西日本を中心に、放流によりその数を増やすキジハタ(地方名:アコウ)。この魚が、ゲームフィッシングのターゲットとして、にわかに注目を集めている。この記事では、そのキジハタを始めとしたロックフィッシュ全般を狙うために新たに開発されたラグゼ 寧音について、プロデュースを担当した藤原真一郎さんに詳細を解説して頂いた。
●文:ルアマガプラス編集部 ●写真提供:がまかつ
藤原真一郎(ふじわら・しんいちろう)
激戦区大阪泉南をホームとし、全国各地のフィールドでも数々の実績を上げるライトゲームのスペシャリスト。現場での豊富な実釣経験を持つ行動派でありながら、魚の生態に関する学術書を読み研究する頭脳派でもある。ラグゼのプロスタッフ。
キジハタの放流に積極的に取り組む大阪府。2021年には稚魚10万尾を大阪湾に放流
「最近、キジハタが増えてきている」という話題は、数年前から、釣り人の間でよく言われるようになってきた。実際、大阪府は2021年に、大阪湾の広範囲にキジハタ(アコウ)の稚魚を、合計10万尾放流している。
大阪府の水産課では、3年で全長約30cm・約500gまで成長することを見込んでいる。現在、放流から2年が経過しようとしているので、今後、大きく成長したキジハタに出会える機会が増えてくる可能性は十分あるだろう。
プロアングラーとしても活躍する藤原さんも、キジハタなどのハタ類が増加傾向にあるということを、日々の実釣で実感するという。
藤原「最近は大阪湾をはじめ、西日本でキジハタが増えています」
その傾向は北陸や山陰地方でも見られ、九州から関東の太平洋岸ではアカハタなどのハタ類が急増。三陸をはじめとする東北のアイナメや、北海道に至ってはロックフィッシュの種類や数も豊富なことでも有名だ。日本沿岸の身近なフィールドで楽しめる根魚は多いと言えるだろう。
根魚ゲームの新ジャンル“ライトウエイトロック”とは?
ロックフィッシュゲームといえば、磯で1ozのヘビーなリグを投げるようなハードロックのイメージが強い。一方で近年は身近な堤防や小磯でキジハタなどのハタ類が手軽に狙えるようになり、その釣りに新たな戦略を導入して楽しんでいるのが藤原さんだ。
藤原「ライトゲームの延長線上にあるミドルゲームの一つですね」
ミドルゲーム?
藤原「例えばライトなメタルジグを投げるキャスティングゲームなどです。それと同じようにライトウェイトなリグを使うと、波止や水深のある港周りなど身近なフィールドで釣れるロックフィッシュは意外と多いです」
アジングのゲストでカサゴが釣れることも良くあります。
藤原「軽いリグが扱える高感度なタックルだから喰わせられる。でも繊細なアジングタックルで40cmオーバーのキジハタを狙って獲るのは難しいですよね」
喰わせまではできるとしても…。
藤原「ライトゲーム感覚の緻密さや感度でハードロックに迫るサイズのターゲットが狙えるミドルゲーム。それがライトウエイトロックで、そのために作ったロッドが寧音です」
寧音と書いて“ねね”と読む。根魚用とは思えない、見るからに軽くてシャープそうなロッドですね。
藤原「丁寧に探って水中やボトムの様子を聞く。そういう意味で名付けられた軽さと感度にこだわったロッドです」
根魚にとって戦々恐々のロッドになることは間違いなさそうだ。
ライトウェイトロックでもベイトタックルは譲れない
荒磯や沖磯で楽しむハードロックフィッシュゲーム。険しいボトムをタイトに攻め、大型根魚を狙うためロッドもラインも強めのベイトタックルが欠かせない。このハードロックのタックルを身近な堤防や小磯に持ち込むと明らかにオーバースペック。
藤原「高感度なタックルで丁寧に探るほうが良く釣れます。ただ相手は根魚なのでベイトタックルのトルクのある巻き取り力が欠かせません」
初めて寧音を見てスピニングロッドと思った人は多いはず。そう思わせる寧音の特徴の一つがトリガーレスグリップだ。これは、軽さと感度を追求した結果だと、藤原さんは解説する。
藤原「リールシートはオリジナルの超薄カーボンパイプを使っています。より軽く、高感度に仕上げたかったのでベイトロッドに当たり前のようにあるトリガーをなくしました」
握り心地が気になりますが?
藤原「リールシートのフードの凹凸もあるし、シート後方はキャスト時に抜ける方向へ滑らない樹脂の目にするなど、細かな設計がなされてきっちり握れます。またトリガーレスにすることでパーミングの自由度が増して、感度と操作性が上がります」
緻密に攻めて確実に獲る! シャープさとパワーを両立
寧音の特徴はトリガーレスグリップだけではない。ルックスでわかるのがガイドセッティングだ。
藤原「スパイラルガイドを採用しています。通常、ベイトロッドはガイドが上に付きますが、曲げたときにラインがブランクスに干渉しないように多点のガイドセッティングになります。ガイドの数が増えれば、当然ロッドの自重が増します」
軽量化のためのスパイラルガイド?
藤原「そうです。スピニングロッドのようにガイドが下向きならロッドを曲げてもラインがブランクスに触れることなく、ガイドの数が減らせます」
しかもベイトロッドでバットガイドからシングルフットというのも特徴的です。
藤原「違和感を覚える方がいるかもしれません(笑)。実は何年も前から宵姫華などのアジングロッドやライトゲーム用スピニングロッドにベイトリールをつけて使っていました。バットガイドを上に向け、ティップ側を90度傾けて継いだセミスパイラル仕様で」
それが寧音の原点に?
藤原「実際に何もトラブルなく使えたし、なおかつ感度や軽快さはベイトロッドとしてはほかに類を見ない使用感が得られました」
それを根魚用にブラッシュアップしたのが寧音で、ライトウェイトロックという新たなジャンルを確立したというわけだ。
藤原「軽量リグを繊細に扱い、ソリッドティップでしっかり喰い込ませることができます。でもターゲットはロックフィッシュなので、ブランクスは曲がるけどかけた魚を浮かせるパワーもある。テストではPEライン0.8~1号で50cmアップのキジハタを100%のキャッチ率で獲っています」
オールシングルフット&スパイラルの攻めたガイドセッティング
ガイドはチタンフレーム+トルザイトリングを採用。オールシングルフットのスパイラルセッティングというのも寧音の大きな特徴だ。
藤原「ガイドセッティングは軽さと感度を追求した結果です。ライントラブルもないし、キャスト時の糸通りも通常のベイトロッドと遜色ありません」
操作性と食い込みを両立するソリッドティップを搭載
ティップは全機種に高弾性ソリッドを搭載。
藤原「リグの操作性と感度を高めるにはティップの張りが必要。根魚が喰ったときに違和感を与えない追従性も持たせています」。繊細に誘って違和感なく喰わせられる。根魚にとって天敵となり得るロッドだ。
曲がりつつ魚を浮かせる調子とパワーに設定
ブランクスは高弾性カーボンを採用。軽さ、感度のほかに藤原さんがこだわったのが「曲がりつつ反発が得られる調子」だ。
藤原「ライトウエイトロックはPEライン1号以下、細軸フックを使うこともあります。ロッドが曲がらないとハリが伸びる。あるいはロッドの強さでちょっとした根ズレでラインが切れるリスクが高まります。逆に曲がるからこそ強気のやりとりができる。柔能く剛を制すロッドです」
またもや、藤原真一郎さんがとんでもないロッドをプロデュースした。釣りフェスティバル2023でお披露目となった、ラグゼ「寧音」。見た目はこれまでの宵姫シリーズに近いので、てっきりアジングロッドかと思いき[…]
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