が一線を超える理由

伊藤「ルアーを開発するとき、設計上のアクションを出すのは実はさほど難しくない。スプーンのここを曲げればこうなる、ここを伸ばせばああなる。それは物理法則なので、人間が比較的容易にコントロールできる部分なんです」

しかし、ルアー作りはここからが難しいと伊藤さん。頭で思い描いた泳ぎが出たからといって、それで終わりではないのだ。

伊藤「結局のところ、魚がそれを気に入って食べるかどうか。設計上のアクションが出ているかなんて、ルアー作りの最低条件に過ぎない。それを達成したうえで魚の本能を狂わせる『何か』を持っているものを作らなければならない」

理屈を超えた何か。伊藤さんはそれを魔力と呼んでいる。ルアーに宿る不思議な力。それを言語化するのはなかなか難しい。

伊藤「誤解を恐れずにいえば、ルアーをエサとして認識させる力があるかどうか。エサが発する振動とルアーが発する振動が似ていれば魚のバイトを引き出せるし、少しでも違和感があれば途中で食べるのをやめてしまう。ルアーにそんな魔力を宿らせるため、開発中はひたすらハンマーを振るってプロトを作る毎日でした(笑)」

伊藤さんが納得できるまで徹底的にテストを重ねる。それがベルベットアーツのスタイル。

伊藤「エリアトラウトを20年近くやってきて、競技の世界では何度も頂点に立った。その経験のなかでルアーの性能を見極める力には絶対の自信がある。それが僕の強みだと思った。だからこそ、これぞというプロトができたら、僕はその良さに絶対気づくはずだと。そう信じて作り続けました」

魔力を引き出すハンマーのひと振り。人智を超えた奇跡のフォルム。そしてできあがったのがフォルテ。その釣獲能力はいまや誰もが知るところ。一切の妥協を許さずに作り上げた、必釣の魔力を宿す強波動スプーンなのだ。

スプーンとクランクの間を埋める新感覚ルアー

では、フォルテが中間活性時に有効な理由とは何なのか。フォルテは、低速から中速巻きによる安定アクションが特徴的だ。

伊藤「アクションに瞬間的なイレギュラーが交じることで捕食スイッチを入れようとするルアーはたくさんある。でも、それらは基本的に高活性時に有効なタイプなんですね。それに対し、魚のヤル気が落ちてきた状態では、フォルテのような安定アクションのほうが口を使わせやすいんですよ」

もうひとつ、中間活性攻略時にキーとなるのが強波動だ。

伊藤「水押しをともなう強波動には、魚の側線を刺激する効果がある。マッディでもルアーの存在を気づかせやすかったり、離れたところにいる魚にもアピールしやすい。横方向だけでなく、縦方向にも魚を寄せるパワーがある。スプーンの釣りはレンジ合わせが重要なんですが、強波動を発生するフォルテなら、レンジが多少ズレたところで相手から寄ってきてくれるほど。個人的にフォルテは、『クランクベイトに最も近いスプーン』だと思ってます」

伊藤「人間の感覚にはスゴいところもあるけど、当てにできないところもある。自分に都合のいいように捉えちゃう。だからこそフォルテは時間をかけて徹底的にテストした。現場主義を大切にしているんです」

最近は、放流をスプーンで釣ったら、すぐにクランクベイトにシフトする、そんなスタイルも見かけるようになったと伊藤さん。

伊藤「確かにその作戦は悪くないし、それなりに釣れる。ただ僕としてはその間にできることがもっとあると思っている。スプーンの釣りからクランクベイトの釣りへ、そんなにスパッと切り替わるわけじゃない。『う~ん、どっちかな……』なんて曖昧な時間がそこそこ続くわけです(笑)。スプーンとクランクベイトの間を埋めるルアーがあれば、それは必ずや武器になる。それがフォルテなんです」

ベルベットアーツは徹底的な現場主義を貫く

使いやすさも重要な性能

フォルテは、使いやすさにもこだわったと伊藤さん。

伊藤「風が吹いたり、流れがあったり。競技者であれば、試合中に緊張してしまい、本来の力が出しきれない状況に陥ったり……。釣りをしているといろんな場面に出くわします。そんなとき、アングラーを助けてくれるようなルアーを目指しました。そもそもスプーンは操作感が少ない。そのため『自分が今何をしているのか』という感覚を失いがち。でもフォルテは操作感があるからルアーの位置なり泳ぎなりがわかりやすいんです」

使いやすいルアーとは、ユーザーフレンドリーなだけでなく、多くの場面で「釣りの精度が高まる」ということでもある。操作しやすいルアーを使えば、結果的に釣りの再現性も高まるのだ。

厳選カラーラインナップ

伊藤「フォルテのカラーラインナップは、毎回ドラフト会議みたいなのをやって決めてます(笑)。先発エースだけじゃなく、中継ぎや抑えも必要です。キャッチャーやショートもほしい。ホームランバッターだけじゃなく、バントの名手もいなきゃダメ。かといって、あの色もほしいこの色もほしいとやっていると際限がなくなっちゃう(笑)。だからこそ1モデルにつき全20色。これまでの僕の経験から、1日を通してどのカラーにも必ず出番がある。そんなラインナップになってます!!」

伊藤「これからエリアの釣りをはじめる人は、まず20色のなかから適当に3~4色を選んじゃいましょう。やがて自分で作戦が組み立てられるようになったら、徐々にカラーを増やしていけばOK!!」

伊藤さんの参考タックルデータ

フォルテのウエイト別にそれぞれおすすめタックルを挙げてもらった。0.9gはLパワーのローズ612L。2.1gはMLパワーのローズ623MLを選択。そして中間の1.8gは、「どちらのロッドでも投げます」とのこと。こちらはどんな釣りにも使えるオールラウンドな性能がウリだ。

「写真右」フォルテ/0.9g+1.8g用

伊藤「感度を優先するなら、低伸度+ダイレクト操作が魅力のスーパーエステル。遠投時や数釣りの衝撃吸収性を重視するなら、しなやかなES2を使います」

項目タックル
ロッドローズ 612L・プロト(ベルベットアーツ)
リールイグジスト LT2000S-P(DAIWA)+ファンネル 45mm(リヴァイブ)
ラインスーパートラウトエリア マスターリミテッド「スーパーエステル」0.3号
スーパートラウトエリア ES2 0.3号(バリバス)

「写真左」フォルテ/2.1g+1.8g用

伊藤「2.1gを投げるときは、パワーのあるタックルがおすすめ。パワーを生かして遠投したり、遠くの魚を掛けたり、ハイテンポな釣りが可能になります」

項目タックル
ロッドローズ 623ML・プロト(ベルベットアーツ)
リールイグジスト LT2000S-P(DAIWA)+ファンネル 45mm(リヴァイブ)
ラインスーパートラウトエリア ES2 0.4号(バリバス)

超高活性と超低活性以外は対応迷ったら投げたいオールラウンダー

中間活性にマッチさせた低速~中速セッティング

先にも触れたとおり、フォルテは中間活性攻略に最適化されている。そのため、巻き速度は低速から中速がおすすめ。伊藤さんのセッティングでは、1秒/ハンドル1回転が中速巻きの目安となる。

伊藤「あまり速く巻きすぎると、泳ぎが乱れるので注意しましょう。対してゆっくり巻くときは、斜めにじわじわ沈んでいくほどのスピードでも強波動を発しながら泳いでくれる。魚がルアーに気づいてから寄ってくるまでの『タメ』を作れるので、魚の活性がかなり落ちてきた状況でも十分使えます」

発売と同時に売り切れが続出したフォルテ。即買いレベルの人気ぶりは誰もが知るところ。

伊藤「多くのアングラーにコンセプトが理解されたのは本当にうれしかった。普段の釣りはもちろん、最近ではトーナメントで使ってくれている選手をよく見かけるようになりました。そんな場面を見ると、クラフトマンとして誇らしい気分になりますね」

伊藤雄大さんのプロフィール

伊藤雄大(いとう・ゆうだい)

ベルベットアーツ代表。バリバスフィールドテスター。ノリーズフィールドスタッフ。リヴァイブフィールドテスター686Ambassador。マイクロスプーンからミノーイングまで死角なきプロアングラー。徹底した実釣主義から誕生した理論&メソッドは影響力マックス。トーナメントでの強さからエリア界の絶対王者の異名を持つ。

ベルベットアーツとは?

ベルベットアーツ

トーナメントシーンで圧倒的な戦績を誇り、その強さから「絶対王者」の異名をとる伊藤雄大さんが2021年に設立したブランド。キャッチフレーズは「夢と共に征け(Walk with dreams)」。

同年秋にフォルテ1.8gをリリースすると、空前の大ヒットを記録。たちまちスタンダードスプーンの仲間入りを果たした。

現在は同0.9g、同2.1gが発売。さらにはプロトスプーン、プロトロッドも鋭意開発中。最新情報は公式Webサイト(https://www.yudai-fishing.com)をチェック!!

取材協力 須川フィッシングパーク

須川フィッシングパーク

静岡県の北東部、小山町にある管理釣り場。富士の湧水を利用しており、水質はクリア。

大小のポンドには、ニジマスを中心にフレッシュな魚がたくさん放流され、魚の反応を見ながら大興奮のサイトフィッシングが楽しめる。

木曜・金曜定休(木金が祝日の場合は、翌週の月曜が休み)。

項目情報
所在地〒410-1304 静岡県駿東郡小山町藤曲1026-1
電話番号090-8187-5327
営業日時夏場:07:00~17:00
冬場:08:00~16:00
木曜日・金曜日定休(祝日の場合翌月曜日休み)
レンタルタックルあり
Webサイトhttps://www.sukawa.ne.jp/

『ルアーマガジン・マス王4』発売情報

『ルアーマガジン・マス王4』

エリアトラウト・シーズンイン! といえば『鱒王』。ガチのシークレット深掘りで分かりやすく最前線をお届け!

表紙はアーティスト「NAMIKO」さん作のド迫力作品が目印…🐟 エリア猛者&注目アイテム、今シーズンの主流だけを取り揃えました! 発売です。冬の管理釣り場に必携です。

  • 発売日:2022年11月16日

※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。