「グラコンポシステム」や「ヘッドロッキングシステム」など、独自に開発された様々な技術や機構は、メガバスを象徴する存在のひとつといえるだろう。 そのほとんどが特許を取得済みであり、またグッドデザイン賞を受賞する際の一因となっていることも多々。近年のメガバス製ロッドに使用されている主な21の機構を紹介する。
●文:ルアーマガジン編集部
ヘッドロッキングシステム(PAT.)
破壊者の攻撃的グラップリング
低負荷時まではロッキングベゼルとブランクスコネクター間にクリアランスがうまれ、ブランクスコネクターのボトムエンドを支持。高負荷時にはコネクターとロッキングベゼルが接触し、ブランクスの支軸剛性をサポートする。
主な搭載ロッドシリーズ
デストロイヤー(フェイズ2)~(2013)
グラコンポシステム(PAT.)
見えない世界をくりあに見るための反響空間
リールシートの内部に大口径のカーボンパイプフレームを設置、小口径のブランクと比べ、より広い中空構造にすることで反響空間を確保。手に伝わる振動(=水中把握の解像度)を増幅させている。
主な搭載ロッドシリーズ
デストロイヤー(フェイズ1)~(1992)
センターマウントバランサー
コントロールの軸をしかるべくシフトする
従来のグリップエンドに搭載しているバランサーをグリップのセンターパートにコンバートした新概念のバランシングシステム。キャスト性能やコントロールするルアーの種類、必要とされる動きに応じてロッドごとに重心をコンバートし、適宜マッチングさせている。
主な搭載ロッドシリーズ
アームズチャレンジ(2013)
ステルスリールシート(D.PAT.)
知られず忍び寄り獲るための手綱
繊細な釣りに特化させたモデルに採用される機構。片手のみでのグリッピングでも安定したタックルホールドが可能となる。
主な搭載ロッドシリーズ
2013 アームズチャレンジ(1987)
YOLOY(ヨロイ)
ブランクがまとう屈強な武具
強靭なブランクス保護能力を有する特殊素材「YOROY」をロッドエンドからティップ先端まで融合。薄肉ブランクスでありながら、高感度・高強度を実現する。
主な搭載ロッドシリーズ
アームズチャレンジ(2013)
スーパーメタコンポシステム(PAT.)
握ればわかる、メタルダイレクトフィール
リールシートを貫通するブランクをメタル切削フレーム内でフローティングマウント。リールをセットした状態でグリッピングすると、メタルパーツが振動伝達を増幅させ、直感性能が向上。微かな信号も逃さない、強くて繊細なグリップパートを形成する。
主な搭載ロッドシリーズ
デストロイヤーエヴォルジオンスピニングモデル(2013)
スパイラルアーキテクチャーリールシート
ロッドリニアリティの普遍的構造
高強度、超軽量かつ、さらなるロープロファイルデザインを実現するベイトロッドのリールシート。オリジンとなるアームズコンプリートで採用された3軸スパイラルボーン構造が、オリデスやエヴォルジオン、オロチカイザなどにフィードバックされている。
主な搭載ロッドシリーズ
デストロイヤーベイトモデル(2016)
DNA-SLXグラファイトシステム
世界記録を獲るためのスーパーハイトルクブランク
単繊維の超軽量マイクロカーボンファイバーを綿密なスクエア状に高密度レイヤード。張りと高い潰れ強度を実現するとともに、圧倒的なリフティングパワーを生むトルクをもたらす「高伸度」特性を発揮。さらにこのSLX(スクエアードレイヤードクロス)チューブラーを2重螺旋構造できっちりと締め上げていくDNAカーボンアシストによって、屈強なネジレ剛性も発揮する。
デストロイヤーT.S(2017)
一体切削ハンプバックスピニングリールシート
金属の振動伝達性能は金属が増幅させる
アルミ製一体切削ハンプバック部分が手のひらに深く収まることにより、キャストによるブレを抑制、高い精度に貢献する。またリール装着時の重心位置をよりロッド側に寄せるバランサーの役割も果たす。ハンプバック部にはブランキングホールが設けられており、釣行時にはフックキーパーの役割も果たす。
主な搭載ロッドシリーズ
デストロイヤーエヴォルジオンスピニングモデル(2018)
ITOクロウグラスプヘッドロッキングシステム(PAT.)
感度を鷲掴みするエヴォルジオン的リニアの象徴
チタンシャフトの高い振動感知力をグリップから手まで伝達するために、軽量アルミブロック製パーツによる超軽量・高剛性「スケルトン・トラス」構造を採用。各パーツの一体感が、直感的なインターフェイスを実現する。
主な搭載ロッドシリーズ
デストロイヤーエヴォルジオン(2019)
ITO 40ハイデンシティタイタニウムシャフト
高感度と粘りを兼備するハイテクノロジーソード
形状記憶特性を持つマイクロチタンファイバーを融合したブランクス。金属繊維特有のバネ弾性や高い剛性、金属的な感度を有する。組み合わさるカーボンは超軽量・高弾性カーボンであり、極限まで低レジン化を実現。しなやかかつトルクフルなブランクスが軽快に扱える。
主な搭載ロッドシリーズ
デストロイヤーエヴォルジオン(2019)
ITO.ヘッドロッキングシステムIII(PAT.)
ロッドデザイニングにおける貴重な華
リール装着時のブランクスバットの支軸剛性アップと振動の共振性を高めるため、歴代デストロイヤーのなかでも最も軽量化された構造。支軸接点がこれまでよりもエンド方向へと移動しており、一層のダイレクタビリティが追求されている。
主な搭載ロッドシリーズ
オリジナルデストロイヤーベイトモデル(2020)
5-Dグラファイトシステム
「巻く」だけではなく「組み合わせる」
タテ方向、ヨコ方向、斜角方向、伸度、弾性に特化させた5つのカーボングラファイトをパネルのように組み合わせたブランク製法。プリプレグのオーバーラップを低減化させ、使用レジンも減少。必要最低限で最大の効果をもたらすことができ、さらなる軽さと感度を実現した。
主な搭載ロッドシリーズ
オリジナルデストロイヤー(2020)
メガバス3Dダイナミクスパフォーマンスグリップ
勝つために生まれた美しきエリート
歴史ある米国バストーナメントトレイルB.A.S.S.の参戦者によるエルゴノミクスから生まれたカーボンファイバー製グリップ。現行のオリジナルデストロイヤーではF5-70XとF6-69Xの2モデルのみに搭載。「獲る」ためのグリッピングパフォーマンスと直感性能をもたらすリニアな操作性を発揮。
主な搭載ロッドシリーズ
オリジナルデストロイヤー(2020)
MBCS(D.PAT.)メガバスブリッジコンストラクションシート
リールシート構造の現最高到達点
リニアな直感性能を兼ね備えたIBCS(D.PAT.)と並ぶ、オリジナルデストロイヤーのスピニングモデルに搭載されているリールシート構造。シャフトの振り抜き方向を正確に保持するプレシージョンアングルによるキャスタビリティを発揮する。
主な搭載ロッドシリーズ
オリジナルデストロイヤースピニングモデル(2020)
IBCS(D.PAT.)ITO バイオノミクスキャスティングシート
水中と手のリニアリティを具現化する
エルゴノミクスをフィールドテストから解析して導き出し、カタチにしたリールシート構造。究極のフィッティングを最軽量なエルゴノミックデザインで具現化。グラコンポシャフトと手が、ダイレクトに触れる面積を拡大した上で保持性能を高め「直感性能」を追求している。
主な搭載ロッドシリーズ
オリジナルデストロイヤーベイトモデル(2020)
ナノマトリクスコンポジットシャフト
世界規模のモンスター撃ち落とすミサイル
デストロイヤーで培った超軽量、高感度カーボンブランクと高伸度グラスファイバーを4層のレイヤードで融合させたコンポジットブランク。使用する2種類のマテリアルの相乗効果による圧倒的なパワーとトルクは、ターゲットの強烈な引きを捩じ伏せる。
主な搭載ロッドシリーズ
ヴァルキリーワールドエクスペディション(2021)
エクスクルーシブティップ
3ピースが生み出す斬新コンセプト
張り、粘り、剛性の3つの要素を3ピースのジョイントコネクター各部に特化させたトライアングルコンセプトロッド、トライザだからできる革命的ロッドトランスフォーメンション構想。ティップパートを変えることで、対応ルアーの幅を広げることが可能になる。
主な搭載ロッドシリーズ
トライザ(2021)
IES (D.PAT.P) ITOエルゴノミックコンタクトシート
感度という水中解像度を増幅させる
手のひらの奥までフィットするなだらかに傾斜したデザインを持つスピニングロッドのリールシート。無駄な力を排除して握り込むことができ、疲労感の軽減、操作性、キャスト性の向上をサポート。また、ナチュラルにブランクタッチを促す握りの型をもたらす。
主な搭載ロッドシリーズ
オロチX10 スピニングモデル(2023)
IAS(D.PAT.P) ITOエアリーフィットエルゴノミクスシート
釣り人による釣り人のための道具
投げる、動かす、掛ける、耐えるなど、バスフィッシングの特性に合ったグリップフィーリングを実現するため、人間工学(エルゴノミクス)の考えをバスロッドに持ち込んだリールシートの素材及び形状。まるで空気を握っているような軽さで、疲労を感じさせない。
主な搭載ロッドシリーズ
オロチX10(2023)
X10オーガニックファイバー・コンポジットブランクス
世界れべるだから生まれた世界初のSDGsブランク
従来のカーボン素材を超えたオーガニックファイバー「X10」を用いた新機軸ブランク。その生成素材は、天然由来のセルロースミクロフィブリル。ロッド製造時の炭素使用量の大幅削減を可能にした、世界的企業のトレンド、SDGsへの取り組みへのメガバス的回答となる。
主な搭載ロッドシリーズ
オロチX10(2023)
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
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