最短距離で釣果にたどり着くための方程式は「自分の基本ルアーを作ること」【アングラーズマイスター】

釣果投稿サイト「アングラーズ」が主催する、公認釣り師制度「アングラーズマイスター」。釣りへの熱い情熱と、卓越した技術で活躍するエキスパートアングラーが選出される。今回は、このアングラーズマイスターの栗林さんが「釣果への近道」というテーマで、釣りを解説してくれた。

●写真/文:栗林 拓也(アングラーズマイスター)

2024 シーバス特集

栗林 拓也(くりばやし・たくや)

長崎の暴走クリエイター。デジタル魚拓やセミオーダーフィッシングウェアなど、IoTを中心にビジネスを展開。アングラーとしてはライトゲームからビッグゲーム、フカセに至るまでショア、オフショアに関係なくソルト全般に精通。

果たして、釣果に近道はあるのか…?

ルアマガプラスをご覧の皆様こんにちは! アングラーズマイスターの栗林拓也と申します。前回はエギングの初歩的な場所選びの記事を書かせて頂いたのですが、凄く沢山の方に読んで頂いたようで、本当にありがとうございます!

【前回の記事】

私は長崎県という非常に恵まれたフィールドに住んでおり、エギングをはじめフカセ釣り、オフショアジギング、キャスティング、カヤックと四季を通じて様々なジャンルの釣りを楽しんでおります。

そんな私がこれまでの釣り人生の中で体験体現してきた「釣果への近道」を今回は皆さんに紹介したいと思います! ただし、あくまでも私が実際に体験してきた事ですのでこれが正解ということではなく「ふ~ん」という程度で読んでもらえれば幸いです。

皆さんはメーカーさんのホームページや釣りの上手い人や釣りのプロと呼ばれる人のyoutube等で、ルアーや仕掛けに関して情報を得ることが多いかと思います。雑誌や新聞からしか情報を得ることが出来なかった時代に比べると、格段に手軽に多くの情報が得られる現在は本当に便利ですよね。ただ、便利だからこその落とし穴も…。

よくフィールドやルアーの説明時に「ここは水深が深いのでこのルアーで」「潮が速いのでこのエギで」「浮力を安定させるために、少し重めのウキで」など海や川の状況に応じて、仕掛けやルアーを変更する場面を見かけます。皆さんそれを見て「なるほど試してみよう」と思われるはずです。

情報を得てそれを実践してみる。これ自体は非常に素晴らしく逆にこれがないと上手くならないとも言えると思います。

ただ…その情報は自分ではなく他人の感覚に準じた情報ではありませんか?

「自分の基本となるルアーを持つこと」が、釣果への近道

わかりやく言うと「水深が深いとは何mから?」「潮が速いとは何ノット?」「浮力が安定しない理由は?」といったように、皆さんが思う深い水深と、youtube等で説明されている深い水深って同じではないと思いませんか?

5mを深いという人もいれば10mまでは浅いと思う人もいて当然だと思います。普段釣りをしているフィールドによって条件は全然違ってきますし、日によって状況も全く違うのが、自然を相手にした釣りという遊び。

ではどうすればよいのか? プロが説明していたフィールドに合わせたルアーローテーションは参考にならないのか? 魚に近づくためにはどうすればよいのか? 私が、これまでの「釣生」の中でたどり着いた答えは「自分の基本をしっかり持つこと」。これこそが、釣果へ最も早くたどり着ける近道だという結論に至りました。

「自分の基本って何!?」

そう思われる方も多いかもしれません。自分の基本とは何か? これは、簡単に言えば、自分が最も信頼し、使い方を理解しているルアーやエギ、ということになります。

左から「koinobori popper200(スカイグレイ)・バイブフォール(ワンナック販売)・ダートマスター ラトル3.5号(デュエル)・ジャイロ(釣研)」。

私の場合、基本となるのは、キャスティングであればスカイグレイのkoinobori popper200、ジギングはワンナック販売のバイブフォール、エギングはDUELのダートマスターラトル3.5号、フカセは釣研のジャイロ。とにかくこれらのルアー、ジグ、エギ、ウキを使い倒しております。

【私の絶対信頼基本ルアー例】

キャスティング用

ジギング用

エギング用

フカセ釣り用ウキ

どのくらい使っているかと言うと、ここ数年これらで9割過ごしているレベルです。タックルボックスやエギケースには違うルアーやエギは沢山入ってるんですが、ほぼ出番はありません。なんでそんな思考停止みたいな釣りをしているのかというのをご説明いたします。

1つのルアーをとことん使い込むことで、精度の高い情報が得られる

皆さんは何故釣りの上手い方やプロの方が、色んなルアーのローテションをやって釣果を出せると思いますか?

単純に釣りが上手いから? 勿論それもあります。それもあるんですが、私の考えとしては「そのルアーをとことん使い込んでいるからこそ状況の判断が的確に出来る」ということではないかと考えます。つまりは、使ってるルアーの特性を滅茶苦茶理解してて、ルアーやエギから得ている情報が一般アングラーと比べて段違いに多いということです。その人たちの「ここは潮が早いからこのルアーにチェンジします」という感覚を習得するのはかなり難易度が高い事は容易に想像できます。

では、プロやyoutuberさんのように頻繁に釣りに行けないという方はどうすればよいのか? 私がたどり着いた答えは「とにかく1つのルアーを使いまくる」ことでした。短期間ではプロアングラーのように使い込む事は勿論出来ないので、時間が多少かかってでも、とにかくこのルアーの、このエギの特性を出来るだけ理解できる様使いまくりました。

昼も夜も

春も夏も秋も冬も

時化も凪も

ショアもオフショアも

どんなときでも、基本のルアー、仕掛けで釣りを続けてみると面白い事に魚が釣れるようになってきます。オフショアキャスティングで遊漁船の船長に「一日中ポッパー投げるんですね…」と呆れられたこともあります(笑)

1つのルアー、エギを使いまくることで、そのルアーが持つ特性やそのエギの釣れそうな感覚、またダメそうな感覚等も少しずつ理解が進み、ショアでのラン&ガンの際の場所移動のタイミング等、あらゆる場面で適切であろう判断が出来るようになっていきます。

とにかく「1つのルアーに拘る→そのルアーで釣れる→ルアーに対する信頼が生まれる→釣れない時に心が折れない→投げ続けれる→釣れる」というメンタル的にも非常によいループなります。

さらに1つの自分なりの基本が出来ると、必ず応用力も付いてきます。人間は歩けるようになると、自然と教えなくても走ることが出来るようになりますよね? それと同じで、そのルアーの使い方をしっかりとマスターすると違うルアーでも応用ができ、同じ時間を掛けずともその特性をある程度理解することが出来るようになります。

そうなるとプロが説明していたルアーローテションや状況説明もより深くイメージすることができ、実際に自分の釣りに応用する事ができるようになります。つまり釣果に近づくという事です。

釣りの上手い方やプロの説明は「そのまま真似をする」ではなく「自分の状況に置き換えて応用する」が正解なような気がします。

なかなか釣果で出ずにすぐにルアーやエギを変えてしまう。

わかります。痛いほど分かります。

それがハマる場合も勿論あると思います。

ただ、釣れたではなく釣ったという感覚を身に着ける事が何より釣果への近道であり再現性も高いと思いますので、凄く遠回りな様で実は近道?ではないかという今回の私の説明「1つのルアーを使い倒してみる」のもありではないでしょうか? 最後までお付き合い頂きありがとうございました! 長崎の暴走クリエイター栗林拓也でした。

アングラーズマイスター栗林さんのエギング実釣を動画でチェック!